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梅毒とは?発症したらどんな症状が出るの?進行別の症状や検出方法について詳しく解説します!

 公開日:2024/05/21
梅毒とは?発症したらどんな症状が出るの?進行別の症状や検出方法について詳しく解説します!

かつて不治の病として恐れられた梅毒は、近年再び感染者数が急増している性感染症です。性行為を通じて感染し、放置すると深刻な健康被害を引き起こす可能性も秘めています。感染を防ぐためにも、本記事では以下の点を中心にご紹介します。

梅毒の発症と症状
梅毒の検査ができる機関
梅毒の予防

梅毒の基礎知識から、発症時の症状、進行に伴う変化、そして検査方法までを知ることはとても重要です。ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

梅毒とは

梅毒とは

梅毒梅毒トレポネーマ(学名:Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる性感染症で、全世界でみられています。
なかでも、男性は20~40歳代頃で多く、女性は20歳代に多くみられるといわれています。
梅毒は性行為を通じて主に感染し、感染初期には感染部位にしこりができることが多く、進行すると全身の発疹など多彩な症状を示すことがあります。
症状が出ない期間もありますが、適切な治療を受けないと脳や心臓に重大な影響を与える可能性があります。
また、妊娠中の感染は流産、死産、先天梅毒などを引き起こすリスクがあります。

梅毒の発症と進行

梅毒の発症と進行

梅毒は、感染後約1週間~13週間の潜伏期間を経て発症するとされています。
多くは、感染してから21日程度で初期症状が現れ始め、梅毒トレポネーマが血液を通じて体内に広がります。
そして数十年にわたってさまざまな段階を経ます。
感染初期には、しこりや潰瘍が現れ、数ヵ月から数年で全身に症状が広がることがあります。

中期には、皮膚や内臓に影響が出ることがあります。
後期には、神経系を含む多くの臓器が侵される可能性があります。

梅毒の症状

梅毒の症状

梅毒の症状は感染の段階によって異なります。
初期から後期にかけて、さまざまな身体の変化を引き起こし、未治療のまま進行すると重大な健康問題を引き起こす可能性があります。
ここからは、梅毒のステージ毎に解説します。

第1期

梅毒の第1期では、性器や肛門、口唇などの感染部位に硬いしこりが現れます。
このしこりは「初期硬結」と呼ばれ、痛みや痒みは伴いません。
しこりは時間とともに自然に消えますが、症状が消えても梅毒が治ったわけではありません。
適切な治療を行わなければ、梅毒は次の段階へと進行します。
症状は見えにくい場所に出ることもあり、見逃されることも多いようです​。

治療には、主に抗生物質が用いられます。なかでも、ペニシリン系の抗生物質が推奨されています。
ペニシリンのアレルギーがある場合は、ほかの抗生物質が選択されることもありますので、詳細は医療機関で説明を受けましょう。

第2期

梅毒の第2期症状には、発疹、発熱、喉の痛みなどがあります。
治療には、第1期同様、ペニシリンなどの抗生物質が用いられます。
アレルギーがある場合は代替薬が考慮されます。

また、第2期であれば適切な治療を受けることで症状の改善と感染の拡大防止が期待できます。
副作用については、抗生物質の種類や個人の体質により異なりますが、消化不良やアレルギー反応があります。

第3期

梅毒の第3期の症状には、ゴム腫と呼ばれる固い塊が体のさまざまな部位に現れることがあります。
これは、主に皮膚、骨、内臓に影響を及ぼし、重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。
しかし、現代医療の下では、早期発見と適切な治療により、この段階に進行することは稀です。

第4期

梅毒の第4期は、感染から数年後に発症し、心臓や血管、中枢神経系に重大な影響を及ぼす可能性があります。
この期間には、心臓病や脳の問題が引き起こされ、生命を脅かす状態に至ることもあります。
例を挙げると、心臓への影響では大動脈瘤や大動脈弁疾患が、中枢神経系においては神経梅毒が発生する可能性が考えられます。
この段階は、適切な治療により予防可能とされ、早期発見と治療が極めて重要です。

梅毒の治療

梅毒の治療

梅毒の治療には主にペニシリン系の抗生物質が用いられるとされています。
ペニシリン系の抗生物質のメリットとしては、高い治癒率での治療が期待できる点が挙げられますが、ペニシリンに対するアレルギーがある場合は別の抗生物質が必要になること、また治療後も再感染のリスクがあるため、予防策を続ける必要があります。
ペニシリン系の抗生物質の注意点としては、治療開始後にジャリッシュ・ヘルクスハイマー反応という、症状が一時的に悪化する現象が起こる可能性があることが挙げられます。

ジャリッシュ・ヘルクスハイマー反応について、もう少し詳しく解説すると、治療薬が効き始めると、大量の細菌が急速に死滅し、その結果として体内で炎症反応が起きることが原因で現象が起こります。
これにより、発熱、寒気、頭痛、筋肉痛などの症状が一時的に現れますが、これは治療が効いている証拠でもあります。
この症状は軽度で、数時間から1日程度で自然に解消されるといわれています。

また、梅毒の治療には、ペニシリン系の抗生物質以外に、ほかの抗生物質も使用される場合があります。
例えば、セファロスポリン、テトラサイクリン、マクロライド系の抗生物質などが梅毒の治療に使用される場合があります。
ただし、ペニシリン系の抗生物質は梅毒菌に対して医学的によいとされているため、ペニシリン系の抗生物質が最初の選択肢となることが多いようです。
しかし、患者さんのアレルギー反応や感染の状態によっては、ほかの抗生物質が使用される場合もあります。
ですので、適切な治療法は、患者さんの状態や医師の判断によって決定されることをご留意ください。

梅毒の検出方法

梅毒の検出方法

ここからは、梅毒の検出方法について解説します。

TP法

梅毒の検出方法にはいくつかありますが、TP法(トレポネーマ・パリダム検査)は、なかでも梅毒菌(梅毒トレポネーマ)の特異的な抗体を検出するために使用されます。
TP法は、感染後2ヵ月以上経っていれば検査可能とされ、梅毒感染の有無を確認するための血液検査で、感染初期から反応が見られるため、早期発見に有効とされます。

また、TP法を使用すると、一度梅毒に感染したら、生涯にわたって陽性が示されるといわれています。
そのため、過去に梅毒に感染した経験がある方は、感染後2ヵ月が経過しても、RPR法の使用を推奨されることがあります。

RPR法

RPR法とは、梅毒の診断に用いられる抗体定量検査で、TP法と同じように感染後一定期間が経過すると実施可能な検査方法です。
RPR法は、感染してからおおよそ1ヵ月後に行うのが理想的で、主に数値による結果が重要視されます。
これは、陰性または陽性のみならず、具体的な数値によって感染の進行度を評価するためです。
そして、TP法と同じく血液検査となります。

血液検査には「ウインドウピリオド」と呼ばれる、感染しても検出できない時期が存在し、この期間中は感染を見逃す可能性があります。
また、過去に梅毒に感染したことがある方は、再検査で数値の変動を確認する必要があり、感染初期においては検査結果が陰性であっても、後に数値が上昇することがあります。
RPR法で検査する場合は、約6mlの血液を採取し、病状の確認や感染の有無を調べます。

梅毒の検査ができる機関

梅毒の検査ができる機関

梅毒は、性行為によって感染する代表的な性感染症の一つであると述べました。
近年、感染者数は増加傾向にあり、男女問わず幅広い層で感染が確認されています。
早期発見・早期治療が重要となる梅毒ですが、検査を受けることに抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。
ここからは、梅毒の検査ができる機関について解説します。

医療機関や保健所

梅毒の検査は、医療機関や保健所で受けられます。
医療機関では、医師の診察とともに血液検査(抗体検査)が主に行われ、感染の有無を判断します。
また、症状に応じてPCR検査や顕微鏡検査が実施されることもあります。
皮膚科、内科、感染症科などの専門科で診察を受けることも可能とされていて、医療機関によっては泌尿器科や産婦人科、耳鼻咽喉科での診察も可能な場合があります。

保健所では、匿名および無料で検査を受けられることが多いとされ、夜間や休日の検査、特定の日に特別な検査を提供する「レディース・デー」のようなサービスもあります。
検査を受ける際には、感染の可能性がある時期や予防状況を医師に伝えることが重要です。
これにより、医師はより正確な診断を下せます。

どちらの機関も、検査結果に基づいた適切なアドバイスや治療方針の提案を行ってもらえるのがポイントです。

郵送の検査キット

梅毒の検査は、郵送で利用できる検査キットを提供する機関を通じて自宅で行うことも可能です。
これらのキットはオンラインで注文でき、使用後に提供された返送用封筒で検体を返送します。
結果はオンラインや郵送で受け取れるとされます。
郵送の検査キットは、プライバシーを保ちつつ、手軽に検査を受けられるメリットがあります。

梅毒の予防について

梅毒の予防について

梅毒を予防するには、以下の点を実践するとよいでしょう。

・コンドームを使用した性行為の実践:新しいパートナーとの性行為の際には必ずコンドームを使用し、性的な接触の数を減らしましょう。
また、梅毒に感染したことがある方は再感染の可能性があるため、治療後も予防策を継続することが重要です。
・定期的な性感染症の検査:性的接触を行う方は定期的に性感染症の検査を受けることが重要です。

梅毒を含む性感染症の早期発見は、感染の拡大を防げるためです。

まとめ

まとめ
ここまで梅毒の発症や検出方法、進行別の症状についてお伝えしてきました。
梅毒の発症や検出方法、進行別の症状などの要点をまとめると以下のとおりです。

梅毒は、感染後約1週間~13週間の潜伏期間を経て発症するとされ、多くは感染してから21日程度で初期症状が現れ始め、梅毒トレポネーマが血液を通じて体内に広がり、感染初期は、しこりや潰瘍が現れ、中期には皮膚や内臓に影響が出ることがあり、後期には神経系を含む多くの臓器が侵される可能性がある
梅毒の検査は、医療機関や保健所、郵送の検査キットでも検査可能で、医療機関では、皮膚科、内科などの専門科で医師の診察とともに血液検査が主に行われ、保健所では匿名および無料で検査を受けられることが多いとされ、郵送の検査キットは匿名かつ自宅で行える検査方法である
梅毒を予防するには、コンドームを使用した性行為の実践が重要であり、梅毒の治療を受けた方も、再び感染するリスクがあるため、治療が完了しても予防措置を持続し、定期的に性感染症の検査を受ける必要がある

繰り返しになりますが、梅毒は放置すると病状が進行するリスクもありますので、疑う症状がみられたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
また、梅毒が疑われた際は、パートナーにしっかりと伝えることも忘れないでください。

この記事の監修医師