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子宮頸がんの原因は?症状・なりやすい人・早期発見のポイントについても解説

 公開日:2024/04/24
子宮頸がん 原因

皆さんは子宮頸がんがどのような病気なのか、また20代や30代と若い世代での発症率が年々増えて若年化していることをご存知でしょうか。

子宮頸がんは国内で毎年約1万人以上もの女性が発症しており、その発症率は2000年以降も徐々に増加傾向にあります。

2人に1人ががんになるといわれているなかで、対処法がわからず不安な方や女性特有のがんを抑える方法を知りたいと考える方も多いです。

今回は子宮頸がんに視点を当てて、子宮頸がんの原因や症状について詳しく紹介します。

また、子宮頸がんの発症率を高めてしまう行動や発症しやすい人の特徴だけでなく、治療の方法もお伝えしていきますのでぜひ参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんの原因は?

お腹が痛い女性
年間でおよそ18,000人もの女性が子宮がんを発症していることに、驚いてしまう方も多いのではないでしょうか。子宮がんを発症した人の内、約7割を子宮頸がんが占めています。
子宮がんは子宮関連のがんの総称です。子宮の部位ごとにがんの名称が分かれています。子宮頸がんは、子宮の入口付近にある子宮頸部という部位に発症するがんです。
なぜ子宮頸がんが多くの割合で発症するのか、子宮頸がんとなる原因はどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染

子宮頸がんになる大きな原因だといわれているのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。このヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスは、性交渉によって感染が起こります。
性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスですが、特別な人だけが感染するものではありません。
一生に一度は性交渉経験がある女性のほとんどの方が発症する可能性があるものです。
さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症するがんは、子宮頸がんだけではありません。以下のようながんや病気にも影響します。

  • 肛門がん
  • 腟がん
  • 尖圭コンジローマ

なお、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は、ほとんどが約2年以内に自己免疫機能によって自然と感染が収まるケースが多い一過性感染です。
しかし、長期間感染した状態が続いてしまうと、多くの病気発症リスクが高まります。
また、性交渉をしていない人は子宮頸がんを発症するリスクがほとんどないといわれているようです。ですが、子宮頸がん以外の子宮がんは発症するリスクがあります。
性交渉の経験があるないに関わらず、身を守るためにも定期的な婦人科検診を受けましょう。

性交渉によるウイルス感染

子宮頸がんを発症するリスクを高めるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉によって感染します。さらに、性交渉経験者であれば一生に一度は発症するといわれているほど、高確率で感染する一過性のウイルス感染症です。
さらに、2000年以降は子宮頸がんの発症率が急増しています。子宮頸がん発症率若年化の大きな要因は、性交渉の初回年齢が低下していることです。
さらに、若年層による子宮がん検診の受診率が圧倒的に低いことも大きな要因とされています。
性交渉の際には避妊具を使用することでヒトパピローマウイルス(HPV)の感染はある程度防ぐことができますが、リスクを回避するためには産婦人科で検診を受けることが効果的といえるでしょう。

子宮頸がんの症状は?

下腹部を抑える
性交渉を経験している女性の半数以上が、子宮頸がんの原因となる感染症を一生に一度は発症しています。いかに子宮頸がんの発症リスクが高いのか、よくわかる内容です。
そのなかで、子宮頸がんを発症してしまった場合にどのような症状がみられるのでしょうか。5つの子宮頸がんでみられる症状を紹介します。
具体的な内容もお伝えしていきますので、参考にしてください。

初期にはほとんど症状がみられない

子宮頸がんは初期症状がほとんどみられない病気です。そのため自覚する人は少なく、ほとんどの方は子宮がん検診または産婦人科の検診で子宮頸がんの発症が確認されています。
自覚症状が出てしまうと、すでに子宮頸がんの進行が進んでいると認識してください。
子宮頸がんの早期発見には、子宮がん検診を決まった年に受けることが大切です。また、少しでも婦人科系で気になるところがある場合は気軽に産婦人科を受診するようにしましょう。

おりものの異常

クッションを抱える
子宮頸がんを発症し、状態が進行するとさまざまな症状がみられます。そのうちの1つがおりものに異常が出ることです。
異常なおりものの様子は、以下のとおりになります。

  • においを伴う濃い茶色のおりもの
  • 水のようなおりもの
  • 膿のようなおりもの
  • 多くの粘液が出る

明らかにいつもとは違うおりものがみられた場合は、すみやかに産婦人科へ受診しましょう。

不正出血

体調不良
月経や性交渉を行っていないときに出血が出る、いわゆるホルモンバランスの乱れや病気によって性器から血が出ることを、不正性器出血といいます。
不正出血の状態は以下のとおりです。

  • 新しい出血は赤色の鮮血
  • 古い血液は赤茶色
  • わずかな出血の場合黄色っぽく見えることも

不正出血は尿や肛門など、実は性器以外から出血している場合もあるため、注意する必要があります。
まずは産婦人科に受診し、不正性器出血でなければほかの病院へ受診することになるでしょう。一般的には、紹介状を書いてもらえますので医師と相談してください。

性交渉時の出血

性交渉時の出血症状は、接触出血です。ホルモンバランスの乱れにより出血する場合がほとんどですが、子宮頸がんをはじめとする病気でもこの症状はみられます。
不正出血と同様に、出血の状態が変化している場合もあるため注意が必要です。
性交渉時に痛みを伴う場合もありますので、出血量や血の色を確認したうえですみやかに産婦人科へ受診しましょう。

下腹部痛

子宮頸がんの進行が子宮頸部以上に広がってしまうと、下腹部痛が起きる場合もあります。子宮頸がんによって起きる下腹部痛は、痛みが長期間続くのが特徴です。
ほとんどの方が、重い生理痛やもがく程の痛みを感じています。さらに症状がひどくなると、下腹部痛だけでなく立ち上がれなくなる程の腰痛に襲われるのも特徴の一つです。
痛みが緩和されないときは、すみやかに産婦人科へ受診してください。

子宮頸がんになりやすい人

顔をしかめる
性交渉によるウイルス感染がほとんどの方に起こる現象であり、子宮頸がんを発症しやすくなる原因だとお伝えしてきました。
ここからは皆さんが気になる子宮頸がんの発症率を高めてしまう行動や、子宮頸がんになりやすい人を紹介します。
ほかにも、子宮頸がんの発症率を高める原因は以下のとおりになります。

  • 性交渉の相手が多い
  • 経口避妊薬(ピル)を服用している
  • 早い初産
  • 多産
  • 喫煙者
  • 免疫機能の低下

女性特有の婦人科検診は2年に1度受けることが推奨されています。条件が少しでも当てはまる方は、子宮がんや産婦人科の検診を受診しましょう。

子宮頸がんの早期発見のポイントは?

医療従事者
初期症状もほとんどなく、自覚することが難しい子宮頸がんを早期発見するためにはどのようにするべきでしょうか。
早期発見につなげるために大切なことを、2つ紹介します。

20歳以上の女性は2年に1度検診を受ける

診察
子宮頸がんを早期発見するためには、やはり子宮がん検診をしっかり受けることが近道です。
自覚症状が出てからでは、子宮頸がんが進行した状態のため手遅れになる場合もあります。そうならないためにも、子宮がんや産婦人科の検診はしっかり受診しましょう。
また、早い初産や多産の方も子宮頸がんの発症率が高くなるので、注意してください。

出血などの異常を感じたらすぐに受診する

不正出血や性交時出血がみられたら、すみやかに産婦人科へ受診してください。出血だけでなく、下腹部痛やひどい腰痛が急に起こった場合も同様です。
もし子宮頸がんであった場合は、すでにがんが進行していることになります。産婦人科への受診は恥ずかしいことではなく、自分を守るために必要なことだと認識しましょう。

子宮頸がんの治療方法

女医
子宮頸がんを発症した場合、どのような治療方法があるのか紹介します。
子宮頸がんの進行期、妊娠希望の有無、患者背景などによって治療方針が異なるため、十分な説明を受けたうえで、治療方針に関して担当医と相談しましょう。
代表的な治療方法は以下の4つです。

放射線治療

がんの主な治療方法の一つが、放射線治療になります。髪の毛が抜けるなど見た目への副作用が大きいことから、がんの治療といえば放射線治療と認識している方も多いでしょう。
放射線治療は、がん細胞に高エネルギーのX線やガンマ線などの放射線を照射し治療するものです。
子宮頸がんの場合は外部照射と腔内照射、組織内照射と3つの方法があります。外部照射は、骨盤の外から放射線を照射する方法です。
腔内照射は子宮内部に器具を入れて、子宮頸部に直接放射線を照射します。また、組織内照射はがんやその周辺組織内に、放射線を出す物質を直接挿入する方法です。
放射線治療は卵巣機能がほぼ失われてしまいますが、排尿の機能や性生活などの影響は手術よりも早く戻るとされています。

薬物療法

薬を飲む
薬物療法は、主に子宮頸がんの遠隔転移の可能性があるがんの進行や再発したものに使われる治療方法です。
薬物療法に使われる薬は、分子標的薬と細胞障害性抗がん薬の2種類があります。分子標的薬は、子宮頸がんでは細胞障害性抗がん薬と併用されることもあり、がん細胞の増殖の元となるタンパク質が標的です。
それにより、がん細胞を攻撃して抑える役割があります。細胞障害性抗がん薬は、増殖する細胞の一部を抑えこんでがん細胞を攻撃する薬です。
ただし、がん以外の正常な細胞も影響を受けるデメリットがあります。薬物療法はできるだけ日常生活を送れるよう保ちつつ、生存期間を伸ばすための治療方法です。

同時化学放射線療法

同時化学放射線療法は、放射線治療と併用して行う治療方法になります。
放射線治療の効果を高めるだけでなく、がん細胞を縮小させて転移を抑える治療です。しかし、半数以上の患者さんに下痢などの症状が起こるなどデメリットもあります。
体の負担も大きいため、担当の医師と現状やその後の生活も含めて相談しましょう。

手術療法

子宮頸がんの広がり方によって、子宮頸部や子宮の一部子宮全体を摘出する治療方法です。外科治療ともいわれ、卵巣や卵管などは摘出したがん細胞を調べてからその後の治療方針を決めます。
手術の種類は以下のとおりです。

  • 子宮頸部の一部を円錐状に切除する円錐切除術
  • 子宮だけを切除する単純子宮全摘出術
  • がんを取り残さないよう少し広めに子宮を切除する準広汎子宮全摘出術
  • 子宮だけでなく周りの組織や腟を大きく切除する広汎子宮全摘出術
  • 妊娠の可能性を残すため子宮体部と卵巣以外を切除する広汎子宮頸部摘出術

手術療法は、体への負担が大きいだけでなく、手術後の合併症や妊娠出産ができなくなるなどのデメリットも多くあります。
治療だけでなく、その後の生活面も踏まえたカウンセリングをしっかり行うことが大切です。体の一部を失う大きな手術ですので、必要であれば気持ちの面でもカウンセリングを受けましょう。

子宮頸がんには予防ワクチンがある

ワクチン
子宮頸がんの大きな原因といわれるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンがあることをご存知でしょうか。
厚生労働省でも小学校6年〜高校1年相当の女子を対象に、定期接種を受けるよう推奨しています。ワクチンの種類は3種類です。

子宮頸がんの予防ワクチンは各市町村が主体となっているため、予防接種担当課にお問い合わせください。また、予防ワクチンの接種年齢やワクチンの種類によっても、接種スケジュールが異なります。
理想としては、1年以内に接種スケジュールを完了させることです。また、性交渉未経験の内に予防ワクチンを接種することが望ましいとされています。
性交渉経験があると予防ワクチンを接種できないわけではありませんので、医療機関と相談してください。

編集部まとめ

看護師
初期症状もなく早期発見が難しい子宮頸がんは、一生に一度は性交渉経験がある女性の発症リスクが高い病気です。

もちろん、避妊具を使用することでも発症リスクは抑えられます。子宮頸がんの予防だけでなく、避妊具を使用することは性交渉をするうえで大変大切です。

ですが、子宮頸がんという病気を予防するためにも、子宮頸がん検診の受診や厚生労働省が推奨する子宮頸がんの予防ワクチンを接種しましょう。

検診や予防接種以外にも、定期的に産婦人科を受診することが早期発見を実現する有効な手段なのでおすすめです。

産婦人科を受診することは、何も恥ずかしいことではありません。

検診を受けていない多くの女性には、性器を露出することが恥ずかしかったり、産婦人科の先生が男性だと気が引けてしまったりするとの意見が多くみられます。

そのようなときは、産婦人科の担当が女医であるところを探してみてください。検診の時は恥ずかしいかもしれませんが、子宮頸がんの発見が遅れると大変なことになります。

女性特有のがんを防ぐために、産婦人科を受診する必要があると認識しておいてください。

また、産婦人科では女性特有の月経についても、親身に相談にのってくれます。もし、少しでも気になることがある場合は、産婦人科医に相談してみてください。

子宮頸がんの発症は若年化していますので、ぜひ子宮がん検診や子宮頸がんの予防ワクチン接種を受診しましょう。

この記事の監修医師