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更年期に太る人と痩せる人がいるのはどうして?理由と対策を解説!

 公開日:2024/04/12
更年期に太る人と痩せる人がいるのはどうして?理由と対策を解説!

「年を取ると太りやすくなって…」「若いときは、ちょっとダイエットしたら体重がすぐに落ちたのに」「食事の量には気を付けているのに、水飲んだだけでも太るのかも」と、中高年の女性が集まれば、健康と体重の話になります。
年齢を重ね更年期を迎えると、女性の体には大きな変化が起こり、容姿や体形にも表れてくるのは致し方ないことで、若いときのようにはいかないとあきらめムードの方が多いようです。

しかしながら、同じ更年期を迎えていても若いときと同じようにスリムな体形を保つ人や年をとって体重を落とす人もいます。これはいったい何の違いなのでしょうか。更年期に太る・痩せる理由と対策をご紹介します。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

更年期に太る人は多い

更年期に太る人は多い

食べ過ぎているわけでもないのにお腹周りに脂肪がつき、まったく落ちない、健康診断の結果でメタボリックシンドロームの基準値を超えるなど、歳を重ねて急激な体の変化がおこることがあります。

更年期を迎えて、体重の増加や体形の変化に戸惑い、悩む人が多いようです。「国民健康・栄養調査 (2018年)」を見ると、女性の平均体重は30〜39歳の平均体重は53.4kg、40〜49歳では55.8kgとなっています。このデータからも、でしょう。

 

そもそも更年期とは?

更年期とは、閉経前後の約10年間を指す言葉です。閉経とは、卵巣の機能が消失し、月経が完全に止まった状態のこと。1年以上月経が来ていない状態が確認された時点で、最後の月経があった年齢を閉経年齢とします。閉経年齢は、個人差がありますが、早くて40歳代前半、遅くて50歳代後半には閉経を迎えます。日本人では約50歳前後で多くの人が閉経となります。

つまり、45〜55歳頃の10年が更年期となることが一般的といえます。更年期では女性ホルモン濃度が大きく揺らぎながら低下していくため、月経異常を含めさまざまな症状がみられるようになります。特に症状が重く生活に支障をきたすものは「更年期障害」と呼ばれ、薬物などで治療を行うことがあります。

 

更年期はお腹周りが太ることが多い

50歳前後の更年期の女性は、ただ太りやすくなるだけでなく、太り方そのものがそれまでと変化します。

例えば、更年期にはメタボリックシンドロームとなる人が増えます。メタボリックシンドロームとは、女性は腹囲90㎝、男性は85㎝を越え、さらに血圧・血糖・脂質のうち2つ以上が基準値を超えた場合に診断されるものです。内臓に脂肪がついていることから「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、ただ「太っている」というものではなく、動脈硬化を引き起こす可能性が高い状態を指すため、注意が必要です。

もともと女性は、お尻や太ももなどに皮下脂肪がつく、いわゆる「洋ナシ型肥満」といった太り方が多いのですが、更年期を迎え閉経すると、内臓周りに脂肪がつく「リンゴ型肥満」が増え、メタボリックシンドロームと診断される人が増えるというわけです。

更年期に太る理由

更年期に太る理由

更年期になると脂肪がつきやすくなる理由は次の3つです。

・加齢によって基礎代謝・筋肉量が減る
・自律神経が乱れてイライラする
・女性ホルモンが減る

それぞれの原因を、簡単に確認してみましょう。

 

加齢によって基礎代謝・筋肉量が減る

加齢による筋肉の減少で基礎代謝が落ちます。基礎代謝とは、生きているだけで消費されるエネルギーのことです。基礎代謝は10代(男性は15歳〜17歳、女性は12〜14歳)をピークに、年齢とともに筋肉量や、心臓・腸などの各臓器のエネルギー消費率は下がり、減少します。筋肉量が減少するとその分消費するエネルギーも減少し、「昔と同じ食事量なのに太る」ということが起きます。
基礎代謝量は、1日のうちに消費するエネルギーの約60〜70%を占めるので、基礎代謝が低下すると全体的なエネルギー消費量も下がり、太りやすくなります。
 

自律神経が乱れてイライラする

更年期になると、自律神経にも影響が出て、イライラしたり、気分が落ち込んだりと気分のムラが出やすくなります。そのため、過食をしたり、甘いものが無性に食べたくなったり、不用意にストレスをため込んだりするといったことが起きる場合があります。

食生活の乱れや過度のストレスから、余計に太りやすくなります。
 

女性ホルモンが減る

閉経が近づくと、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」が急激に減少します。エストロゲンには、脂肪の燃焼を促す作用があるため、エストロゲンの減少により体脂肪が燃えにくくなるのです。
また、エストロゲンの減少と同時に男性ホルモンの割合が相対的に増加します。男性ホルモンはもともと内臓脂肪を溜めやすい性質があるため、内臓脂肪が増えて、お腹周りが太ってきます。これが、先述したリンゴ型肥満が増える要因のひとつです。

エストロゲンの分泌量が減るのは閉経により、卵胞で女性ホルモンがつくられなくなり、副腎という臓器のみで作られるようになるからです。しかし、それだけでは女性ホルモンの製造が追いつかないため、脂肪でも女性ホルモンを作るようになり、結果として脂肪をより蓄えるようになってしまうのです。

更年期に太ることへの対策

更年期に太ることへの対策

女性ホルモンの減少やそれによる自律神経のはたらきの乱れは、体重の増減に大きな影響を与えています。健康的な痩せ方のポイントとして運動や食生活、漢方薬の効果、ストレスの緩和について紹介します。

 

定期的に運動をする

更年期太りの大きな要因となる筋肉量と基礎代謝の低下への対策として、定期的に運動することをおすすめします。

筋肉量と基礎代謝は相互関係にあり、筋肉量が増えれば基礎代謝だけでなく食事で発生する消費エネルギーなどの代謝がアップします。手軽に全身運動ができるウォーキングは、腕を振りながら歩く全身運動であるため、程よく筋肉に刺激を与え、全身を引き締めながら痩せることが期待できます。

ただし、更年期による突然の吐き気やめまいが不安な人は、室内でできる踏み台昇降など無理のない範囲で運動を習慣化してみましょう。1日30分以上、週3回以上の運動を目安に、脂肪を燃やすことを心がけてみてください。

 

イソフラボンを取り入れたバランスの良い食事

3食バランスのよい食事をとることを基本に、「タンパク質の不足に気を付ける」「イソフラボンを積極的に取り入れる」「食べる順番を意識する」といった点にも注意してみるとよいでしょう。

タンパク質は、筋肉や血液などの体の構成要素になるだけでなく、ホルモンなどの体を調整する機能にも必要な栄養素です。動物性か植物性なのかによって、働きや消化吸収する時間が違います。色々な種類のタンパク質を食事から摂取するように心がけましょう。

食べるときは、副菜から食べ始めると、血糖値が急に上昇せず、脂肪や炭水化物を体が吸収しにくくなります。食物繊維が豊富なゴボウなどの根菜類や、キャベツ、キノコ類などをよく噛んで食べるとよいです。次に、お肉や魚などの主菜を食べ、最後にご飯やパンなどの主食を食べます。ゆっくりよく噛んで食べることで、早めに満腹になるので、糖質の取りすぎや吸収を抑えられます

更年期で低下したエストロゲンを補うのには、大豆イソフラボンがおすすめです。大豆に含まれる大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ており、体の中で女性ホルモンのような働きをしてくれます。

更年期を迎え、体内にほとんどエストロゲンがない場合は、イソフラボンはエストロゲン様作用を発揮しまが、エストロゲンが十分に分泌されるときは、イソフラボンの作用がおだやかなことから、エストロゲンの働きを助長することはないため、付き合いやすい成分といえるでしょう。更年期に入り、エストロゲンの分泌量が減少した女性の体をサポートし、火照りやイライラなどの更年期の症状を和らげてくれます。

また、大豆イソフラボンには脂質代謝をサポートする働きもあるので、バランスのよい食事に取り入れれば、ダイエット効果も期待できます。

 

漢方薬を取り入れる

更年期太りの対策には、医薬品として認められている漢方薬がおすすめです。漢方薬のなかには、お腹についた脂肪を分解、燃焼したり、体内の脂肪の吸収を要請したり、脂質を便と一緒に押し出したりする効果が期待できるものがあります。

漢方薬は、植物や鉱物などの「生薬」をもとに作られており、一般的に西洋薬より副作用が少ないとされています。また、対処療法でなく根本的な改善によって太りにくい体質づくりを目指しています。

メタボリックシンドローム対策に適した漢方薬としては、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「大柴胡湯(だいさいことう)」があります。

「防風通聖散」は、ぽっちゃりした体形の人に向いている漢方薬で、便秘や高血圧、むくみなどでも使われます。「桂枝茯苓丸」は、比較的体力のある人向けの漢方薬で、更年期症状や下腹部痛、皮膚炎などにも使われます。「大柴胡湯」は、体力がある人向けの漢方薬です。肥満症や常に便秘しがちでお腹が苦しいという場合に用いられます。高血圧や神経痛などにも処方されます。

漢方薬を選ぶときは、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていないと、効果が出ないばかりか副作用が出る場合があります。漢方に精通した医師や薬剤師に相談し、適切な漢方薬を処方してもらうようにしましょう。

 

ストレスを溜めない

そもそも、女性ホルモンをつくってくれる副腎の一番大切な働きは、ストレスから身を守ることです。私たちがストレスを受けると、副腎が「コルチゾール」というホルモンを分泌して体を調節してくれます。ストレスを受けるほど副腎がコルチゾールを分泌する仕事が増えるため、女性ホルモンを十分に分泌できなくなるのです。

できるだけ日ごろからストレスをためないようにすることが大切です。ストレスを減らすのが難しい場合は、体をしっかりと休める時間を作るようにしましょう。疲れた時は、無理せずに休養することが一番です。普段から、体を安定させて自律神経を整えることで、ストレスをためにくい体をつくりましょう。

更年期では太る人と痩せる人がいる

更年期では太る人と痩せる人がいる

太りやすい更年期にもかかわらず、痩せてしまう人もいます。更年期で痩せる人は、「普段から習慣的に運動を続けている」「食べる順番や栄養バランスを意識して食事している」といった努力や習慣によって健康を維持しているからこその場合もあれば、「食欲不振や胃の調子がよくない」といった、健康に不安があることが原因の場合とがあるようです。

更年期に痩せる理由

更年期に痩せる理由

 食欲不振や胃の調子がよくないといった健康に不安があることによって痩せている場合、その原因が更年期による体の変化である可能性も高いです。具体的にみていきましょう。

自律神経の乱れで胃が弱る

更年期障害によって自律神経の働きが乱れ、胃の働きに影響を及ぼすことがあります。胃は自律神経の影響を大きく受ける部位のため、自律神経のバランスが崩れて胃酸が過剰に分泌され、神経性胃炎になることがあります。
自律神経が乱れることで、胃の痛みや胃のもたれ、胸やけが起こり、食欲が低下すると痩せる原因になります。

 

女性ホルモンの減少で食欲不振になる

エストロゲンは粘膜をつくるときに必要な女性ホルモンです。更年期になりエストロゲンの分泌量が低下すると、胃の粘膜が弱ってしまい、食欲不振になるのです。

更年期には太る以外にどんな症状が起こる?

更年期には太る以外にどんな症状が起こる?

 更年期には、のぼせ・ほてり(いわゆるホットフラッシュ)といった血管運動症状や気持ちの落ち込み・不安などの精神的症状、めまい・頭痛といった身体的症状がみられます。これらの症状がひどくなり、日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。

 

血管運動症状

血管運動神経症状とは、のぼせやほてり、発汗、動悸など、ホットフラッシュと呼ばれる症状です。「急に汗をかいたかと思うとすぐに冷える」「顔だけ汗をかいて恥ずかしい」といった状態になるので、それをきっかけに更年期症状を自覚して受診する人が多いようです。

汗が出る場所は、首から上が多く、顔の眼のふちや耳の後ろなど、今まで感じなかったところにも汗をかきます。脂汗というよりは、サラサラとした汗が出ます。汗の量は個人差があり、夜中にパジャマを何回も着替えなければならないほど非常に多くの汗をかく場合もあります。

 

精神的症状

精神的症状には、気持ちが沈む、イライラする、眠れないといった症状があげられます。誰かと会って話したり、出かけたりするのが億劫になったりする人もいます。

 

身体的症状

更年期障害は、腰痛や関節痛、肌肉痛、冷え、しびれ、疲れやすさなど、さまざまな身体的症状があります。更年期障害において必発症状はなく、一人ひとり症状は異なり個人差が大きいことが特徴です。

まとめ

まとめ

女性が更年期になると太る理由として、女性ホルモンや筋肉量、基礎代謝の低下など、体の内側に原因があることを紹介してきました。ホルモン対策としては、タンパク質の不足を補うことやイソフラボンを役立てること、筋肉量や基礎代謝の低下には、健康的な運動、バランスのとれた食事が有効です。

更年期は誰にとってもつらいものですが、不必要に翻弄されずに、自分の体に向き合って必要な対策を実践していきましょう。実践したことで更年期を抜けた後の体つきや瘦せやすさが変わってきます。前向きに取り組んでみてください。

更年期は誰にでもやってきます。一人で抱え込まずに、つらいときは周囲に相談してみるなども更年期を乗り切るためには必要なことです。婦人科に相談してみるのもいいですし、家族や友だちなどに自分の状態を話してみたりしてみいいでしょう。

この記事の監修医師