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性病の即日検査なら当日に結果がわかる!検査できる性病の種類などを解説

 公開日:2024/05/21
性病の即日検査なら当日に結果がわかる!検査できる性病の種類などを解説

性病検査には、性病にかかっているかどうかがわかるまで数日から数週間程度かかる通常検査のほかに、当日に結果がわかる即日検査があります。検査当日に結果が出るので、もし陽性であった場合でもすぐに治療を始めることが可能です。ただし、即日検査ができる性病の種類は限られていて、また注意しておきたい点もあります。そもそも性病検査が気になっていても、検査方法などがわからずに不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事で性病検査について知った上で、安心して検査を受けましょう。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査の基礎知識

性病検査の基礎知識

現在、性病を罹(り)患しているか、またどの性病なのかは、医師の視診以外では検査によってわかります。性病検査はなぜ必要なのか、即日検査とは何か、どこで検査を受けられるのか。性病検査についての基礎知識をご紹介します。

性病検査とは?

HIV、梅毒、淋(りん)病、クラミジアなど、性病(性感染症)にはさまざまな種類があります。主に性行為によって感染するため、性行為を経験したことがある人なら誰でも感染するリスクがある病気です。性病は日本でも感染者が多い病気ではありますが、自覚症状のないことが多く、自身が感染していることに気づかないまま症状が悪化したり、別の人に感染させたりするケースが多いのも特徴です。どの性病も、検査によって罹患しているかどうかを判断することができます。性病は早期発見、早期治療が非常に大切です。感染の不安がある方はもちろん、気になる症状がなくても定期的な検査を行うことをおすすめします。

通常検査と即日検査の違い

代表的な例として、HIVの性病検査には通常検査と即日検査があります。通常検査は、スクリーニング検査で陽性だった場合に、確認検査も実施した上で確定結果を後日お伝えする検査です。そのため、通常検査は実施機関にもよりますが、結果が出るまで1〜2週間程度かかります。
即日検査は、陰性の結果がその日のうちに出る検査のことです。スクリーニング検査で陰性であった場合、検査を受けたその日のうちに検査結果を知らせてくれます。
HIVのほか、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、クラミジアを対象としている即日検査もあります。即日検査については、検査を受けられる条件がある場合や検査精度が低いこともあるため、正確な検査を望む場合は通常検査を受けるようにしてください。

性病検査を受けられる施設

性病検査は、主に自治体の保健所、医療機関、検査キットによって検査が受けられます。自治体の保健所の場合は、HIV検査であれば無料かつ匿名で実施可能です。そのほか、自治体にもよりますが、梅毒クラミジア、B型肝炎、C型肝炎などの検査を受けることもできます。
保健所で検査ができない項目については、医療機関や検査キットを利用しましょう。なお、医療機関や検査キットの場合、多くは自費での検査となります。

性病の主な検査方法

性病の主な検査方法

性病検査と言っても、どのような検査方法かわからないと不安だと思われる方も多いでしょう。性病検査は、検査する項目などによってさまざまな検査方法があります。実施されている代表的な性病の検査方法をご紹介します。

尿やおりものの検査

クラミジア淋病、カンジダ、トリコモナスなどの検査の場合は、男性は尿検査、女性はおりもの(膣[ちつ]分泌液)、または膣の内側の粘膜を軽くこすって採取した分泌物を用いて検査を行います。
尿検査の場合は、尿道にいる細菌の有無を調べるため、細菌が混じりやすい出始めの尿(初尿)で検査をします。女性の場合は、子宮頸(けい)管の粘膜部分またはおりものを、綿棒などで軽くぬぐって採取した分泌液によって検査を行います。

視診

できものができる性病など、見た目でわかるものについては、医師が視診によって判断します。視診でわかる性病には、性器ヘルペスと尖圭コンジローマが挙げられます。また、場合によっては男女ともに視診の後で、病変部分から採取した細胞を使って検査を実施することがあります。ただし、性器ヘルペスや尖圭コンジローマは視診のみでの診断がほとんどであり、細菌検査を行うのもすでに症状が出ている場合のみ可能です。

抗体検査

血液検査による抗体検査も性病検査方法の一つです。HIV(エイズ)、梅毒、B型肝炎、C型肝炎の検査の場合は、男女ともに健康診断の採血よりも細い針を用いて、少量の血液を採取します。検査項目にもよりますが、当日中に検査結果がわかるものもあります。なお、HIVの検査については、スクリーニング検査と確認検査という2段階の検査を行って診断を進めます。

即日検査が可能な性病の種類

即日検査が可能な性病の種類

すでに説明したように、性病検査には即日検査によって当日中に検査結果がわかるものがあります。ここでは、即日検査が可能な性病の種類をご紹介します。なお、即日検査ができるかどうかは検査の実施機関によって異なります。即日検査を希望する場合は、検査機関が事前に対応できるかどうか、条件などをよく確認しておきましょう。

梅毒

梅毒は、皮膚や粘膜の小さな傷から菌が侵入することでさまざまな症状を引き起こします。感染すると、四期に渡って症状が出たり消えたりを繰り返しながら進行していきます。
梅毒は症状が一時的に消失するため、すでに治ったと思い込んでしまうケースや、感染していることに気づかないまま感染を拡大させる危険性があります。感染の拡大だけでなく、放置によって治療が遅れると脳や神経に重大な後遺症をもたらすこともあるため、注意が必要です。
梅毒の検査は血液検査です。即日検査の場合は15~30分程度で結果がわかります。もし陽性だった場合は精密検査を受け、改めて感染が確認されれば治療として抗生物質などが処方されます。

クラミジア

クラミジアは性感染症の中で最も多い疾患であり、性器同士だけではなく性器から喉へと感染することもあります。ほとんどの場合は無症状ですが、放っておくと男性は精巣上体炎、女性は不妊症の原因となります。
クラミジアの検査は、男女ともに感染の機会から24時間後以降であれば検査が可能です。男性の場合は尿、女性の場合は膣分泌液を使って検査をします。即日検査の場合は15分~1時間程度で検査結果がわかります。なお、喉への感染が疑われる場合は、スワブ法やうがい液法で検査を行います。

淋病

淋病は、感染者数がクラミジアの次に多いといわれる性病です。主に性交渉で感染し、男性は尿道、女性では子宮頸管、膣への感染が多く見られます。男性の場合は、排尿時の強い痛み、尿道から黄色や白色の膿が出る、尿道の出口が赤く腫れるなどの症状が出ます。女性の場合はその多くが無症状です。放置すると、男性は無精子症、女性は不妊症にまで進行する可能性があります。
男性であれば尿、女性は膣分泌液を使っての検査となります。即日検査の場合は30分程度で検査結果がわかりますが、精密検査となった場合は数日程度かかります。

HIV(エイズ)

HIVは、「ヒト免疫不全ウイルス」という免疫細胞を攻撃するウイルスのことです。そしてエイズとは、HIV感染によって「後天性免疫不全症候群」という病気の状態を指します。エイズになると体を守る免疫細胞が減り、健康な人なら感染しない菌やウイルスに感染して、さまざまな感染症が引き起こされます。HIVの感染経路として、最も多いのが性行為です。HIVを含む精液、膣分泌液、血液などが性行為によって相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口から体内に入ることで感染します。
HIVの検査は血液検査です。即日検査の場合はスクリーニング検査として、15分~1時間程度で結果がわかります。スクリーニング検査で陽性となった場合は、1~2週間後に結果がわかる確認検査を行う2段階検査が行われます。

膣カンジダ、細菌性膣炎、トリコモナス

膣カンジダは、カビの一種であるカンジダ菌が感染して炎症を引き起こします。おりものの異常や陰部のかゆみが症状として現れます。
細菌性腟炎は膣内細菌のバランスが崩れたことで発症する感染症です。細菌性腟炎では、灰色や白色のサラサラしたおりものが大量に生じます。
トリコモナスは主に性行為で感染しますが、下着やタオル、便器や浴槽など、性行為以外が感染経路になるケースもあります。トリコモナスは、女性は膣炎や膀胱(ぼうこう)炎、男性は尿道炎を起こして症状が出現することがありますが、自覚症状がないことも多い病気です。
検査は膣分泌液を使っての検査、男性の場合は尿検査です。即日検査の場合は30分程度で検査結果がわかります。

即日検査の注意点

即日検査の注意点

検査当日に結果がわかるのが即日検査の最大のメリットです。すぐに結果がわかる一方で、即日検査には注意点もあります。注意点をしっかりと理解した上で、即日検査を利用しましょう。

通常検査ほど精度は高くない

即日検査の場合は、通常検査と比較して精度が高くありません。感染していた場合でも何割かは陰性判定が出る場合があります。すでに症状が出ている場合や、感染不安がありしっかりと検査したい場合は、通常検査をおすすめします。

検査だけではわからない性病もある

即日検査や検査キットによる検査ではわからない性病としては、視診による診断が必要な性器ヘルペスや尖圭コンジローマが挙げられます。これらの性病は、患部を視診することで判断できるため、基本的に検査は視診によって症状が見られた場合に限られ、即日検査だけではわかりません。

潜伏期間(ウインドウピリオド)がある性病も

病気にはそれぞれウインドウピリオド(ウインドウ期)と呼ばれる潜伏期間があります。潜伏期間中は、罹患していても検査では陰性になる場合があるため、一定の期間が経ってから検査をする必要があります。
B型肝炎、C型肝炎、梅毒などは数ヵ月以上という長い潜伏期間を持つ性病です。そのほかの性病についても、数日から数週間程度の潜伏期間があるため、感染機会から一定の期間が経過した後でなければ、検査を受けても陰性となる場合があります。そのため、性病検査はこまめに受けるようにするといいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

性病の即日検査について、詳しく説明してきました。簡単にまとめると、性病の主な検査方法は、尿やおりものの検査、視診、血液採取による抗体検査の3つ。結果がわかるまでの期間は通常検査であれば数日から数週間程度のところ、即日検査の場合は当日中に結果を知ることができます。ただし即日検査の場合は、検査できる性病の種類が限られているほか、通常検査と比べて精度が低い点には注意が必要です。ご自身の状況に合わせて、通常検査や即日検査を使い分けるなどして、性病検査に臨んでください。

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