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梅毒の検査はいつから受ければいい?梅毒の検査の種類とタイミングを徹底解説!

 公開日:2024/01/19
クラミジア 症状

梅毒の検査はいつから受ければいいか知っていますか?
本記事では、梅毒の検査はいつから受ければいいかについて、下記内容を中心に徹底解説していきます。
梅毒の検査
梅毒検査の受けるタイミング
・病院での検査と検査キットの違い
梅毒の検査はいつから受ければよいかについて理解するためにも参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

梅毒感染者数の動向

梅毒感染者数の動向
梅毒は、性器や口内に小豆から指先くらいのしこりができたり、痛みやかゆみのない発疹が手のひらや全身に出たりするようになります。
また、かゆみなどの症状が消えても、感染力が残っているのが特徴です。
梅毒は全国調査において、2022年10月8日時点で10,000例を超える報告がありました。
これは、前年同月比で約1.5倍に増加したことを示しています。
梅毒は男性20代〜50代、女性は20代に突出して増えており、特に若年層や女性に多く見られます。
梅毒は治療をしないまま放置すると、数年から数10年の間に、心臓や血管、脳などの複数の臓器に異変が生じ、死にいたることもあります。
さらに、妊娠中の梅毒感染は死産や早産につながり、生まれてくる子供の神経や骨などに異常をきたすこともあります。
梅毒感染者数の増加は、性的接触を介して誰もが感染する可能性があることや、無症状のため他人にうつしてしまうことなどが原因と考えられます。
梅毒は、早期の発見・治療が重要なため、パートナーと一緒に定期的に検査を受けたり、不安な場合は医師や保健所などに相談したりしましょう。

梅毒の検査

梅毒の検査
梅毒は、梅毒螺旋体と呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症です。
主な症状は、性器や口の周辺に赤い発疹や水ぶくれができたり、性交渉時に激しい痛みや出血が起こったりすることです。
重症化すると、心臓や神経系などに障害を及ぼすことがあります。
梅毒の検査方法は、主に血液検査です。
血液中に梅毒螺旋体が存在するかどうかを調べるために、抗体や抗原と呼ばれる物質を測定します。
抗体は、感染後に免疫系が作り出す物質で、抗原は細菌自身の特徴的な物質です。
抗体や抗原の量や種類によって、感染の有無や重症度を判断します。

梅毒検査の種類と見方

梅毒検査の種類と見方
梅毒検査の種類と見方について解説します。

TP法(TP抗体検査)

TP法(TP抗体検査)とは、トリプトファン(TP)というタンパク質を抗体で検出する方法です。
TPは、細菌やウイルスなどの病原体が細胞内に侵入する際に必要なタンパク質であり、免疫系がそれを認識して排除しようとします。
しかし、一部の病原体はTPを持たずに細胞内に侵入できます。
その場合、抗体はTPを検出できませんが、病原体の増殖や活性化に関与しています。
TP法は、血液中の抗体の量や種類を測定することで、感染状況や免疫反応の程度を評価できるため、以下のような場合に用いられます。
・感染後に発生する間欠期間(発症から治癒までの期間)を調べるため
・感染後に再感染や再発を防ぐため
・感染後に、免疫力が低下したり回復したりする過程を追跡するため
・感染後に、持続的な免疫反応が起こるかどうかを確認するため
TP法は、主に血清学的方法(血液中の抗体濃度やタンパク質濃度など)と生化学的方法(抗体と抗原の結合反応など)に分けられます。
血清学的方法は、比較的安価で手軽にできる反面、感度や特異度が低い場合があります。
生化学的方法は、高い精度で感度や特異度を得られる反面、高コストで時間や設備が必要です。

RPR法(RPR抗体定量検査)

RPR法(RPR抗体定量検査)とは、感染症の診断や予防に用いられる検査法の1つです。
RPRとは、抗原と呼ばれる病原体の一部分に対して、抗体と呼ばれる免疫物質が反応することを示す検査です。
RPR法では、抗原と抗体の結合を測定することで、感染症の有無や重症度を判断します。

検査キット

検査キットは、自宅で簡単に梅毒の感染を調べられる便利な方法であり、以下のようなメリットがあります。
・郵送送検査であるため、通院の手間がかからない
・プライバシーを重視した匿名検査である
・登録衛生検査所で検査するため、検査精度は医療機関と同等である
・Web上で結果を確認できる
血液の採取方法は、ランセットという特殊な器具を使用し、自身で指先から血液を採取します。
ランセットは人体に直接触れて皮膚に小さな穴を空け、微量採血をする器具です。
チクッとする程度の痛みと、出血もごくわずかなので、初めて使用する場合でも説明書通りに実施すれば大きな心配はありません。
ただし、ランセットは以下の点に注意する必要があります。
・人体に直接触れて皮膚に小さな穴を空けるため、抗凝固剤やバイアスピリンなどを服用している場合は、止血困難になることがある
・一般ゴミとして破棄できないため、返送用の封筒に入れて返却する必要がある
・ランセットは1回しか使用できないため、複数同時にはできない
・服用しているる薬がある場合は、購入前に医師に相談する必要がある

梅毒検査結果の見方

梅毒の感染有無は、一般的に採血検査にて、TP(梅毒トレポネーマ抗体)とRPR(リンパ球反応抗体)という2つの抗体検査の結果を見て判断します。
TPは、過去に梅毒にかかったことがあるかどうかを示す抗体で、RPRは現在の活動性を示す抗体です。
RPRは陰性でも、TPが陽性となる場合がありますが、TPやRPRが陽性でも陰性でも、梅毒の感染の可能性があるということになります。

梅毒検査の注意点

梅毒検査の注意点
梅毒検査の注意点について解説します。

男性の注意点

梅毒検査の際に男性が注意すべき点は、以下の通りです。
空腹時の採血:空腹時に採血をすると、時間がかかったり、不快を感じる可能性があります。
そのため、検査前には軽食や水分を摂取しておくことが望ましいとされています。
食事や水分を摂ることによって、採血時の体調不良やめまいを予防できます。
感染行為時からの経過時間:感染が疑われる性行為から60日以上経過していない場合、正確な結果が出ないことがあります。
そのため、性行為から一定期間経過してから検査を受けましょう。

女性の注意点

梅毒検査の際に女性が注意するべき点は、以下の通りです。
月経中の検査を避ける:月経中には血液が多量におりものに混入するため、検査に適さない場合があるため、経血のピークが過ぎてから検査を受けましょう。
梅毒の検査は、通常は血液検査ですが、性器や他の感染部位からの標本採取が必要な場合もあります。
その場合、月経の影響を受ける可能性があるため、月経周期を考慮することが特に重要です。
入浴を避ける:検査直前に入浴すると検査ができなくなるため、入浴やシャワーを浴びないよう注意してください。

梅毒の検査はいつから受ければいいか

梅毒の検査は、感染したときから4週間ほど経過しないと、感染していても陽性反応がでないことがあります。
そのため、感染の可能性のある性行為から4週間以上経ってから検査をしたほうが、正確な結果が得られます。
ただし、検査キットや自己判断で検査をする場合は、個人差や感度の問題もあるため、注意が必要です。

病院での検査と検査キットの違い

病院での検査と検査キットの違い
病院での検査と検査キットの違いについて解説します。

病院での検査のメリット

保健所ではHIV、梅毒、淋菌、クラミジアなどの基本的な性病や感染症しか検査できません。
しかし、病院ではこれら以外にもHPV(人間乳頭ウイルス)、エイズ(艾滋ウイルス)、淋菌性肺炎(肺結核)、麻しん(麻しん菌)、トキソプラズマ(トキソプラズマ菌)など、性病や感染症に対する検査が受けられます
また、病院で検査を受ければ、そのままスムーズに治療を受けられます。
保健所ではHIVや梅毒などは治癒可能な場合がありますが、他の性病や感染症は治癒困難な場合が多く、治癒後も長期間にわたって抵抗力を高める必要があります。

検査キットでのメリット

検査キットは、病院に行かなくても自宅で簡単に検査できるという利点があります。
特に、病院が遠くて行けない方や、病院に抵抗がある方にとっては大きなメリットです。
また、検査キットは匿名で検査することが可能であるため、プライバシー保護にもつながります。

梅毒の治療方法

梅毒の治療方法
梅毒の治療方法について解説します。

抗生物質

梅毒の治療には、抗生物質(ペニシリン系)が用いられます。
抗生物質の種類や投与方法は、梅毒の進行度や個人差によって異なりますが、一般的には以下のような基準で決められます。
・早期顕症梅毒(Ⅰ期):2~4週間
・潜伏梅毒(Ⅱ期):4~8週間
・晩期顕症梅毒(Ⅳ期以降):8~12週間
抗生物質の投与期間中は、性的接触を避けることが重要です。
また、抗生物質を服用しても完全に治ったと思わずに、定期的に血液検査を受けることも必要です。
血液検査では、抗体の有無や量を測定することで、感染の有無や回復度を判断します。
現在、日本ではベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤という新しい抗生物質が承認されています。
この薬剤は、2021年9月から国内で製造販売されており、早期顕症梅毒(Ⅰ期)から晩期顕症梅毒(Ⅳ期以降)まで幅広く使用される予定です。

注射

梅毒の治癒には、注射(ペニシリン系)も用いられます。
注射の種類や投与方法は、梅毒の進行度や個人差によって異なりますが、一般的には以下のような基準で決められます。
・早期顕症梅毒(Ⅰ期):1回だけ
・潜伏伏梅毒(Ⅱ期):週に1回、計3回
・晩期顕症梅毒(Ⅳ期以降):週に1回、計3回
家族と同居しているために家で内服したくない方や、1回の治療をすませたい方には、注射が推奨されます。

まとめ

まとめ
ここまで、梅毒の検査はいつから受ければいいかについてお伝えしてきました。
梅毒の検査はいつから受ければいいかについてまとめると、以下の通りです。
梅毒は、血液中に梅毒螺旋体が存在するかどうかを調べるために、抗体や抗原と呼ばれる物質を測定する血液検査によって主に判断される
梅毒検査は、感染の可能性のある性行為から4週間以上経ってから検査を受けるとよい
・病院での検査は、検査種類が豊富かつ検査後すぐ治療を受けられる一方、検査キットは、自宅で検査できプライバシーも保護できる
これらの情報が皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師