淋病の症状について!症状は感染部位や男女の違いによってさまざま?
淋病の症状を知っていますか?
本記事では、淋病の感染部位や男女間における症状の違いについて、下記内容を中心に徹底解説していきます。
・淋病の症状
・淋病の感染経路
・男女それぞれの症状
淋病の感染部位や男女それぞれの症状について理解するためにも参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
そもそも淋病とは
淋病は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae, gonococci)によって引き起こされる、性感染症の1つです。
淋菌は、性行為によって容易に伝播し、感染力が高いとされています。
感染率は約30%ともいわれ、感染者との1度の性行為でも感染するリスクがあります。
淋菌は主に性器に感染しますが、オーラルセックスなどによって咽頭に感染することもあります。
多くの場合、感染しても自覚症状がないか、軽微であるため、感染者が感染に気づかずに性行為を続けることで、さらに病気が拡散します。
患者数の推移を見ると、淋病は過去10年間で横ばいの傾向にあり、性器クラミジアに次いで多い性病の1つです。
患者数は、女性よりも男性が多く、特に20代の若年層で報告数が増加しています。
男性では25〜29歳、女性では20〜24歳の報告数が多いですが、女性の場合は10代後半での罹患率が20代後半よりも高く、より若い世代に感染者が分布している傾向にあります。
淋病の感染経路
淋病の感染経路は、性行為を通じての接触です。
淋菌は粘膜から離れると生存できないため、人の粘膜と粘膜の接触によって感染します。
これは性行為だけでなく、性行為に似た行為を含む広範囲な接触にも感染のリスクがあります。
男性の場合、感染が尿道や肛門に生じることが多く、女性の場合は膣に感染が生じることが多いとされています。
また、男性が風俗などで感染し、その後、パートナーに感染を広げるケースも増えています。
キスや共有飲食による感染リスクは低いとされていますが、母子間でも感染リスクがあり、出産時に母親が感染していると子供にも感染する可能性があります。
淋病の症状
淋病の症状について、下記で詳しく解説します。
男性の症状
感染後の潜伏期間は通常2〜7日程度とされており、淋病に感染した男性は、以下のような症状があらわれることがあります。
・尿道の違和感やかゆみ:感染の初期段階であらわれることがあります。
・尿道炎:激しい尿道痛が特徴的であり、排尿時に特に顕著になることがあります。
・性器からの分泌物:黄白色のドロっとした膿のような分泌物が出ることがあり、これは淋菌感染の典型的な症状の1つです。
・精巣上体炎:淋菌感染が進行すると、精巣上体炎などのより深刻な病気を発症するリスクがあります。
最近では症状が典型的でない場合もあり、粘液性の分泌液が出たり、無症状だったりするケースもあります。
女性の症状
淋病に感染した女性の症状は、初期段階ではあまり顕著ではないことが多いですが、進行するとより深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
・排尿時の痛み:男性と同様に、排尿時に痛みを感じることがあります。
・おりものの変化:悪臭を伴うおりものが増える、またはおりものの色が黄色や緑色に変わることがあります。
・合併症:淋病が進行すると、卵管炎、腹膜炎、肝周囲炎などの重篤な病気を発症するリスクが高まります。
・胎児への影響:妊娠中の女性が淋病に感染すると、胎児に影響がでたり、出産時に合併症になったりするリスクが高まります。
・咽頭への感染:咽頭への感染がある場合、90%の人が無症状ですが、症状があらわれた場合は、喉の違和感や痛み、発熱、頭痛、頸部リンパ節の腫れなどがあります。
咽頭の症状
咽頭淋菌は、性器から口腔内の粘膜へ淋菌が感染することで発生し、その状態を淋菌性咽頭炎と呼びます。
淋菌性咽頭炎には、以下のような症状があります。
・喉の痛みや腫れ:咽頭炎に似た症状で、喉の痛みや腫れがあらわれることがあります。
・発熱:淋菌性咽頭炎により発熱することがあります。
咽頭淋菌の感染があっても、ほとんど症状が出ないことが多いため、感染しているにもかかわらず、気付かないことが少なくありません。
眼の症状
淋菌性結膜炎は、目に淋菌が感染することによって引き起こされる病状です。
成人では、性器からの分泌物が目に入ることで感染することがあります。
また新生児の場合、出産時に母体からの感染が原因で発症することがあります。
淋菌性結膜炎には、以下のような症状があります。
・瞼の腫れ:感染部位が腫れ上がることがあります。
・膿の分泌:クリーム状の濃い膿が出ることが特徴的です。
・眼瞼腫脹と結膜充血:高度な結膜の充血と浮腫、ビロード状の偽膜形成が見られることがあります。
・膿漏眼:多量の膿性眼脂が特徴的で、「膿漏眼」と呼ばれる状態になります。
・角膜の合併症:発症初期には稀に角膜に潰瘍が形成され、さらに進行すると角膜穿孔を起こすこともあります。
胎児への影響
妊娠中の女性が淋菌性結膜炎に感染している場合、出産時に子供に感染するリスクがあります。
これは産道感染と呼ばれ、出産時に子供が母親の感染した産道を通ることにより感染することがあります。
淋菌性結膜炎の潜伏期間は1〜3日と短く、特に早期破水がある場合は、より早く発症することがあります。
また、分娩中に淋菌が子供の目に感染すると、新生児結膜炎を引き起こす可能性があります。
新生児結膜炎は、子供の目が赤く腫れたり、分泌物が出たりするなどの症状を引き起こす可能性があります。
淋病の検査方法
淋病の検査方法について、下記で詳しく解説します。
検査①病院などの医療機関
淋病検査を医療機関で受ける際は、性感染症内科、泌尿器科、婦人科のいずれかを受診します。
病院では、尿検査によって尿中の淋菌DNAを検出し、淋病の感染有無を判断します。
また咽頭淋菌の疑いがある場合、喉の検体やうがい液を使用して検査することもあります。
淋病が確認された場合、病院やクリニックでは即座に治療を開始することが可能です。
適切な抗生物質治療により、感染の進行を防ぎ、長期的な健康への影響を減らせます。
検査②保健所
保健所では、無料で検査でき、匿名での検査も可能である一方、検査できる日程が限られています。
保健所での検査方法は、尿検査と血液検査をし、結果は1〜2週間後に再度保健所へ聞きに行くという流れになります。
検査③検査キットを用いた郵送検査
自宅でできる簡易検査キットは、病院に行くことに抵抗を感じる方に向いています。
検査キットは、性行為から24時間以上経過した後に使用可能です。
女性の場合、生理中は検査を避ける必要があり、生理完了後に検査することが推奨されます。
検査する際は、キットの中にある検体を採取する道具を用い、指示に従って検体を採取し、郵送または指定の方法で検査機関に送ります。
検査で陽性の結果が出た場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
また、検査キットは便利であるものの、医療機関での検査ほどの精度は期待できない場合があります。
淋病の治療法
淋病の治療には、抗菌剤が用いられます。
・セフトリアキソン:静脈注射または筋肉注射による単回投与が一般的です。
・スペクチノマイシン:筋肉注射による単回投与が一般的です。
・セフィキシム:経口服用が可能で、服用期間は通常1〜7日間程度です。
淋菌は、抗菌薬に耐性を持つことがあり、特定の抗菌剤が効かない場合があります。
そのため、治療が完了したと判断するには医師の指示に従ってください。
また、治療失敗例を放置すると、女性では不妊症の原因になる可能性があります。
他にも、淋菌は抗生物質に耐性を獲得する能力があり、これにより薬剤耐性菌が生じることがあります。
薬剤耐性菌は特定の抗菌薬が効かなくなるため、治療がより困難になる可能性があります。
自己判断で薬の服用を中止すると、薬剤耐性菌の発生を促す可能性があるため、処方された薬は最後まで飲みきることが大切です。
淋病の予防と注意点
淋病の予防と注意点について詳しく解説します。
予防の基礎知識
淋病の予防については、下記の通りです。
・コンドームの使用:淋病は、性行為(オーラルセックスを含む)を通じて粘膜接触によって感染するため、コンドームの正しい使用は感染リスクを大幅に減少させます。
性行為時だけでなく、性交類似行為においてもコンドームを使用することで予防できる可能性が高くなります。
・リスクの高い行動の回避:不特定多数との性行為や複数の性的パートナーとの関係は、感染リスクを高めます。
そのため、パートナーの数を制限することが大切です。
・予防接種と再感染のリスク:現在、淋病に対する予防接種は存在しません。
淋病に感染した後に治癒しても、免疫は獲得されないため、再感染する可能性があります。
・定期的な検査:無症状でも感染している場合があるため、特に感染リスクが高い行動をとる方は定期的な性病検査を受けることが重要です。
定期的な検査により、感染を早期に発見し拡散を防げます。
ピンポン感染の予防
淋病のピンポン感染を防ぐためには、以下の予防策が推奨されます。
・パートナー間の検査:淋病は、感染していても無症状の場合もあり、性的パートナーも感染している可能性が高いため、2人で一緒に検査を受けることが大切です。
・同時治療の重要性:淋病が診断された場合、当事者だけでなく性的パートナーも同時に治療を受けることが望ましいとされています。同時に検査を受けることによって、片方が治療を完了しても再感染するリスクを低減できます。
・性行為の自粛:治療中は、感染が完全に治癒するまで性行為を控えることが推奨されます。
また、治療が完了し、医師から再感染するリスクがないと確認できるまで、性行為しないことが重要です。
・正しいコンドームの使用:性行為を再開する際には、コンドームの正しい使用が再感染を防ぐために重要です。
コンドームは、淋病の他にも多くの性病から保護する効果が期待できます。
コンドームを使用せず性行為をすると、再感染のリスクも高まります。
・定期的な検査:定期的な性病検査は、無症状の感染を発見し、早期治療を可能にします。
特に、複数のパートナーがいる場合は、定期的な検査が重要です。
そしてパートナーがいる場合は、同時に検査することをおすすめします。
まとめ
ここまで、淋病の感染部位や男女間における症状の違いについて解説してきました。
淋病の感染部位や男女間における症状の違いについてまとめると、以下の通りです。
・淋病の症状には、尿道の違和感やかゆみなどがあるが、無症状で感染に気づかないこともある
・淋病の感染経路は、性行為を通じての接触であり、ほかにも出産時に母親が感染していると子供にも感染するリスクがある
・淋病に感染すると、男性の場合は尿道の違和感やかゆみ、性器からの分泌物などの症状があり、女性の場合は排尿時の痛みやおりものの変化などの症状がある
これらの情報が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。