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トリコモナス症の女性の症状とは?放置してはいけない理由など詳しく解説します!

 公開日:2024/03/15
トリコモナス 症状 女性

トリコモナス症の女性の症状を知っていますか?
トリコモナス症は、「トリコモナス原虫」と呼ばれる寄生生物によって引き起こされる性感染症です。
本記事では、トリコモナス症における女性の症状について、以下の点を中心にご紹介します。
・トリコモナス症とは
・トリコモナス症の感染経路
・トリコモナス症における女性の症状
トリコモナス症における女性の症状について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

そもそもトリコモナス症とは

そもそもトリコモナス症とは
トリコモナス症は、「トリコモナス原虫」と呼ばれる寄生生物によって引き起こされる性感染症です。
トリコモナス症は、「腟トリコモナス(トリコモナス・ヴァギナリス)」であり、主に腟、尿道、外陰部に影響を及ぼします。
症状には、緑色や黄色の生臭い匂いを伴う分泌物の増加、かゆみ、刺激感などがあり、感染した部位によって「トリコモナス腟炎」、「トリコモナス尿道炎」、「トリコモナス性前立腺炎」などと診断されます。
トリコモナス原虫は単細胞の原虫で、鞭毛を動かしながら自由に移動できます。
原虫は、泌尿器や生殖器、消化器などのさまざまな部位に寄生し、症状を引き起こします。
特に男性は無症状であることが多く、無意識にパートナーに感染を広げるリスクがあります。

トリコモナス症の感染経路

トリコモナス症の感染経路
トリコモナス症の主な感染経路は性行為ですが、下着やタオル、便器、浴槽などを介した間接的な感染も可能です。
このため、性行為の経験がない方や幼児も感染するリスクがあります。
特に「腟トリコモナス症」は女性に多く見られますが、男性は「トリコモナス前立腺炎」や「トリコモナス尿道炎」を発症しやすいとされています。
トリコモナス前立腺炎や「トリコモナス尿道炎は、腟トリコモナスに感染した女性との性交により、トリコモナス原虫が男性の尿道や前立腺に侵入して炎症が引き起こされるものです。
トリコモナス原虫は乾燥に弱いものの、水中では生存できます。
そのため、プールやトイレ、タオルなどが感染経路となることがあります。
42度以上の熱い環境においてはトリコモナスは死滅するため、高温の温泉での感染は稀です。
また、トリコモナスは犬、猫、ハムスターなどの動物にも寄生し、動物の便を介した人への感染も報告されています。
動物が示す症状は軽度ですが、水下痢を起こすこともあります。
動物の便に触れた後は、感染予防のため手洗いを徹底することが重要です。

トリコモナス症における女性の症状

トリコモナス症における女性の症状
トリコモナス症に感染した女性は、緑黄色の分泌物の増加、不快な臭い、腟内のかゆみや痛み、性交痛などの症状があらわれます。
以下で詳しく解説していきます。

女性に強くあらわれる

トリコモナス症は、女性において特に強い症状を示すことが多い疾患です。
感染した女性の20〜50%は初期に症状がないこともありますが、感染後の潜伏期間を経て症状があらわれることが多いといわれています。
症状がないと感じている間にも感染が拡大するリスクが高まるため、注意が必要です。

具体的な症状

具体的な症状としては、悪臭を伴う白色から黄緑色の泡状おりものが特徴的です。
このおりものは量が多く、ときには魚の腐敗臭に似た強い臭いを放つことがあります。
さらに、腟炎による陰部のかゆみや痛み、性交時や排尿時の痛みの症状もあります。
症状が放置されると、性生活に影響を及ぼすこともあります。
また、無症状であっても感染のリスクは存在し、妊娠中の女性が感染すると早産のリスクが高まるとされています。
このため、トリコモナス症の疑いがある場合は早急な診断と治療が重要です。

症状が出るまでの期間

トリコモナス症の症状があらわれるまでの期間は、感染後10日から6ヶ月と広範囲にわたります。
この潜伏期間には個人差が大きく、男性では一般的に10日前後、女性では5日から14日の範囲で症状があらわれることが多いとされています。
症状の出現時期は感染者の体調や免疫状態にも左右されるため、早期発見と治療が重要です。

放置した場合の危険性

トリコモナス症は、腟トリコモナスという原虫によって引き起こされる性感染症で、放置するとさまざまな健康リスクを招く可能性があります。
女性の場合、症状があらわれやすく、未治療の状態が続くと炎症は卵管にまで拡大し、不妊や流産、早産のリスクが生じることがあります。
特に、妊娠中の女性がトリコモナス症に感染すると、胎児を包む膜に炎症を起こし、早産の原因となることがあるため、胎児に対しても大きなリスクがあります。
男性では、尿道への感染の場合、排尿により原虫が洗い流されることもありますが、前立腺や精のうに寄生することが多く、尿道炎や前立腺炎を引き起こす可能性があります。
トリコモナス症は、早期発見と適切な治療が重要です。
一方のパートナーが感染した場合、もう一方のパートナーも検査と治療を受けることで、互いの再感染を防げます。
トリコモナス症は適切に治療すれば治癒可能な病気ですが、未治療のまま放置すると重大な健康リスクを招くことがありますので、早期の対応が必要です。

トリコモナス症の診断

トリコモナス症の診断
トリコモナス症の診断は、男性では尿検査、女性では膣分泌液検査によってなされ、トリコモナス原虫の存在を顕微鏡やDNA検査で確認します。
トリコモナス症の診断について、以下で詳しく解説していきます。

医療機関での検査

トリコモナス症の医療機関における検査は、多くの場合、女児や女性の場合に普段と異なる膣分泌物が見られるとき、あるいは腟の他の症状がある場合に推奨されます。
医師は患者の分泌物や症状を評価し、原因としてトリコモナスを疑い、診断を確定するために膣の内診と分泌物の顕微鏡検査をします。
子宮頸部の分泌液も検査され、他の性感染症も同時に調べられることが多いとされています。
また、骨盤内における他の感染症の可能性を排除するため、骨盤診察も実施されます。
小児においては、トリコモナス腟炎の原因として性的虐待の可能性も確認されます。
男性の場合、検査の精度にばらつきがあるため、パートナーが感染しているか、感染の疑いがある場合は、診察後に治療が優先されます。
尿検査は男性用として提供され、結果は5日から7日後に得られますが、感染していても検出されないことがあるため、パートナーが感染している場合は治療を推奨します。
遺伝子に基づく核酸増幅法(PCR法とTMA法)は、精度の高い検査です。
PCR法は、DNAの熱分解と酵素によるDNAの増幅を用い、TMA法はrRNAをターゲットにしてRNAを増幅します。
これらは即日精密検査として提供され、症状がなくても検査できます。
結果は当日または翌日に得られます。

検査キット

トリコモナス症の診断に用いられる検査キットは、自宅で簡単に使用できる便利なツールです。
男性は尿検体を、女性は膣検体を自ら採取して、提供された専用容器に入れて返送します。
尿検体は専用カップで採取し、スポイトを使って検査容器に移します。女性は綿棒を使用して膣内のおりものを採取します。
検査キットは使い捨てタイプで、衛生面においても心配いりません。
匿名性を保ちながら郵送でやり取りし、検査結果はインターネット上で確認できます。
検査キットの登場により、自宅でのセルフチェックできるようになりました。
これにより、少しの不安でも気軽に検査でき、感染の有無を確認できます。
しかし、トリコモナス症と似た症状を示す性感染症は他にも存在します。
例えば、クラミジア淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマなどがあります。
トリコモナスの検査キットは原虫の確認のみに限られ、細菌による感染症の診断はできません。
特に、クラミジア淋病は国内での感染者数が多く、自覚症状だけでは区別が難しいため、セットでの検査がおすすめです。
早期発見と治療には、クラミジア淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマなども併せて検査することが重要です。

トリコモナス症の予防方法

トリコモナス症の予防方法
トリコモナス症は、性感染症の一種であり、適切に予防することが重要です。
効果が期待できる予防方法は、セーフセックスを実践することです。
特に、コンドームの使用は、トリコモナス症を含む多くの性感染症からの予防になります。
コンドームを使用する際は、穴の有無を確認し、空気を抜いて根本までしっかりと装着することで、効果が期待できます。
加えて、不特定多数の方との性行為は避けるべきです。
多くのパートナーと性行為をすることは、感染源が特定できなくなるため、再感染のリスクを高めます。
感染を予防するためには、特定のパートナーとのみ性行為を持つことが重要です。
日常生活では、共有する日用品の清潔さを保つことも大切です。
タオルや下着などは個人専用のものを使用し、公衆浴場やトイレでは、性器が直接触れないようにすることが推奨されます。
さらに、定期的な検査を受けることも重要です。
定期的な検査により、トリコモナス症を早期に発見し、適切な治療をすることで、パートナーや子供への感染を防ぎます。
性感染症は、症状があらわれないこともあるため、特に性行為が活発な方は、3ヶ月に1回程度の検査を心がけるとよいでしょう。
症状が感じられた場合は、速やかに専門機関で診断を受けることが大切です。
これらの予防策を講じることで、トリコモナス症のリスクを大幅に減らせるでしょう。

トリコモナス症の診断後にパートナーに伝えるべきこと

トリコモナス症の診断後にパートナーに伝えるべきこと
トリコモナス症と診断された場合、状況をパートナーに正直に伝え、ともに検査と治療を受けることをおすすめします。
以下で詳しく解説していきます。

ピンポン感染とは

ピンポン感染とは、特定のパートナー間で性感染症が相互に転移し合う現象を指します。
この状況では、片方のパートナーだけが治療を受けても、もう一方が治療を受けなければ、再び相互に感染を広げることになります。
したがって、両方のパートナーが同時に適切な治療を受けることが重要です。
また、ピンポン感染を防ぐためには、両者の治療が終わるまで性行為を控えることが必要です。
治療中に性行為をすると、感染を再発させたり拡大させたりする可能性があります。
一方で、不特定多数の方と性行為をする場合、感染のリスクはさらに高まります。
このような状況は、ピンポン感染を超えて、多数の方に感染が広がる「サッカー状態」とも例えられます。
複数のパートナーがいる場合は、感染の拡大を防ぐためにも、検査と適切な治療を受けることが重要です。

パートナーの検査・治療

トリコモナス症の診断と治療には、パートナー間の協力が不可欠です。
検査は病院やクリニックで受けられますが、検査キットを利用する方法もあります。
検査キットは、自宅で採取した検体を検査機関に送付し、結果を待ちます。
男性の尿検査では、初尿を採取し顕微鏡検査、培養検査、DNA検査などでトリコモナス原虫を検出します。
女性の膣分泌物検査では、綿棒で分泌物を採取し、同様の方法で感染を確認します。
精度が高いとされるのは、DNA検査です。
治療には、男性も女性もメトロニダゾールまたはチニダゾールという抗菌薬を使用します。
男性は通常5〜7日間内服し、女性は1週間〜10日間の内服または腟内投与で約95%が治癒します。
定期的な検査と適切な治療により、トリコモナス症の影響をおさえられるでしょう。

まとめ

まとめ
ここまで、トリコモナス症における女性の症状についてお伝えしてきました。
トリコモナス症における女性の症状の要点をまとめると、以下の通りです。
・トリコモナス症とは、トリコモナス原虫と呼ばれる寄生生物によって引き起こされる性感染症のことである
・トリコモナス症の感染経路は、主に性行為だが、他には下着やタオル、便器、浴槽、プールなどもある
・トリコモナス症における女性の症状は、悪臭を伴う白色から黄緑色の泡状おりものや、腟炎による陰部のかゆみや痛み、性交時や排尿時の痛みなどがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師