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顔面神経痛(三叉神経痛)の初期症状は?顔面麻痺との違い・治療方法も解説

 更新日:2024/05/02
顔面神経痛(三叉神経痛)の初期症状は?顔面麻痺との違い・治療方法も解説

「」顔面神経痛を発症すると、日常生活の些細な刺激が誘因となり強い痛みを感じる方が多いとされます。

痛みはどのような部位・タイミングで現れるのでしょうか。今回の記事では、顔面神経痛の概要や症状・顔面麻痺との違い・治療方法を解説します。

岸田 悠吾

監修医師
岸田 悠吾(東京Dタワーホスピタル)

プロフィールをもっと見る
2002年 愛知医科大学卒業
日本赤十字社 愛知医療センター名古屋第二病院
2008年 愛知県がんセンター 分子腫瘍学部
2010年 名古屋大学 Global Center of Excellence(COE) research assistant
2012年 名古屋大学大学院 脳神経外科 博士課程卒業
2012年 福島県立医科大学 脳神経外科 助教
2013年 福島県立医科大学 脳神経外科 講師
2016年 日本赤十字社 愛知医療センター名古屋第二病院 脳神経外科・脳腫瘍外科 副部長
2023年 東京Dタワーホスピタル 脳神経外科

顔面神経痛(三叉神経痛)とは

顔面神経痛(三叉神経痛)とは
三叉神経痛は顔面神経痛のことです。
三叉神経(さんさしんけい)とは、顔全体・舌などの感覚をつかさどる神経です。三叉神経は名前の通り、こめかみの周辺で3つに枝分かれしており、それぞれ下記の領域に広がっています。

  • 第1枝領域(眼神経):眼の周囲
  • 第2枝領域(上顎神経):頬骨から上唇
  • 第3枝領域(下顎神経):下顎骨に沿う

顔面神経痛は三叉神経が圧迫されることで起こり、電流が流れるような突発的で鋭い痛み(電撃痛)が特徴です。
顔面神経痛の主な原因は、頭蓋内で血管が拡張し三叉神経を圧迫することと考えられています。しかし、脳腫瘍などの病的な原因により神経が圧迫されて、顔面神経痛の症状が現れている可能性もある点には注意が必要です。

顔面神経痛(三叉神経痛)の初期症状

顔面神経痛(三叉神経痛)の初期症状
前述の通り、顔面神経痛の主な症状は顔面の電撃痛です。
なお、今回の記事では主に、特発性顔面神経痛に関して解説します。特発性顔面神経痛とは、血管により三叉神経が圧迫されて起こるタイプの顔面神経痛です。
これに対して、多発硬化症・腫瘍性病変・動静脈奇形・ニューロパチーなど別の病気が原因となって引き起こされる顔面神経痛を、二次性(症候性)顔面神経痛といいます。

短時間の電撃痛が顔の左右どちらかに起こる

電撃痛とは継続的なものではなく、ふとした瞬間にビリッとした強く鋭い痛みが走ることをいいます。
痛みの継続時間は短く、強い痛みは数秒~数十秒でおさまるでしょう。しかし、痛みの頻度には個人差があり、重症例では痛みの頻度が高く日常生活に支障をきたすこともあります。
また、症状は左右いずれかに現れることが多い点も、顔面神経痛の特徴です。
三叉神経は脳から両耳付近を通ってそれぞれ左右の顔面の感覚をつかさどっているため、例えば右の三叉神経が圧迫された場合に症状が現れるのは顔面の右側のみです。
ただし、顔面神経痛の3~5%程には両側性の痛みがみられます。このような場合は、多発硬化症など中枢神経系疾患を原因とする二次性顔面神経痛の可能性もあり注意が必要です。
なお、顔面神経痛の主な症状は痛みですが、強い痛みに伴い表情筋が不随意に収縮する疼痛性チックが現れる場合があります。
疼痛性チックは痛みとは異なり、周囲の人から見てもわかる症状なので気になるという患者さんもいるでしょう。

歯磨き・洗顔・食事などで痛みが誘発される

顔面神経痛の38%は第2枝領域(上顎神経)、35%が第3枝領域(下顎神経)で起こるといわれています。
そのため、顎を動かしたり口の周りに触れたりしたタイミングで痛みを感じる患者さんが多いでしょう。具体例としては歯磨き・食事などが挙げられます。
また、洗顔では顔全体に繰り返し触れる必要があるため、痛みの原因となっている領域に関わらず洗顔で痛みを感じる患者さんもいます。

トリガーポイントに触れると痛みが誘発される

上記のように、触れることで三叉神経が刺激され痛みの引き金になる部位をトリガーポイントと呼びます。
生活のなかで自分のトリガーポイントに気付き、可能な限り刺激を避けている患者さんもいるでしょう。
しかし、歯磨き・洗顔・食事など健康を保つために必要な習慣的行為を避けることは難しく、ストレスに感じている方が多いと考えられます。

顔面神経痛(三叉神経痛)と顔面麻痺の違い

顔面神経痛(三叉神経痛)と顔面麻痺の違い
顔面神経痛と同じく、顔面部にある神経の異常によって起こる病気に顔面麻痺があります。病名は似ていますが、顔面神経痛と顔面麻痺にはどのような違いがあるのでしょうか。

痛みを起こす神経の違い

三叉神経痛を顔面神経痛と呼ぶ場合があるため混同されやすいですが、三叉神経と顔面神経は異なる神経です。
三叉神経は顔面の感覚をつかさどる神経なのに対し、顔面神経は筋肉の運動を支配しています。
なお、顔面麻痺の原因は寒冷刺激・循環障害・ウイルス感染・手術の後遺症などが考えられますが、原因がわからないことも多い病気です。
顔面神経痛・顔面麻痺ともに投薬での治療が基本となります。また、部位は異なりますが、ブロック注射で症状の軽減が期待できる点も共通しているといえるでしょう。
しかし、手術が必要になった場合には、適応される術式は異なります。顔面神経痛に対して行われる手術が微小血管減圧術であり、顔面麻痺に適応される手術は顔面神経減荷術です。

症状の違い

前述の通り、三叉神経は感覚を、顔面神経は運動をつかさどっています。
また、顔面神経痛の主な原因は神経への刺激で、顔面麻痺の原因は神経の機能不全です。このような違いから、両者の症状には大きな違いがあります。
顔面神経痛の主な症状は顔面の電撃痛であり、表情筋を動かせないというタイプの障害は起こりません。これに対し、顔面麻痺では表情筋の脱力が主な症状です。
顔面麻痺の場合、具体的には下記を行おうとしてもできない患者さんが多いです。

  • 眉間にしわを寄せる
  • 目をしっかり閉じる
  • 口をすぼめる
  • 口角をあげて笑う

なお、顔面神経痛と同じく顔面麻痺でも、ほとんどの患者さんで症状は顔の左右いずれか半分に現れます。

顔面神経痛(三叉神経痛)の治療方法

顔面神経痛(三叉神経痛)の治療方法
顔面神経痛のなかでも、ほかの病気が原因で起こる二次性顔面神経痛に対しては、原因となっている病気の治療が行われます。
では、特発性顔面神経痛になった場合にはどのような治療方法があるのでしょうか。

薬物療法

顔面神経痛の主な治療方法は薬物療法となります。
第一選択となるのはナトリウムチャネル阻害薬であるカルバマゼピンです。カルバマゼピンは抗てんかん薬としても使用される薬ですが、顔面神経痛を改善する作用が期待できます。
ただし、カルバマゼピンを服用すると眠気・ふらつき・めまいのほか、まれに汎血球減少・中毒性皮膚壊死融解症などの重篤な副作用が現れる場合があります。
そのため、投与後数ヵ月は特に注意して定期診察・検査などを行う場合が多いでしょう。もし、こうした副作用などによりカルバマゼピンが使用できない場合には、下記の薬剤も選択肢となります。

  • ラモトリギン
  • バクロフェン
  • プレガバリン
  • ボツリヌストキシン

その他に顔面神経痛の症状が急激に増悪した場合の対処法として、局所麻酔薬であるリドカインの静脈注射に痛みの軽減効果が期待できるとの研究があります。

神経ブロック

副作用・禁忌などにより薬物療法が行えない場合や、薬物療法が奏功しなかった場合には、神経ブロック療法を検討します。
神経ブロック療法とは、エタノール・局所麻酔薬・高周波熱などにより感覚神経を麻痺させる治療方法です。顔面神経痛に対する神経ブロック療法は、ブロックを行う部位によって下記に分類されます。

  • ガッセル神経節ブロック
  • 眼窩上神経ブロック
  • 眼窩下神経ブロック
  • 上顎神経ブロック
  • 下顎神経ブロック

ガッセル神経節とは、三叉神経が3本に分かれる前の根元の部分です。また、痛みが目の上下・上顎・下顎など顔面の一部に限局している場合には、痛みの領域に合わせてブロック療法を行う部位を検討していきます。

完治には手術が必要

薬物療法・神経ブロック療法は、手術と比較すると身体への影響が少ない治療方法です。
しかし、上記の方法が奏功しない場合・症状の再発を繰り返す場合は、根本的な原因を取り除くために外科手術を検討する場合があります。
顔面神経痛に対する微小血管減圧術(ジャネッタ手術)は、三叉神経の根元にあたる耳の後ろを開頭して三叉神経を圧迫している血管を移動させる手術です。
原因そのものを改善するための手術であり、手術を受けた患者さんの60~88%は投薬治療が必要なくなるとの研究結果があります。
ただし、確率はまれですが手術の合併症として聴力低下・顔面の違和感・しびれ・小脳症状・ドライアイなど神経に起因する症状が現れるリスクがあります。

顔面神経痛(三叉神経痛)や顔面麻痺でお悩みなら東京Dタワーホスピタルにご相談を

東京Dタワーホスピタル
顔面神経痛は、症状に長期間悩まされる方・痛みにより日常生活に支障をきたしている方もいる病気です。

薬物療法による治療は多くの医療機関で行われていますが、長期間にわたる治療・重い症状に悩み手術を考えている場合、どのような医療機関を選べばよいのでしょうか。

今回は、顔面神経痛でお悩みの方に東京Dタワーホスピタルを紹介します。

先進的な神経内視鏡・ナビゲーションシステムなどの機器を完備

東京Dタワーホスピタルでは、手術用の機器として神経内視鏡・ナビゲーションシステム・神経モニタリングなどの機器を完備しています。

顔面神経痛・顔面痙攣に対する微小血管減圧術の際に神経内視鏡を使用するメリットは、下記の通りです。

  • 脳への圧迫を軽減
  • 神経周囲の詳細な観察
  • 深部の視認性向上

内視鏡を使用すると、深部・神経の裏側などにある血管を確認しやすくなり、手術の精度・安全性の向上が期待できます。

また、ナビゲーションシステムは、手術の状況を事前に行った検査の画像と照らし合わせ、より客観的に手術の進行状況を把握するための機器です。

さらに、術中から神経モニタリングを行うことで神経機能を確認しながら手術が可能です。これにより、術後に神経系の合併症が起こるリスクを抑えられるでしょう。

経験豊富な医師による顔面神経痛(三叉神経痛)・顔面痙攣の外科治療

東京Dタワーホスピタル院長
東京Dタワーホスピタルの脳神経外科には、院長をはじめとして微小血管減圧術を専門分野とする医師・神経内視鏡での治療を専門分野とする医師が在籍しています。

そのため、これまでの豊富な経験を生かし、さまざまな症状に対して専門性を生かした診察・手術を提供可能な医療機関といえるでしょう。

患者さんに寄り添った疾病予防と先進的治療を提供

さまざまな先進的医療機器が揃う東京Dタワーホスピタルですが、新しい医療機器は得られる情報が多い・利便性が高いだけではなく、患者さんの負担軽減にもつながります。

このように技術面からも患者さんに寄り添った治療を提供するほか、診察だけでなく検診・ドックでもスタッフが患者さん一人ひとりに寄り添い疾病予防・治療をサポートしています。

顔面神経痛に当てはまる症状はもちろん、ほかにも不安がある方は一度受診を検討してみてはいかがでしょうか。

東京Dタワーホスピタルの基本情報

アクセス・住所・診療時間

ゆりかもめ 市場前駅より徒歩2分、新豊洲駅より徒歩5分
東京メトロ 豊洲駅7番出口より徒歩15分

東京都江東区豊洲6-4-20 Dタワー豊洲

診療時間
9:00~12:00
14:00~17:00

※予約最終受付は下記のとおりです
【月~金】
午前(初診:診療終了時間の1時間前まで、再診:診療終了時間の30分前まで)
午後(初診:診療終了時間の1時間前まで、再診:診療終了時間の30分前まで)
【土曜日】
初診・再診:診療終了時間の1時間前まで

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