カンジダの治し方は?男女で違う?予防法についても併せて解説
カンジダは、かゆみや刺激感、そして特有のおりものが特徴で、治療を行わなければ症状が悪化することもあります。本記事ではカンジダの治し方について以下の点を中心に、男女別の症状から自宅でできる予防策までさまざまな情報をご紹介します!
・カンジダの症状
・カンジダの治療法
・カンジダの予防法
カンジダの治し方について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
そもそもカンジダとは?
カンジダ症とは、カンジダ属の真菌に起因する感染症です。この真菌は、人間の口腔、消化管、皮膚、性器などに常在しており、通常は健康に害を及ぼすことはありません。
しかし、免疫力の低下や、特定の条件下でカンジダ菌が過剰に増殖することで、感染症を引き起こします。
感染しやすい部位には、口の中、食道粘膜、陰部の粘膜、鼠径部(そけいぶ)、女性の乳房の下、脇の下、お腹のたるんだ部分などがあります。
カンジダ症の症状は感染した部位によりさまざまですが、皮膚のひだへの感染やへその中に発症する場合、赤い発疹が見られ、強いかゆみやヒリヒリとした痛みを伴います。
カンジダ症の早期治療のためには、早めの検査が大切です。
医療機関や保健所で検査を受けることができます。
医療機関での検査をためらっている方は、自宅で簡単に検査が行える検査キットがあります。
注文から検査結果の確認までWeb上で行えるため、忙しい方も利用しやすいサービスです。
カンジダの原因
カンジダ症を引き起こしやすい条件としては、以下のようなものがあります。
・免疫力の低下:体調不良や疲労が溜まっているとき、ストレスを感じているときなどは免疫力が低下しカンジダ菌が増殖しやすくなります。
・ホルモンバランスの変化:生理前後や妊娠に伴うホルモンバランスの変化が、カンジダ症を引き起こす要因となることがあります。
・薬剤の使用:長期間抗生剤やステロイドを使用することで、体内の常在菌バランスが崩れ、カンジダ菌が増殖しやすくなります。
・糖尿病:血糖値が高い状態が続くと、カンジダ菌の増殖を促すことがあります。
・締め付けのきつい下着や陰部の蒸れ:高温多湿の環境はカンジダ菌の増殖に適しています。
・性行為:性行為によって、感染したパートナーからカンジダ菌が伝わることがあります。
カンジダ症の発症には、これらの外的要因に加えて、個人の体質や健康状態も関係しています。
特に、免疫系が弱っている人や、長期間にわたって抗生剤を使用している人は、カンジダ症を発症しやすいとされています。
カンジダの症状
カンジダの症状を性別や部位別に解説します。
女性の膣カンジダ症の場合
女性の膣カンジダ症の主な症状には、以下のようなものがあります。
・外陰部のかゆみとヒリヒリ感これは膣カンジダ症の一般的な症状で、感染した部位が赤くなり、炎症を起こします。
・白く濁ったおりものポロポロとした、ヨーグルトのような白濁したおりものが特徴的です。このおりものは、下着に付着しやすく、感染の兆候としてすぐに気づくことが多いようです。
・排尿時や性交時の痛み膣内と外陰部の炎症が進行すると、排尿時や性交時に痛みを感じることがあります。
男性の性器カンジダ症の場合
男性の性器カンジダ症は、主に尿道や性器周辺の皮膚に影響を及ぼします。感染した場合には以下の特有の症状が現れます。
・尿道の症状違和感やかゆみが生じ、尿道炎を引き起こすことがあります。これにより、排尿時や性交時に痛みを感じることがあります。
・亀頭や包皮の症状亀頭や包皮周辺にかゆみやカサつき、赤みが生じます。また、ただれや白い分泌物の出現も見られることがあります。特に包茎の方は、雑菌が溜まり・やすく湿り気もあるため、カンジダにかかるリスクが高くなります。
口腔カンジダ症の場合
口腔カンジダ症の主な症状は、舌や頬の内側などの口腔粘膜に白い苔のようなものが付着することです。
この白苔をガーゼで拭って剥がすとその下が赤く腫れていることが多く、場合によっては出血や痛みを伴います。
また、舌のピリピリとした痛みや違和感のほか、味覚がおかしくなることもあります。
口角炎として、口の両端が赤く腫れたり、切れたりする症状も見られます。
カンジダの治療法
医療機関でカンジダの診断がついた後はどのような治療をするのでしょうか。カンジダ症の種類別に解説します。
女性の膣カンジダ症の場合
膣カンジダ症の治療には、まず局所の清潔と安静を保つことが重要です。通気性の良い下着を着用し、乾燥を促し、密着状態を避けることが大切です。石鹸での過剰な洗浄は症状悪化の要因となりうるため、ぬるま湯で簡単に流す程度で問題ありません。自己判断でステロイド外用薬を使用している方は、中止する必要があります。
治療には、腟錠や外用薬が用いられます。腟錠は連日投与と週1回投与の2通りがありますが、後者が選択される傾向にあります。
治癒の判断基準は、外陰部のかゆみや帯下などの自覚症状の改善です。
通常、90%のケースで治癒しますが、再発率は10%と高くなっています。なかでも、妊娠中や糖尿病の方は再発する可能性が高いとされ、初回治療とは異なる薬剤を使用する必要があります。
男性の性器カンジダ症の場合
男性の性器カンジダ症の治療には、抗真菌剤のクリームを塗布することが一般的です。
局所の清潔を保つことが重要であり、石けんなどで洗い過ぎると症状が悪化する場合があるため、注意が必要です。
亀頭や冠状溝を綿棒でこすり、培地で培養した後にカンジダを検出する方法で診断されます。
口腔カンジダ症の場合
口腔カンジダ症の治療の基本は、抗真菌剤を含んだうがい薬や塗り薬(軟膏)、場合によっては内服薬を使用します。
うがい薬は、口の中に5分間含んでから吐き出すことで、口腔内のカンジダ菌を減少させます。
塗り薬は、直接感染部位に塗布することで、局所的にカンジダ菌を抑制します。
難治性の場合や、うがいや塗り薬だけでは不十分な場合、抗真菌剤の内服が必要になることがあります。
カンジダは再発しやすい
カンジダ症は再発しやすい性質を持つ病気であり、性器カンジダ症の場合には、治療後も再発に注意が必要です。
再発の原因には以下のようなものが挙げられます。
・免疫力の低下ストレスや疲労、睡眠不足などが免疫力を低下させ、カンジダ菌の増殖を促します。
・不適切なデリケートゾーンのケア過度な洗浄や通気性の悪い下着の使用は、デリケートゾーンの環境をカンジダ菌が増殖しやすい状態にします。
・糖質の過剰摂取糖質はカンジダ菌のエネルギー源となり、過剰な摂取は菌の増殖を促します。
・性行為による感染性的パートナーからの感染や、治療中の性行為による再感染が原因で再発することがあります。
カンジダの予防法
カンジダ症にならないために、どのような予防ができるのでしょうか。
ストレスを溜めない
カンジダ症は再発しやすい性質を持っており、ストレスがその一因となっています。ストレスは身体の免疫力を低下させることで、カンジダ菌の異常増殖を促進させる可能性があります。日常生活においてストレスを溜め込むことは、カンジダ症の再発リスクを高めるため、ストレス管理が予防において重要です。
ストレスを減らすためには、まずは自分自身がストレスを感じている原因を把握することが大切です。仕事、人間関係、健康問題など、ストレスの原因は人それぞれ異なります。原因を特定したら、それを解消するための方法を考えましょう。例えば、時間管理を改善する、趣味の時間を持つ、適度な運動をする、十分な睡眠を取る、友人や家族とのコミュニケーションを大切にするなどが挙げられます。
また、リラクゼーション技法を学ぶことも役立ちます。深呼吸、瞑想、ヨガなど、心身をリラックスさせる方法を日常に取り入れることで、ストレスを軽減するのもおすすめです。
デリケートゾーンのケアについて
カンジダ症の予防において、デリケートゾーンの適切なケアは重要です。カンジダ菌は温暖で湿った環境を好むため、デリケートゾーンを清潔に保ち、乾燥させることが予防につながります。具体的な予防法としては、以下のポイントが挙げられます。
通気性の良い下着の選択:綿などの天然素材でできた下着を選び、通気性を確保することが重要です。合成繊維の下着は湿気を閉じ込めやすく、カンジダ菌の増殖を促してしまう可能性があります。
適切な洗浄方法:デリケートゾーンは、強い石鹸で洗いすぎないように注意しましょう。必要以上に洗浄すると、自然なバリア機能を低下させ、カンジダ菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。また、洗浄後はしっかりと乾燥させることが大切です。
濡れた衣類の着替え:水泳や運動後など、下着や水着が濡れた状態が長時間続くと、カンジダ菌の増殖につながります。そのため、できるだけ早く乾燥した衣類に着替えることが推奨されます。
おりものシートの使用に注意:おりものシートを使用する場合は、定期的に交換し、蒸れを防ぐことが重要です。また、おりものシート自体が刺激となり、症状を悪化させることもあるため、使用を控えることも検討しましょう。
糖分を摂りすぎない
カンジダ症の予防において、糖分の摂取を控えることは重要です。カンジダ菌は糖質をエネルギー源として増殖するため、過剰な糖分摂取はカンジダ症のリスクを高めます。なかでも、単純糖類を多く含む食品や飲料の摂取は、カンジダ菌の増殖を促してしまう可能性があります。
日常生活においては、甘い菓子類、清涼飲料水、果物、ハチミツなどの摂取を控えることが推奨されます。また、ファストフードや加工食品にも隠れた糖質が含まれていることが多いため、これらの食品の摂取も注意が必要です。健康的な食生活を心がけ、糖質の摂取量を適切に管理することで、カンジダ症の予防につながります。
ピンポン感染を防ぐ
カンジダ症の予防において、ピンポン感染を防ぐことは重要です。ピンポン感染とは、性的パートナー間で感染症が行き来することを指し、カンジダ症においても、一方が治療を受けている間にもう一方から再び感染することがあります。これを防ぐためには、以下の点に注意する必要があります。
両方のパートナーの治療: カンジダ症が疑われる場合、性的パートナーも含めて検査と治療を受けることが重要です。一方だけが治療を受けると、治療が完了しても再び感染するリスクがあります。
性行為の自粛: 治療中は性行為を控えることが推奨されます。感染が治まるまでは、性的接触を避けることで、互いに感染を繰り返すことを防ぎます。
カンジダ症のピンポン感染を防ぐためには、予防策を講じるだけでなく、感染した場合には迅速に治療を受け、パートナーとの間で感染が行き来しないように注意することが必要です。健康的な性生活を送るためにも、適切な予防と治療が重要となります。
まとめ
ここまでカンジダの治し方についてお伝えしてきました。
カンジダの治し方の要点をまとめると以下の通りです。
・女性の膣カンジダ症の症状には、外陰部のかゆみ、白く濁ったおりもの、排尿時おとび性交時痛がある。男性の性器カンジダ症は尿道や亀頭や包皮の症状を呈する。口腔カンジダ症では、舌や頬の内側などの口腔粘膜に白い苔のようなものが付着する
・腟カンジダには腟錠や外用薬、男性の性器カンジダ症には抗真菌剤のクリーム、口腔カンジダ症には抗真菌剤を含んだうがい薬や塗り薬(軟膏)が処方される
・カンジダの予防において、ストレス管理、適切なデリケートゾーンのケア、糖分を摂りすぎない、ピンポン感染を防ぐことが重要
カンジダの種類や治療法に対する理解は深まりましたか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献