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抜け毛の原因は?正常・異常な抜け毛の見分け方や対策について解説

 公開日:2024/01/22
抜け毛の原因は?正常・異常な抜け毛の見分け方や対策について解説

枕元に落ちている抜け毛や、洗髪後に排水口に絡まっている抜け毛を見て、量が増えていると不安になるものです。

抜け毛は身体的な問題・生活習慣・ケア方法など、さまざまな原因で起こります。それぞれを解説するので、自分にあてはまるものがないかチェックしてみましょう。

抜け毛が正常なのか異常なのかを見分ける方法や、正しいシャンプーの方法についても解説します。

急に抜け毛が増えた原因に思い当たるものがあったら、改善する努力をしながら、クリニックを受診することがおすすめです。

なぜ抜け毛でクリニックの受診が必要なのか、その理由についても把握しておきましょう

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

抜け毛の原因は?

抜け毛が気になる人
抜け毛の原因は不可抗力なものから、自分で改善できるものまでさまざまです。ご自身の普段の行動や生活で、思い当たるものがないか確認してみましょう。

加齢

年齢を重ねると体力や新陳代謝の低下のように、体に老化現象が現れます。老化現象は毛髪や毛根にも影響を与えるので、抜け毛の原因にもなります。
後述するAGA・FAGAを発症しているケースもありますが、加齢による抜け毛が全てAGA・FAGAとはいい切れません。AGA・FAGAはホルモンの影響によるものです。
加齢が原因の抜け毛である壮年性・老人性脱毛症の場合、ホルモンだけでなく、細胞の老化も影響します。細胞が老化して毛髪が細くなることでハリ・コシが失われ、若い頃に比べてボリュームが無くなることが特徴です。

過度のストレス

仕事やプライベートで過度のストレスを感じていると、抜け毛の原因につながります。強すぎるストレスは自律神経の緊張や、アドレナリンが必要以上に分泌されてしまうためです。
自律神経が緊張状態にあると、内臓機能が低下します。毛髪の元となるたんぱく質を効率よく吸収できず、痩せてコシがない毛髪となり、抜け毛につながります。
またアドレナリンが多く分泌されている状態は、皮脂汚れの酸化を加速させるため、注意が必要です。理由は酸化された皮脂汚れは落しにくく、頭皮の毛穴詰まりや炎症、抜け毛を引き起こすためです。
このように過度のストレスは毛髪の成長を妨げ、頭皮環境を悪化させるため、抜け毛の原因になってしまいます。

生活習慣の乱れ

22~2時に睡眠をとると効率的に成長ホルモンが分泌され、毛髪が健康に成長します。遅い時間に眠りについたり、寝不足が続いたりすると、細くて抜けやすい不健康な毛髪になってしまうので注意しましょう。
過度なダイエットや食事の不摂生など、食生活の乱れも抜け毛につながります。栄養の偏った食事ばかりだと、たんぱく質やミネラルなど、毛髪を育てるために必要な栄養素が補えません。
また運動不足にも注意が必要です。適度な運動は全身の血行を促進し、毛髪を育てる毛乳頭と毛母細胞を活性化させます。しかし運動不足は、真逆の血行不良及び毛髪生成の阻害につながります。

過度の喫煙

喫煙
発がん性物質をおよそ70種類含み、循環器疾患・呼吸器疾患などを引き起こすタバコには、依存性と有害性を併せ持つニコチンが含まれています。ニコチンには血管を収縮させる作用があるので、タバコを吸うと全身の血行が悪くなります。
「生活習慣の乱れ」でも解説したとおり、健康な毛髪を育てるためには血行が大切です。毛髪を育てる毛乳頭と毛母細胞は、血液から栄養を取り込んでいるためです。
喫煙をするたびに全身の血行が悪くなってしまうので、毛髪に栄養が行き渡らなくなります。過度の喫煙を続けることは、毛髪の成長が邪魔され続けるということです。
つまりタバコを吸っていると健康な毛髪を維持できなくなり、抜け毛や薄毛につながるのです。

間違ったシャンプー・ヘアケア

シャンプーの主な役割は、頭皮の汚れを落として清潔に保つことです。頭皮の保護れとは、分泌された皮脂・ほこり・スタイリング剤です。
しかし洗いすぎると頭皮に必要な皮脂まで落としたり、乾燥を招いたりして、抜け毛の原因になります。
頭皮の脂汚れを落とすために、洗浄力の強いシャンプーを使っている場合も要注意です。抜け毛を防ぐためには、自分に合った洗髪頻度や、シャンプーを見つけましょう。
また毛髪の乾かし方にも注意が必要です。ドライヤーで熱風を当てすぎると、熱で毛髪が傷むだけではありません。頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、抜け毛につながります。
ドライヤーを使わずに自然乾燥させるのも、頭皮によくありません。長時間濡れたままになるので、雑菌の繁殖や炎症の元になり、抜け毛が増えてしまいます。

パーマやカラーリングの薬剤

パーマやカラーリングは毛髪に施す処置ですが、施術中は頭皮に薬剤が長時間付着します。どちらの薬剤も刺激が強いものが多いため、頭皮にダメージを与えてしまいます。
薬剤と頭皮の相性によっては、炎症を起こすケースもあるので注意が必要です。抜け毛や薄毛が気になっている場合、極力パーマやカラーリングをしないことがおすすめです。
どうしても行いたい場合は、頭皮や髪に刺激が少ない成分のものを選びましょう。抜け毛でクリニックの受診を検討している場合は、医師に相談してからヘアスタイルを決めるのも一案です。

頭皮に負担がかかるスタイリング

ポニーテールやエクステを付けたりするときのように、強く毛髪を引っ張るスタイリングを長年している場合も、抜け毛につながります。
頭皮牽引性脱毛症といい、強く引っ張られることで頭皮が血行不良を起こすことが原因です。
またスタイリング剤を大量に使うようなヘアスタイルをしている場合も、注意しましょう。スタイリング剤が頭皮に長時間付着している状態も、抜け毛の原因になるためです。
付着したスタイリング剤が頭皮の汚れとなって毛穴をふさぎ、毛髪の成長を阻害してしまいます。

紫外線によるダメージ

紫外線
紫外線は頭皮と毛髪にダメージを与えるため、抜け毛の原因になります。UVAは日焼けや肌の老化を引き起こしますが、抜け毛が気になる場合注意が必要なのはUVBです。
UVBはシミ・そばかすの原因になるだけでなく、肌の炎症を引き起こします。頭皮が炎症を起こすと、頭皮の環境が悪化するため、抜け毛の原因になってしまうのです。
紫外線は年中降り注いでいますが、6~8月は特に量が増えます。山のような高い場所は空気が薄いため、地上よりも強い紫外線を浴びることになります。
登山をするときやスキー・スノーボードなどをするときは、6~8月以外でも特に注意しましょう。
簡単な紫外線対策は帽子を被ることですが、長時間被っていると頭皮が蒸れてしまいます。たまに脱いで蒸れない工夫をしたり、日傘を活用したりするのがおすすめです。

脱毛症

普段毛が抜ける量よりも多く抜け毛が見られる、正常ではない状態が脱毛症です。正常時における脱毛の量は、1日におよそ100本程度です。
脱毛症には男性型または女性型脱毛症(AGA・FAGA)・円形脱毛症・頭皮牽引性脱毛症などがあります。
脱毛症は頭皮環境やホルモンの影響などで、毛髪が生えなくなってしまうことが原因です。また毛髪が生え変わる周期が乱れて、普段よりも抜け毛が増えている異常な状態を指すケースもあります。
中でも円形脱毛症は、症状によっては範囲が拡大したり、複数の場所が脱毛したりする可能性があります。長期化するケースもあるため、早急にクリニックを受診することがおすすめです。
円形脱毛症は頭部だけでなく、眉毛・まつ毛・ひげなどの体毛が抜けるケースもあることを、覚えておきましょう。

AGA・FAGA

抜け毛が増えている原因として、AGAといわれる男性型脱毛症と、FAGAといわれる女性における男性型脱毛症があげられます。
AGAの原因は男性ホルモンであるアンドロゲンです。毛髪が細く短い状態にミニチュア化してしまうのは、アンドロゲンの影響で成長期が短くなるためです。
女性に見られるFAGAはアンドロゲンの影響ではなく、女性ホルモン量の変化などさまざまな原因があるといわれています。
AGAもFAGAも抜け毛が増えるだけでなく、薄毛の原因にもなります。どちらも進行性で、自然治癒しないケースが多い点も覚えておきましょう。

正常・異常な抜け毛の見分け方

髪の分け目
「最近、抜け毛が増えているかもしれない」と気になり始めたら、正常な抜け毛かどうかチェックしてみましょう。正常・異常な抜け毛の見分け方を解説します。

毛根部分をチェック

正常な抜け毛の毛根は、ふくらんでいて丸い形です。マッチ棒をイメージするとわかりやすいでしょう。
一方異常な抜け毛の毛根はふくらみがなく細いうえに、尖って弱々しい見た目です。毛根にハリがない状態なのは、成長しきる前に抜けてしまったことが原因です。

抜け毛の長さや太さをチェック

抜け毛
正常な抜け毛は、成長しきってから抜け落ちます。そのためハリと長さが充分ある状態です。毛髪の太さは個人差がありますが、自分の生えている毛髪と同じくらいの太さかどうかチェックしましょう。
異常な抜け毛は成長途中で抜けているため、自分の他の毛髪よりも細くて短い状態です。
ヘアスタイルや毛髪が抜けた部分にもよりますが、見るからに弱々しいと感じたら、異常な抜け毛と判断していいでしょう。

抜けた本数をチェック

前述のとおり、正常な状態で1日に抜ける毛髪は、多くておよそ100本程度です。しかし1日に抜ける毛髪を全て集めて、数えることは不可能です。
洗髪時やドライヤーで毛髪を乾かすときに、指やブラシに絡まる毛髪が増えているかどうかをチェックしましょう。
排水口にヘアキャッチャーを付ければ、洗髪時の抜け毛チェックが容易になります。枕元や部屋に落ちている抜け毛の量もチェックするといいでしょう。

抜け毛を減らすための対策は?

薄毛
抜け毛を減らすためには、原因となっている生活習慣や、ヘアケア方法を見直すことが大切です。
睡眠時間・食生活・喫煙などが原因で頭皮環境が悪化している場合は、生活習慣を見直して改善することが対策になります。
その他パーマやカラーリングなど頭皮に負担がかかることは避ける、紫外線を頭皮に浴びないようにするなど、頭皮環境を整えるように意識するといいでしょう。
また頭皮の血行が悪いと、毛髪の成長の妨げになります。頭皮マッサージをして血行を促し、毛髪に栄養が行き渡るようにするのもおすすめです。

正しいシャンプーの方法

シャンプー
毛髪と頭皮の汚れをしっかり落とし、頭皮を清浄に保つためには、正しい方法でシャンプーすることが重要です。正しいシャンプーの方法を解説します。

  • 洗髪前にブラッシングをして、皮脂やほこりなどの汚れを浮かせる
  • ほとんどの汚れを落とすつもりで、ぬるま湯で予洗いをする
  • シャンプーを適量手に取り、手のひらでしっかり泡立てる
  • 頭皮に付ける感覚で泡を頭に乗せる
  • 指の腹で優しく洗う。爪を立てない
  • 生え際・こめかみ・耳の後ろも丁寧に洗う
  • 毛髪は泡で優しくなで洗い
  • 泡が頭皮や毛髪に残らないように、しっかりすすぐ
  • トリートメントを行う。こちらもしっかりすすぐ

ポイントは予洗いと、爪を立てないこと、しっかりすすぐことです。シャンプーの後はドライヤーで素早く乾かしましょう。

AGAやFAGAが原因の抜け毛の場合はセルフケアで改善するのは難しい

髪を気にする男性
AGA・FAGAは自然治癒がほぼ見られない脱毛症です。
AGAは額の生え際や頭頂部の毛髪が薄くなり、放置しているとどんどん進行してしまいます。FAGAはAGAと症状が異なり、額を残して頭頂部が薄毛になるパターンが多く見られます。
現在生えている毛髪は、生活習慣の見直しや医薬部外品の育毛アイテムで、ある程度の対策が可能です。しかしセルフケアでは、抜けてしまった毛髪の改善は期待できません。

抜け毛が気になったら早めにクリニックを受診するのがおすすめ

診察
普段よりも抜け毛が多いと感じたら、原因と思われる習慣の改善と同時に、早めにクリニックを受診することがおすすめです。
セルフケアで改善が期待できる抜け毛の場合は、生活習慣を見直せば徐々に減っていくでしょう。しかし原因がAGA・FAGAの場合は、セルフケアを頑張っている間にどんどん進行してしまいます。
クリニックにかかれば外用療法や内服療法など、さまざまな治療方法の中から、症状に合った治療方法を施してもらえます。
治療の効果が出るまでに1年以上かかるため、抜け毛が気になったら速やかにクリニックを受診することが、一番の対策です。

編集部まとめ

笑顔の男性
抜け毛の原因はまず、頭皮環境の悪化や、生え変わり周期が乱れていることがあげられます。

過度のストレスによる自律神経の乱れや、不眠・食生活の不摂生・運動不足が引き金になっています。また過度の喫煙や、自分の頭皮に合っていないシャンプー・ヘアケア方法もNGです。

これらを見直せば、抜け毛が改善されるケースもあります。

抜け毛が増えている原因が、加齢やAGA・FAGAなどの場合は、セルフケアでは改善されません。速やかにクリニックを受診し、治療を開始することがおすすめです。

この記事の監修医師