亜鉛が髪の毛に与える影響は?効果・メリット・摂取方法をご紹介します
毛髪の成長に重要な要素は、亜鉛といわれています。亜鉛に含まれるミネラルは、髪の毛の成長に必要な成分なので、この成分が不足してしまうと抜け毛の原因になるのです。
亜鉛は髪の毛の成長に必要な酵素反応に関与しています。特にタンパク質合成やDNA合成において重要な役割を果たし、健康な髪の成長をサポートします。
皮脂腺の正常な機能にも亜鉛は関与しているのです。皮脂は頭皮を保護し、適切な健康状態を維持する役割を果たすため、亜鉛の摂取は頭皮の健康に影響を与えます。
亜鉛不足は、髪の毛の成長や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。亜鉛不足が続くと、髪の毛が薄くなりヘアサイクルが正常に機能しなくなることがあるのです。
監修医師:
山下 真理子(医師)
目次 -INDEX-
亜鉛が髪の毛に与える影響は?
亜鉛は髪の毛にさまざまな影響を与える重要なミネラルです。その影響は髪の成長、健康、および頭皮の状態に関連しています。
亜鉛が髪に与える主な影響は下記になります。
- 髪の成長促進:亜鉛はタンパク質の合成に関与し、髪の毛の成長を促進する重要な要素です。
- 毛母細胞の活性化:亜鉛が適切に供給されることで、毛母細胞の正常な機能と活性化が進みます。
- 皮脂分泌の調整:亜鉛は頭皮の適切な保湿と健康をサポートし、皮脂のバランスと髪の毛の成長を促します。
- 抗酸化作用:抗酸化酸素の一部を亜鉛は構成しているため細胞の酸化を防ぎます。
このように、亜鉛を摂取することは髪の成長に欠かせない要素なのです。
亜鉛の髪の毛への効果
亜鉛を摂取すると髪にはどのような効果があるのでしょうか。一般的な効果を下記に記載します。
- 5αリダクターゼ酵素を抑制する
- ケラチンを合成する
上記の亜鉛の効果に関して、ここでは詳しく解説していきます。
5αリダクターゼ酵素を抑制する
亜鉛は、適切に摂取すると5αリダクターゼの働きを抑制する作用があるため効果的な成分です。ただし、過剰に摂取してしまうと薄毛の原因にもなるので注意が必要です。
AGAは、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化してアンドロゲン受容体に結合することでTGF-βを生成します。このTGF-βが抜け毛を進行させてしまうのです。
適切に亜鉛を取るとTGF-βの生成を防げますので、非常に有効な成分となります。
また、亜鉛には育毛サイクルを正常にする働きも期待されていていますので、健康な髪の成長を促進するためにも適切な量を摂取しましょう。
ケラチンを合成する
ケラチンは、髪の主成分のタンパク質の一種になります。ミネラルを多く含む海藻などを摂取するとミネラルがケラチンの合成を促してくれます。
タンパク質を多く含む魚や大豆製品・肉類などと海藻をバランスよく摂取すると身体の栄養状態が良くなるので、栄養バランスを保つよう心がけましょう。
ケラチンはアミノ酸シスチンから構成されています。シスチンは硫黄を含むアミノ酸であり、硫黄結合がケラチンの強度と耐久性に影響を与えます。
ケラチンを摂取することは健康な髪を維持するために必要ですが、健康状態やニーズに合わせて栄養摂取量を調整することが重要です。
亜鉛を摂取するメリットは?
亜鉛を摂取するメリットとは、どのようなものがあるのでしょうか。
下記に、そのメリットを記載します。
- ヘアサイクルが整いやすくなる
- AGA進行の抑制が期待できる
上記のメリットについて、ここでは詳しく解説します。
ヘアサイクルが整いやすくなる
亜鉛の摂取はヘアサイクルを整えるには、非常に重要な成分です。ヘアサイクルは主に3期に分けられています。
成長期は、髪の毛が成長する時期のことで、2〜6年といわれています。毛母細胞が毛乳頭細胞から栄養を供給されて細胞分裂が活発になり髪の毛は成長していくのです。
成長期が終わると退行期に入りますが、活発になっていた毛母細胞と毛乳頭細胞が離れる時期でもあります。
この時期は栄養の供給が弱まるため2〜3週間の間、髪の毛の成長が遅くなるのです。
退行期が終わると休止期が訪れます。この時期になると毛乳頭細胞から毛母細胞へ栄養が完全に供給されなくなるので髪の成長が3〜4ヶ月ほどで完全に止まります。
休止期に入ると髪が抜け落ちる準備状態になり、頭皮の奥では新しい髪の毛が作られることが一般的です。新たな髪が生えてくると同時に古い髪は抜け落ちるのです。
亜鉛の摂取によって、ヘアサイクルが整えば髪の毛の成長期が長くなります。その結果として、髪の毛が伸びやすくなるといわれています。
AGA進行の抑制が期待できる
亜鉛によりヘアサイクルが整い、髪の毛の成長期が長くなると、髪の毛が伸びやすくなるのです。
亜鉛を摂取するとAGA進行の抑制が期待できます。髪はタンパク質から形成されていますが、食事から摂取するとアミノ酸レベルまで分解され身体の細部にまで供給されるのです。
必須アミノ酸の一種である亜鉛は、髪の毛を作るケラチンへ重要な役割を果たしています。
亜鉛を摂取するとヘアサイクルを正常にして、成長期を長く保てるため髪が伸びるといわれているのです。
AGAの原因となる男性ホルモンの影響となる5αリダクターゼが亜鉛を摂取することで抑制できるのです。その結果、AGAによる抜け毛の予防につながります。
亜鉛を摂取する方法は?
亜鉛を摂取する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。下記に摂取方法を記載します。
- 食品から摂取
- サプリメントで摂取
上記の摂取方法に関して、ここでは詳しく解説します。
食品から摂取
日本人の亜鉛摂取推奨量は、男性では10mgが必要、女性は8mgとされています。亜鉛が多く含まれている食材は、牡蠣・かぼちゃ・レバー・いわし・ナッツ類などが有名です。
牡蠣は、7mg以上の亜鉛を含んでいますので、亜鉛不足を補うには効果的な食材です。ビタミンCやクエン酸と一緒に摂取すると吸収しやすくなります。
かぼちゃは、日本かぼちゃでは0.2g〜0.3gの亜鉛を含んでいて、西洋かぼちゃでは0.3g含まれています。かぼちゃは煮物などにして食べるのがおすすめです。
レバーは豚で6.9g程度、牛で3.8g程度の亜鉛が含まれています。豚レバーの方がタンパク質や鉄分も豊富なので、焼き鳥やレバニラ炒めなどで食べると美味しくいただけます。
いわしは、うるめいわしだと生よりも丸干しの方が2倍の亜鉛が含まれていて、硬く小さいいわしの煮干しだと生の7倍近くの亜鉛が含まれるのです。
オイルサーディンなどの缶詰やアンチョビなどにして、サラダやピザの具として食べてみてはどうでしょうか。
ナッツ類にも亜鉛は豊富に含まれています。特に多く含まれているのは、カシューナッツで5.4g程度含まれているのです。
お酒のつまみとしても食しますが摂りすぎには注意しましょう。
サプリメントで摂取
亜鉛を効率よく摂取するには、サプリメントを取り入れてみましょう。適切な量を摂取するための食事量に不安のある方におすすめです。
飲むタイミングは決まっていないので、食後や決まった時間に摂取することで飲み忘れを防いで下さい。
コーヒーや紅茶などはタンニンが含まれ亜鉛の吸収を妨げますので一緒に飲まないようにしましょう。
サプリメントに副作用はありませんが過剰に摂取すると、吐き気・下痢・食欲不振・腹痛などの症状が起きる場合がありますので注意が必要です。
サプリメントでの摂取は、あくまで補助としての利用なのでバランスの良い食事を心掛けるようにしましょう。
亜鉛が多い食材は?
亜鉛を多く含む食材は何でしょうか。一般的に亜鉛が多いといわれる食材を下記に記載します。
- レバー
- 牡蠣
- うなぎ
- 枝豆
- 納豆
- 卵
上記の食材の亜鉛量に関して、ここでは詳しく解説します。
レバー
レバーは、髪の育毛や薄毛対策に役立つ栄養素を豊富に含んでいます。AGAの予防につながる亜鉛はもちろんですが複数の栄養素があるのです。
下記にレバーに含まれる栄養素を記載します。
- ビタミンA:粘膜や皮膚などの細胞の成長を促す働きがある
- ビタミンB2:髪の毛の成長に必要な栄養素が含まれている
- ビタミンB6:頭皮の血行を促進させる働きがある
- 亜鉛:体内のアミノ酸を髪の原料となるケラチンへ再合成する
牡蠣
牡蠣は、亜鉛を多く含む食材として非常に有名です。牡蠣5個に対して亜鉛含有量は、7.9mgと食材の中で1番多いとされているのです。
牡蠣は、生食と加熱用と分かれていますが調理方法は沢山あります。生ガキとしてレモン汁やポン酢などで食すると牡蠣本来の味を楽しめます。
その他には、焼き牡蠣・フライ・オリーブオイル漬けなど料理方法もさまざまです。ただし、亜鉛量を元々多く含んでいますので食べすぎには注意して下さい。
うなぎ
うなぎは滋養強壮に効く食材として有名ですが、ビタミン類の成分を多く含んでいるのです。
うなぎに含まれるビタミン類は、ビタミンA・ビタミンB2・ビタミンEになりますが、ビタミンAは皮膚の細胞分裂を活発にしてターンオーバーを整えてくれます。
ビタミンBに関しては、タンパク質の生成を促進する働きがあるのです。
うなぎは、牡蠣についで2番目に亜鉛の量が多いとされており、ビタミン類の他にもDHAも含まれています。DHAは過剰な皮脂を抑える働きもあります。
ただし、ビタミンAは摂取しすぎると頭皮の角質化が進むともいわれますので、過剰摂取には注意して下さい。
枝豆
枝豆は大豆からできていますが大豆のような豆類は、亜鉛を多く含んでいます。100gあたり0.6〜5.4mgの含有量があるのです。
タンパク質も豊富に含んでいますので、筋肉の修復や成長、細胞の構築に必要な栄養素を提供します。
枝豆は低カロリーでありながら、満腹感を与えてくれますので、ダイエットや健康的な食事の一部としても適しているのです。
枝豆などに含まれるイソフラボンもテストステロンを減らす作用があります。また、大豆類は髪を丈夫に育ててくれるため、毎日の食事に取り入れてみてはどうでしょうか。
納豆
納豆も枝豆と同じく大豆からできた発酵食品で、亜鉛を多く含んでいます。納豆1パックで0.8mgの亜鉛含有量になります。
納豆のイソフラボンもテストステロンを減らす効果がありますが、直接的に5αリダクターゼを抑制はできません。
しかし、テストステロンが減ることでジヒドロテストステロンが減少するのでAGAの進行を抑えられます。
納豆は大豆を特定の細菌や酵母によって発酵させることで作られます。たんぱく質を豊富に含んでおり、筋肉の成長や細胞の修復に効果があるのです。
また、納豆にはナットウキナーゼと呼ばれる酵素が含まれています。ナットウキナーゼは血液の凝固を促進する物質を分解する働きがあるので血流を良くする効果もあります。
卵
卵は、髪の毛と同じタンパク質を含んだ食べ物です。髪の主成分であるケラチンは、複数のアミノ酸が結合してできたタンパク質で強度と耐久性があります。
ケラチンは髪の毛の成長に欠かせないタンパク質で、新しい髪が成長していく過程でケラチンが生成されるのです。
タンパク質を十分に摂取していないと、髪の毛のタンパク質が足りず毛が生えにくくなってしまいます。
その他にも肌・爪・筋肉・内臓などの身体のさまざまな部位に必要な成分なのです。
亜鉛を摂取するときの注意点は?
亜鉛を摂取するときの注意点とは、どのようなことでしょうか。
下記にポイントになることを記載します。
- 過剰摂取に注意する
- サプリメントの場合は含有量に注意する
上記の内容に関して、ここでは詳しく解説します。
過剰摂取に注意する
亜鉛は、髪の毛に非常に重要な栄養素ですが、摂りすぎてしまうと下記のような症状が現れてしまいます。
- 他の栄養素の銅の吸収が阻害されてしまい銅欠乏症を引き起こす場合がある
- 亜鉛のサプリメントのセレンやクロムの過剰摂取で脱毛・けいれん・下痢などを発症する可能性がある
亜鉛は、適切な量を摂取すれば髪の毛に必要な栄養素を与えてくれます。バランスの良い食事を心掛けて、足りない分はサプリメントなどで補うようにしましょう。
サプリメントの場合は含有量に注意する
食事以外で亜鉛を摂取するには、サプリメントが有効的です。食事量で摂取するのが厳しい場合もありますので、サプリメントを上手に取り入れて下さい。
ただし、サプリメントの場合は亜鉛の含有量に注意が必要です。時間や場所を考えずに気軽に摂取できるため亜鉛を取りすぎてしまうからです。
1粒に含まれる亜鉛の量を確認したうえで、食事以外で1日に必要な量を計算するようにしましょう。
サプリメントを飲む時間やタイミングを決めておくと、飲み忘れや過剰摂取の防止につながります。
亜鉛のサプリメントは、薄毛治療に処方されている内服薬を飲んでいる場合、医薬品と相互作用が起き効果を阻害する場合があります。
併用に関しては、事前に担当医に確認をして下さい。
亜鉛サプリの価格相場は約500〜2,500円(税込)となります。食事以外での補助食品として利用してみてはどうでしょうか。
編集部まとめ
ここまで、亜鉛が髪の毛に与える影響や、効果・メリット・摂取方法に関してお伝えしてきました。
亜鉛は毛母細胞の活性化に影響を与え、髪の毛の形成と成長を支えます。毛母細胞は新しい髪の毛を生み出す細胞なので、亜鉛によって細胞の働きを正常に保つサポートをするのです。
抗酸化酵素の一部を構成している亜鉛は、細胞を酸化ストレスから守る役割を果たします。酸化ストレスは細胞の健康を損なう可能性があるので気をつけて下さい。
また、亜鉛はホルモンの正常なバランスにも影響を与えます。特に男性ホルモンであるテストステロンやその代謝物質であるジヒドロテストステロンの制御を促します。
亜鉛は身体に有効な成分ということをお分かりいただけたでしょうか。ただし、身体に良いからといって過剰摂取には注意して下さい。
年齢を重ねると髪が細くなり全体的なボリュームもなくなりますが、生活習慣の改善や髪に必要な栄養素を摂るとAGAの進行を遅らせられるのです。
自己流での薄毛対策には限界がありますので、薄毛が気になる人はAGA専門のクリニックへ相談してみてはどうでしょうか。
せっかくの栄養素が身体の健康を害さないように摂取量を守って、心身共に健康な日々を送りましょう。
参考文献