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性病検査は病院の何科で受けられる?性病の種類・症状・検査キットについて解説

 公開日:2024/05/10
性病検査 病院

性病のなかでも、梅毒にかかる患者さんが増加傾向にあることをご存知でしょうか。

日本では2022年以降の厚生労働省の調査で、梅毒にかかる人の割合が男性は20~50代・女性は20代が突出していると報告しています。そのため、厚生労働省では注意勧告とともに性病の検査を推奨しているそうです。

なお、性病の5類感染症といわれるものに性器クラミジア感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・淋菌感染症・尖圭コンジローマ・梅毒があります。

本記事では、この5種感染症に加えHIVの症状や診療科および検査方法を解説しますので、心配な症状があれば本記事を参考にしてください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査は病院の何科で受けられる?

北海道江差保健所
性病は早期の発見が治療の完治に結び付くので、不安がある人は早めに保健所や医療機関を受診しましょう。
なお、性病は症状がでている部位によって医療機関が異なります。

  • 泌尿器科=男性生殖器
  • 産婦人科=女性生殖器
  • 皮膚科=皮膚に症状がでている場合
  • 耳鼻咽喉科=喉や口腔内

検査方法は、血液検査や尿検査などが一般的ですが、症状により検体の採取が必要になる場合があります。ここからは、主に性病の診療を行う診療科や保健所を紹介します。

性病内科

性病内科は、性行為などで感染する性病を専門とする内科です。専門クリニックのため医師や看護師などのスタッフは、性病の専門的な知識を持っているスタッフが在籍しています。
なお、性病の原因は多数考えられますが、性病クリニックは男女を問わずあらゆる検査に対応しています。
そのため、性病内科で検査を受けるとどの感染症かわからない場合でも、ひととおりの病原体検査をセットで受けることが可能です。
なお、性病の検査費用は、症状がでていない場合の検査は健康診断などと同じ扱いになり自費診療になります。
この場合の検査の費用は約20,000~40,000円(税込)で、検査にかかる時間は30分程です。ただし、治療が必要となる疾患の場合は保険が適用されます。

泌尿器科

泌尿器科は、泌尿器の病気と男性生殖器が診療の対象です。男性の性病は尿道周辺に症状がある場合が一般的なため、泌尿器科を受診するのがおすすめです。
また、泌尿器科を受診した際に性病の症状がでている場合は保険が適用されます。
なお、泌尿器科は女性泌尿器科もありますが、女性の性病の場合は婦人科や性病内科を受診する場合が多いようです。

婦人科

婦人科では女性生殖器の診断をします。女性が性病にかかった場合にでる症状は以下のものがあります。

  • おりものが増量
  • おりものの色の変色(黄色や黄緑色)
  • 外陰部の痒み・腫れ
  • 外陰部の潰瘍
  • 発熱
  • 性交痛・排尿痛
  • 不正出血

このような症状がある場合は婦人科で相談しましょう。なお、婦人科で行われる性病検査の予測検査の費用は、検査項目の数によって異なりますが約4,000~20,000円(税込)です。

保健所

性病は保健所でも検査を実施しています。保健所での検査は無料ですが、実施日や場所が決まっているので事前に各市町村のホームページで確認しましょう。
なお、保健所にもよりますが匿名でHIVや梅毒の検査を受けることも可能です。また、HIV通常検査の結果がでるのは1週間程度先になるでしょう。
結果を急ぐ人には、当日に検査結果がわかるHIV(迅速)検査もあります。感染の疑いがある行為をしてから3ヵ月以上経過していて、陰性と判断された場合は心配ありません
3ヵ月以内で陰性と判定された人は3ヵ月後の再検査が推奨されています。感染後1ヵ月以内は抗体が検出されるので、感染していないと判断するために3ヵ月以上経ってからの検査を推奨しているそうです。
陽性の判定がでても偽陽性の可能性があるので、もう一度精度の高い確認検査を行います。1~2週間後に判定結果が知らされます。

主な性病の種類

股をおさえる人
性病は性的な接触によって人から感染する可能性がある感染症です。性器や口の粘膜または皮膚からが感染経路になります。
性病は、アナルセックス(肛門性交)やオーラルセックス(口腔性交)などでも感染症を誘因する場合があります。
コンドームを正しく使用することで防止する確率はあがりますが、オーラルセックスでコンドームを使用する人は少ないため感染が広がるそうです。
ここからは、主な性病を解説します。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、性病のなかでは発症率の高い感染症で男性より女性の割合が多めな性病です。
なお、女性の場合は症状があまりないので、感染に気付かず放置すると以下の合併症を引き起こすことがあります。

  • 不妊症や子宮外妊娠
  • 子宮頸管炎
  • 骨髄内付属器炎
  • 肝周囲炎

また、妊娠中の女性が感染すると出産時に産道から新生児に感染する可能性があります。一方、男性の自覚症状では尿道炎が多くでているようです。

  • 精巣上体炎
  • 排尿痛
  • 尿道の不快感
  • かきたくなる痒み

潜伏期間は2~3週間程で、診断は抗原検査や遺伝子排出法が用いられるので検査キットでも検出可能です。また、治療は抗菌薬の投与になります。

性器ヘルペスウイルス感染症

性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルスの感染により、性器や周辺または肛門に痛みや痒みが伴う水泡や潰瘍などの病変がみられる感染症です。
感染は性交によって起こりますが、相手が無症状の場合も性器の粘膜や分泌液・唾液にウイルスが存在していれば感染する可能性があるでしょう。
なお、潜伏期間は2~21日間です。検査方法は、病変部位をこすって検体を採取し、抗原検査や顕微鏡での観察を行います。
また、治療には抗ウイルス薬の服用や塗布および痛み止めなどが処方されます。性器ヘルペスウイルスは根治が困難なため再発を繰り返す場合もあるようです。
さらに、性器ヘルペスは髄膜炎を合併する場合があります。また、妊婦が出産時にヘルペスウイルスを排出していた場合は新生児も感染し重篤な症状がでることがあります。

淋菌感染症

淋病男性に多発する性病です。男性が感染すると強い痛みの症状が現れますが、女性の場合は無症状の場合が多いようです。自覚症状がないため、受診しない方も少なくありません。
なお、感染すると以下の合併症が起こることがあります。

  • 淋菌性尿道炎
  • 子宮頚管炎
  • 尿路性器感染症
  • 咽頭炎
  • 膣炎

潜伏期間は2~9日程で、検査は尿や尿道・膣分泌液・おりものなどの培養検査やPCR検査を行います。また、治療は抗菌薬の筋注や経口摂取などです。
なお、淋病は弱い菌のため粘膜から隔離すると数時間で感染性を失い、日光・乾燥・湿度の変化・消毒薬で死滅するのが特徴です。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスなどが原因のウイルス性の性病です。生殖器と周辺または肛門の周りに白・褐色・茶色・ピンクのイボができます。
また、イボが増えると鶏のとさかやカリフラワーのような特徴的な形を形成するようになります。このため、視診での診断が可能です。
それ以外の自覚症状は少なく、20~30%は3ヵ月以内に自然消退する良性の感染症です。
なお、潜伏期間は数週間~3ヵ月で、治療は薬の塗布やイボを取る外科治療があります。

梅毒

梅毒は、らせん状の細菌性の性病です。また、梅毒は第1~4期に分類され段階ごとに症状が変化するのが特徴です。
梅毒は低酸素状態のなかでしか長期の生存が不可能なため、感染経路は第1~2期の感染者との性行為や類似性行為になります。
ただし、稀に手指の傷を介して汚染物質に接触して感染する場合があります。以前は輸血によって感染する症例がありましたが、近年の報告はありません。
また、妊婦が感染すると胎盤を介して胎児が感染することがあります。
感染していても出生時には無症状で生後数ヵ月して、水泡性発疹などの皮膚症状や全身性琳派期腫脹などの症状がでる場合があるので注意が必要です。
なお、潜伏期間は約3週間で、治療はペニシリン系の抗菌薬が有効とされています。

HIV・エイズ

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による感染症のエイズ(AIDS)は、適切な服薬治療を受けることで免疫力を保ったままで通常の生活を送れます。
主な感染経路は、性交渉・母子感染・血液感染などがあります。血液や体液を介する接触がなければ、日常生活をするなかで感染するケースはほぼないでしょう。
HIVは体外では不活化するもろくて弱いウイルスです。ただし、性器にヘルペスウイルスによる潰瘍性病変がある場合、エイズの原因である免疫不全ウイルスを相互に移し合う可能性が高まります。
なお、潜伏期間は1~3ヵ月で、3ヵ月未満のときに陰性判定がでても3ヵ月以降に再検査が必要です。また、治療は3剤以上の抗HIV薬を組み合わせて服用します。

性病の症状は?

下腹部を押さえる男性
ここでは、前述の6つの性病の男女別の症状を詳しく解説します。同じ性病でも男性と女性では症状の出方に多少の違いがあります。
以下の症状に思い当たる点があれば早めに保健所や医療機関を受診しましょう。

男性にみられる性病の症状

男性にみられる性病の症状を感染症別に解説します。

  • 性器クラミジア感染症:尿道炎・尿道不快感・精巣の腫れと発熱・掻痒感
  • 性器ヘルペスウイルス感染症:性器や肛門の水泡や潰瘍・発熱・足のリンパ節の腫れや痛み・尿道からの分泌物
  • 淋菌感染症:淋菌性尿道炎・排尿時の激痛・膿性分泌物・精巣周辺の腫れと熱
  • 尖圭コンジローマ:亀頭や陰嚢、肛門周辺にイボ・隆起性病変
  • 梅毒:性器や口腔内のしこりやただれ・体中の発疹
  • HIV/エイズ:発熱・咽頭痛・筋肉痛・帯状疱疹・リンパ節腫脹・頭痛・倦怠感

なお、これらの症状は個人差があるため、必ず症状が伴うとは限らず無症状の場合もあります。

女性にみられる性病の症状

女性にみられる性病の症状を感染症別に解説します。

  • 性器クラミジア感染症:喉の違和感・不正出血・性交痛・早期流産・不妊
  • 性器ヘルペスウイルス感染症:外陰部の不快感・水泡・潰瘍・排尿痛・排尿障害・足のリンパ節の腫れや痛み・発熱
  • 淋菌感染症:発熱・下腹部痛・喉の違和感・おりものの増量・不正出血・性交時の痛み
  • 尖圭コンジローマ:外陰部腫瘤・おりものの増量・掻痒感・疼痛・隆起性病変
  • 梅毒:性器や口腔内のしこりやただれ・体中の発疹
  • HIV/エイズ:発熱・咽頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹・頭痛・帯状疱疹・倦怠感

女性の場合、性器クラミジア感染症・淋菌感染症は自覚症状がでない場合があります。
しかし、米国では2つの感染症は骨盤炎症性疾患・卵管不妊症・子宮外妊娠・慢性骨盤痛の原因になることが報告されています。

自宅にいながら検査が受けられる検査キットとは?

研究・科学者イメージ
性病が心配だけれど病院に行くことを躊躇しているのなら、インターネット購入ができる性病検査キットがあります。
検査キットは、説明書どおりに検体を採取して返送すると、最短で4日程で結果が確認できます。ただし、検査キットは登録衛生検査所の認可のある検査機関で購入しましょう。
認可を受けている登録衛生検査所では、病院とほぼ同じ精度で菌を検出する機器を備えているため、信頼性の高い検査結果がでると考えられます。
なお、検査の結果が陽性であった場合は、早めに医療機関で詳しい検査をしましょう。

編集部まとめ

避妊具
性病のなかには長期に渡り症状が改善されず重篤な事態を招く恐れがあるものもあります。なお、性病はコンドームを使用すると回避できる可能性が高いそうです。

ただし、梅毒などはオーラルセックスやキスでも感染する場合があります。近年は若い層の梅毒が増加傾向にあり厚生労働省では、性感染症の5類感染症の動向調査を実施しています。

もしも、感染したかもという心配があるのなら、自宅で検査キットを取り寄せて検査をすることも1つの選択肢として考えてみましょう。

なお、保健所は無料で検査を実施しています。保健所は実施日や場所の指定がありますが、匿名で検査ができる場合もあるので確認してみるとよいでしょう。

また、性病は一人に症状がある場合は、パートナーも同じ病気の可能性が高いため、できれば一緒に検査を受けるようにしてください。

この記事の監修医師