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クラミジアの治療方法を知りたい!治療に使われる薬や治療期間も併せて解説

 公開日:2024/05/10
O098_クラミジア 治療

クラミジアは日本でも報告の多い性感染症の一つで、自覚症状が少なく進行しやすいという特徴があります。そのためクラミジアと診断されどのような治療を行うのか不安に感じている人も多いと思います。
そこで本記事では、クラミジア治療について以下の点を中心にご紹介します。

クラミジアの治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

クラミジアとは?

クラミジアとは?

クラミジアは、性感染症(STD)の一種で、病原体のクラミジア・トラコマティスによって引き起こされます。
日本を含む世界中で広く見られ、特に性的接触を通じて感染します。
クラミジアは、尿道や腟、咽頭などの粘膜に炎症を引き起こすことが多いですが、実は感染しても症状が現れないこともあり、知らず識らずのうちに感染が広がってしまう可能性があります。
特に女性の場合、感染に気付かずに放置すると不妊症の原因にもなりえるため、定期的な検査が推奨されます。
日本では、クラミジアは報告数が多い性感染症であり、感染症法により届出が義務付けられています。
近年、特に女性の間で感染者数が増加しているとされており、妊婦検診では正常妊婦のなかにもクラミジアの保有者が見られることが明らかになっています。
したがって、性行為による感染リスクを減らすためには、定期的な検査と予防措置が大切です。
医療機関への受診に抵抗がある方は、ネットで注文でき自宅で検査が受けられる検査キットの利用を検討してみるとよいでしょう。
クラミジアへの意識と理解を深め、適切な対策を講じることが、自身だけでなくパートナーの健康を守る鍵となります。

クラミジアの症状

クラミジアの症状
ここでは、クラミジアの主な症状を解説します。
クラミジアは自覚症状がないまま進行してしまう可能性もあるので、疑う症状が現れた場合には注意しましょう。
以下では、男女別の症状やのど、直腸など感染部位別の症状について詳しく解説します。

男性の主な症状

男性の場合はクラミジア性尿道炎が発症しやすいとされています。
クラミジア性尿道炎は、尿道内部に炎症を引き起こします。
感染後約1〜3週間の潜伏期間を経た後、尿道にむず痒さや排尿時の不快感、軽度の痛みを伴うことがあります。
さらに、尿道からは粘り気が少ない膿のような分泌物が見られることもあります。
これらの症状は淋菌感染症に似ていますが、クラミジアによる症状の方が軽度とされています。

女性の主な症状

クラミジアは、女性の場合、特に注意が必要な性感染症の一つです。主に子宮頸管(子宮の入口部分)に影響を与え、クラミジア性子宮頸管炎を引き起こします。
感染後の約1〜3週間以内に、おりものの量が明らかに増えたり、生理痛に似た下腹部の痛み、不正出血、または性交時の痛みが生じたりすることがあります。
特におりものの異常や不正出血がみられる場合は、早めの検査が必要です。
ただし、多くの場合、クラミジアは、自覚症状がないまま感染が進行します。
合併症を防ぐためにも定期的な検査や注意深い自己観察が重要です。

のどに感染した場合の主な症状

咽頭クラミジアは、のどに感染し発症する性感染症の一種です。
男女を問わずに発症し、症状は風邪と似ています。

具体的には、のどの腫れや痛み、発熱、そして咽頭粘膜の炎症が主な症状として現れます。
ただし、多くの場合、症状があまり出ないため、感染に気づかない人がほとんどです。
クラミジアはデリケートゾーンの病気として認識されがちですが、のどにも感染するケースがあるため、風邪のような症状がある場合にはクラミジア感染の可能性があります。

直腸に感染した場合の主な症状

直腸に感染した場合は、軽度の下痢、肛門周辺の痛み、肛門からの出血などの症状を引き起こすとされています。
特に排便時に痛みや違和感が現れ、便には粘液や膿、時には血液が混じることもあります。
クラミジアなどの感染は、同性間や異性間を問わず、アナルセックスを介して肛門から侵入し、直腸炎を引き起こす可能性があります。
直腸は肛門のすぐ上に位置し、大腸の末端にあたります。
したがって肛門周辺の不快感や便に異物が混じるなどの症状がある場合、直腸への感染の可能性を考慮し、早めの診断と治療が必要です。

クラミジアの治療方法

クラミジアの治療方法
クラミジア治療には抗生物質が用いられます。
以下では、主な抗生物質4つのそれぞれの特徴をあわせて解説します。

ジスロマック

ジスロマックは、クラリスロマイシンやアジスロマイシンなど、マクロライド系抗菌薬に分類される薬の一つです。
このグループの抗生物質は、妊婦や子どもでも使用しても副作用が少ないとされています。
ジスロマックによる作用の持続時間は長いため、単回服用でも十分な抗菌力を示します。
クラミジアは耐性を持つことが少ないため、内服薬で治療できるとされています。
ジスロマックは、利便性の高さから、多くの医療機関でクラミジア治療の第一選択薬として採用されています。
日本性感染症学会のガイドラインでも、ジスロマックはランクAに指定され、その影響力の大きさが認められています。

クラリシッド

クラリシッドは、ジスロマックと同じくマクロライド系抗生物質に属する医薬品です。
クラリシッドは、1日2回の服用を約1週間ほど続ける必要があり、利便性ではジスロマックに劣ります。
しかし、クラミジアに対する抗菌力はジスロマックと同等です。
両者ともに日本性感染症学会のガイドラインでは推奨レベルがAとされ、妊婦に対する推奨レベルはクラリシッドがBに指定されています。
しかし、クラリシッドの安全性に関する情報は限られているため、妊婦の場合はクラリシッドの使用には特に慎重さが求められます。
治療の際には、医師の指示に従い、適切な薬剤の選択が重要です。

ミノマイシン

ミノマイシンは、マクロライド系やテトラサイクリン系とは異なる抗生物質で、テトラサイクリン系抗菌薬に分類されます。
クラミジアの治療に対し古くから使われてきましたが、現在では副作用が強いため、初期治療にはあまり選択されません
ミノマイシンは、アレルギーなどの理由からほかの薬が使えない場合に選択されることがありますが、その際にも注意が必要です。
性感染症学会のガイドラインでは、ミノマイシンの推奨レベルはDとされています。
また、テトラサイクリン系抗菌薬には、ミノサイクリン(ミノマイシン®)やドキシサイクリン(ビブラマイシン®)が含まれます。
これらの抗生物質は、マクロライド系やニューキノロン系の薬が使用できない場合や、クラミジアが耐性を持っている場合に選択されることがあります。
小さい子どもや授乳中の母親が使用すると、歯の発育が悪くなったり、歯に色が付いたりする可能性があるため、使用時には特に慎重さが求められます。

レボフロキサシン

レボフロキサシンは、ニューキノロン系抗菌薬の一種です。
ニューキノロン系抗菌薬は、幅広い菌に対して影響力を持つため、広く使用されています。
しかし、近年では抗菌薬の使用による耐性菌の増加が懸念されています。
そのため、必要に応じてのみ使用するよう注意が必要です。
特に妊婦がレボフロキサシンを摂取すると、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、服用は避けましょう。
しかし子宮頸管炎などの女性の性器クラミジアに対するレボフロキサシンの推奨度は高く、1日1回500mgの服用を約7日間続けることでクラミジアを治療できます。

クラミジアはどこで治療できる?

クラミジアはどこで治療できる?
クラミジア感染症の治療を受けるには、適切な医療機関を選ぶことが重要です。
男性の場合は、泌尿器科や性病科が主な受診先となります。一方、女性は婦人科への受診が推奨されます。
女性の場合、おりものや不正出血などの症状があっても、必ずしも性感染症が原因とは限りません。
そのため、女性特有の身体の変化に精通している婦人科が相談しやすくなります。
クラミジアの検査は、婦人科(産婦人科)、性病科、泌尿器科で実施されています。
性感染症は早期発見が重要であり、症状がなくても感染の可能性がある場合は積極的に検査を受けることが推奨されます。
このように適切な医療機関での早期治療によって、感染の拡大を防ぎ、健康を守れるでしょう。

クラミジアの治療期間

クラミジアの治療期間
クラミジアの感染が確認された場合、薬物療法が必要です。
治療期間は約1週間程度ですが、改善までの期間は約3〜4週間かかり、服用開始から3週間後の再検査で陰性が確認されれば、治療完了とみなされます。
治療期間中は、定期的に医師の指示に従い服薬し、再検査の結果を待ちながら感染のリスクの高い行為は控えましょう。

クラミジアは再感染するのか

クラミジアは再感染するのか
クラミジアは一度治療しても、免疫が得られないため、再感染リスクが高いとされています。
再感染のリスクを抑えるためには、治療後約3ヶ月経過した後に再度検査を受けることが推奨されています。
そのほかにも、クラミジアの再感染を防ぐためには以下の点に注意しましょう。
まず、抗菌薬は医師や薬剤師の指示に従い、正しい量や期間で服用しましょう。
自己判断で薬を使用すると、菌の勢力が再燃し、感染症が治りにくくなったり、治療が長引いたりする恐れがあります。
また、日頃からコンドームの使用や感染が疑われる相手との性交渉を避けることも、感染予防につながります。
さらに、もし感染がわかった場合や症状が気になる場合は、早めにパートナーに伝えることが大切です。
パートナーも同様に検査や治療を受けることで、再感染のリスクを減らせるでしょう。

まとめ

まとめ
ここまでクラミジア治療についてお伝えしてきました。
クラミジア治療の要点をまとめると以下のとおりです。

  • クラミジアの感染が確認された場合、薬物療法が必要
  • ・治療期間は約1週間程度ですが、治療完了まで約3〜4週間かかる
  • クラミジアは一度治療しても、免疫が得られないため、再感染リスクが高い

クラミジアの感染を広げないためにも、気になることがある場合は検査機関や検査キットなどによる検査や、疑う症状がみられた場合には医療機関への受診が大切です。

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