子宮頸がんは防げるがん!? 予防と対策は?
がんと聞くと早期発見することが大切で、なかなか予防はできないのでは、という印象の方が多いはず。しかし子宮頸がんは防げるという話を聞くのはなぜなのでしょう? 本当に防げるがんなのか、石川てる代ウィメンズクリニックの石川先生に尋ねてきました。
監修医師:
石川 てる代(石川てる代ウィメンズクリニック 院長)
千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部附属病院の産婦人科に入局。千葉市立青葉病院や九段坂病院の産婦人科に勤務した後、平成5年に石川てる代ウィメンズクリニックを開業。水と空気がきれいな国分寺で、女性が健康で元気に生活できるようにサポートしている。
子宮頸がんの原因はウイルス感染
編集部
子宮頸がんとはどのような病気ですか?
石川先生
子宮の入口である子宮頸部に腫瘍ができるがんです。30代~40代の女性に多いですが、近年では20代と若いうちから子宮頸がんになる人もいます。また、20~30代の女性に発症するがんでは、一番多くなっています。
編集部
子宮頸がんになる原因はなんですか?
石川先生
ヒトパピローマウイルス(HPV)という、ウイルス感染がきっかけです。ただウイルスに感染しても、全員が発症するわけではありません。感染しても自然治癒や排除されることがほとんどですが、ウイルスが残ってしまった場合に長い時間をかけてがんになるのです。
編集部
ウイルスはなにがきっかけで感染するのですか?
石川先生
感染のきっかけは性交渉です。男性がウイルスを持っていなければ大丈夫ですが、持っていると感染する危険性があります。
編集部
感染した場合、すぐに子宮頸がんになるのですか?
石川先生
そういうわけではありません。感染から数年〜数十年かけて、ウイルスが子宮頸がんになります。昔に比べて近年では若くして性交渉を複数の人とする女性が増えました。そのため20代から子宮頸がんになる人が増えたのです。
検診でがんになる前に早期発見することが大切
編集部
子宮頸がんになると、どのような症状がでますか?
石川先生
子宮頸がんに初期症状はほとんどありません。出血や下腹部の痛みが子宮頸がんのために起こっている場合は、かなり進行していることがほとんどです。
編集部
では初期の段階で見つけるのは難しいのでしょうか?
石川先生
そんなことはありません。子宮頸がんは検診時に、がんになる前のウイルス感染の状態で見つかる場合がほとんどです。
編集部
つまりがんになる前のウイルス感染の時点で見つかれば、予防ができるということですか?
石川先生
そうですね。感染していている「前がん病変」の段階であれば、がんにならないように治療をすることができます。また検診をきちんと受けていれば、初期で見つかることが多いがんだと思います。ただ予防できるがんと言われるのは、その前段階の話です。
編集部
どういうことでしょう?
石川先生
子宮頸がんにならないためには、ウイルスに感染しないことが重要です。そのために性交渉のときはきちんとコンドームをつけることが大切です。また感染しても発症しないように性交渉をまだしていない小学6年生~高校生の間に、予防ワクチンをうつことも推奨されています。
最大の予防はコンドームの使用
編集部
もし子宮頸がんになった場合、どのような治療を行いますか?
石川先生
基本的には手術を行い、腫瘍を摘出します。初期の場合は全摘出しなくて良いこともあり、手術後も妊娠のチャンスはありますよ。
編集部
進行が進むと命に関わる病気ですか?
石川先生
そうですね。がんが進むとまわりの臓器に転移するため、できるだけ初期のうちに見つけて取り除きたいですね。
編集部
そして子宮頸がんにならないためにも、ウイルス感染しないことが大切なのですね。
石川先生
はい。コンドームは妊娠予防と思われがちですが、感染予防の役割もあるのです。それこそが子宮頸がんが予防できるがんと言われる理由です。性行為をするときは、最初からきちんと使うことをおすすめします。
編集部まとめ
子宮頸がんの原因は性行為によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)。性行為をする年齢が昔に比べて若くなっているため、今では20代から発症するがんのひとつとなりました。
感染してもすべてが発症するわけではなく、自然治癒や排除されることがほとんど。また検診でも発見されやすいため、「前がん病変」の段階であれば治療が可能です。
一番大切なのは感染しないことです。性交渉の際はコンドームを使用しましょう。
医院情報
所在地 | 〒185-0021 東京都国分寺市南町3丁目1−28 |
アクセス | 中央線「国分寺駅」から徒歩3分 |
診療科目 | 婦人科 |