【闘病】新型コロナ 感染症対策に“十分”はない! 気をつけていても新型コロナウイルスは防げなかった(2/2ページ)

いち早い終息を願ったうえで伝えたいこと

編集部
ご自身なりに、感染ルートが不明ということでしたが?
田中さん
考えられるとしたら「マスク越しの商談」なのですが、実質、「心当たりがない」印象です。個人的に感染対策を徹底していたつもりだったので、「ここまでやっても、かかるときはかかる」というのが実感ですね。それと同時に、いつ再感染してもおかしくないという気付きがありました。
編集部
100%の感染予防は不可能だと?
田中さん
よく「100%はない」というようなことがマスコミで報じられているものの、改めてそう思います。まだ感染していない人でも、「1年以上闘ってこられたので、このやり方で十分」という過信はしないようにお願いしたいですね。気を常に張り続けて生活していくしかないでしょう。
編集部
出口があるとしたら、ワクチン接種ですか?
田中さん
どうでしょう。「100%はない」という意味では、同じことかもしれないですよね。加えて、新型株への効果が十分に検証されていないようです。総じて、「これをやったら安全だ」という発想が逆効果なのでしょう。常に「これをやっても大丈夫か」という問いかけを続けていくしかないように思います。ワクチンが「絶対の安心材料になるか」というと、私にとっては疑問です。
編集部
この機に、医療従事者へ望むことはありますか?
田中さん
逆に医療従事者に対して、我々が少しでもご迷惑を与えてはならないのでしょう。個人的には、「医療従事者に対して申し訳なかったな」という反省をしています。ですから、望むことがあるとすれば、気の緩みがちな一般人に対してですよね。ウイルスがなにかをするのではなく、「我々がどこでまき、どう拾ってくるか」に尽きます。まかずに拾わなければ、感染拡大しないはずです。
編集部
若い世代の発症者数が多いことについても一言お願いします。
田中さん
緊急事態宣言が発せられて、生活のしづらさを感じていると思いますが、それも「まく人と拾ってくる人がいるから」なんですよね。自身の快楽や欲求を、今だけは切り捨ててほしいと願います。自身の快楽や欲求が、他人の人生や将来を左右しているわけですよね。「感染症のせいで、仕事を辞める人がいる」ということを、他人事ではなく、リアルに受け止めてほしいです。自分への被害がないから「飲み会に行ってもいいだろう」という言い訳は、社会への被害が生じているため通じないと思っています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
田中さん
気持ちのうえでは「いつ感染してもおかしくない」意識でしたが、いざ感染してみるとビックリでした。自分なりに注意していたのに、「これ以上、なにをすればよかったのか」と動揺しましたよね。それだけに、市中感染への脅威を感じます。国民一人ひとりが、もっと意識を“高め続けていく”しかないのでしょう。私の経験が、その一助になればなによりです。
編集部まとめ
取材を通じての感想として、田中さんの感染症対策は、平均よりも高い印象を受けました。ご自身でも「他人に迷惑をかけることが嫌だ」と仰っているように、心とマスクの隙は“ごくごくわずか”であったようです。にもかかわらず、ウイルスはそのわずかな隙から侵入します。そして、そういう闘いをしているのだということを、改めて感じさせられました。この教訓を悲観的に捉えるのではなく、終息まで生き抜くヒントとして活用することが大切です。






監修医師からのコメント:
堀野先生(東京慈恵会医科大学附属病院感染症科 診療医長、感染症専門医)
お元気になられて本当によかったです。実際に診療していますと、田中さんのように感染したタイミングが見当たらない方もいらっしゃいます。時々、感染してしまった方への心ない言葉や対応があったと聞くことがありますが、感染対策をしていても感染しうることを知っておかなければなりません。感染を100%防ぐことはできませんが、マスクの着用、手指衛生、換気などの感染対策を遵守し、多くの方がワクチン接種を受けることで感染する可能性を下げることはできますので、根気よく続けることが重要です。