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性病は検査キットで検査すべき?検査方法や検査キットの使い方

 公開日:2024/01/19
性病は検査キットで検査すべき?検査方法や検査キットの使い方

種類によっては命の危険もある性病。自覚症状があってもなくても、心当たりがある場合は念のために性病検査は受けておきたいところです。しかし、検査を受けられるのは医療機関だけだと思っている方は少なくないのではないでしょうか。今回は、性病検査の方法や自分でできる性病検査キットについて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

主な性病の種類

主な性病の種類

性病とは、性行為などの粘膜同士の接触により、ウイルスや細菌に感染して起こる病気のことです。このような病気を総称して性病と呼びますが、性病にはどのような種類があるのでしょうか。ここでは罹患する患者さんが多い代表的な性病を8つ紹介します。

性器クラミジア

まずは性器クラミジアについて紹介します。性器クラミジアとはクラミジアトラコマティスという病原体が原因で起こる性病です。男性に発症した際は排尿時に痛みを感じたり、性器にかゆみを感じたりします。透明の膿のようなものが出る場合もあります。女性に発症した際は、あまり症状が出ないことが多く、出ても軽度なのであまり違和感を覚えない方がほとんどです。この性器クラミジア喉に感染することもあり、そうした場合は咽喉クラミジアとなり、喉の痛みやイガイガ感が続きます。性器クラミジアは患者数が非常に多い性病で、感染してから1週間~3週間程度の潜伏期間があるため、気づかないうちに性行為を行って感染を広げてしまうというケースも多く見られます。

性器ヘルペス

次は性器ヘルペスについてです。口の周辺にできるヘルペスを知っている方は多いと思いますが、それと同じように水疱やびらんが性器にできてしまう病気です。口唇ヘルペスもそうですが、ヘルペスのウイルスを完全に消す薬はまだないため、治療を行って症状がなくなったように見えてもウイルスは体内に滞在し続けている状態です。そのため、ストレスがかかったときや免疫力が落ちたときに再発する可能性が高く、精神的にも負担が大きい性病です。症状としては、性器のかゆみや不快感、水疱の発生などがあります。

性器カンジダ

性器カンジダは、カンジダ菌というカビの一種が原因の性病です。カンジダ菌は多くの人がもともと体表に持っている常用菌で、普段は特に問題を起こしません。しかし、そのほかの菌とのバランスが崩れたときや、体の免疫力が落ちたときなどに異常増殖を起こすと、性器カンジダが引き起こされます。これは、男性には起こりにくい性病で、女性の場合は外陰部のかゆみやおりもの異常によって気づきます。性病の一種に分類されていますが、性行為をしていなくても発症する可能性がある病気です。

梅毒

梅毒は、1期から4期までのレベルに分かれて進行する点が特徴的な病気です。昔は不治の病とされていましたが、医療の進歩から治療法が確立され、一時期梅毒に感染する人は著しく減少していました。しかし、近年また梅毒患者さんが増加傾向にあり、注意が必要です。梅毒は赤くただれたり腫れたり、しこりができたりという症状から始まります。その後数週間から数か月放置しておくと全身症状に発展し、手のひらなどにも発疹ができはじめます。最終的には梅毒の原因菌が神経などまで浸食し、臓器を壊し、命を危険にさらします。きちんと医療機関にかかって治療をしていればこの段階になる心配はありませんが、放置しておくと進行してしまうため注意しましょう。梅毒は、症状が治まって、自覚症状がない期間が定期的に訪れますが、次のステージへの準備期間と考え、早めに医師に相談しましょう。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマとは、ウイルスが原因で性器や肛門の周りに大小さまざまな突起ができる性病です。鶏のトサカのようなとがった形のイボができるため、異変には気づきやすいですが、イボ以外の症状はほとんどありません。放置するとイボが増えたり、患部が広がっていったりする可能性があります。また、感染したウイルスの種類によってはがん化することもあるので、気づいた時点で早めに治療を開始しましょう。

淋病

淋病は淋菌という菌が原因の性病で、強い排尿痛が生じることが特徴です。膿が出る場合もあり、放置していると次第に症状が進行していきます。男性の場合は、精巣上体炎という病気にまで進行すると、歩くだけでも痛みが生じる状態になってしまいます。女性の場合は子宮頸管炎を起こして、おりもの異常や不正出血を起こすこともありますが、無症状の場合もあります。

膣トリコモナス症

膣トリコモナス症は女性に症状が強く現れる性病で、性器周りの強いかゆみが特徴的です。併せて強い臭いの黄色いおりものが出ることもよくあります。基本的には性行為を介しての感染ですが、まれに下着やタオルの共用で感染することがあるので注意しましょう。男性は無自覚の場合が多いですが、家族やパートナーが感染していると分かったときには一緒に検査、治療を行うと良いでしょう。

HIV

HIVとはウイルスの名前です。これに感染することで、体の免疫機能が著しく低下し、その結果普段はかからないさまざまなウイルスに感染してしまいます。HIVに感染すると、そこから数週間は風邪のような発熱症状が続きます。その後しばらくすると無症状の期間が数年続きますが、放置しておくとリンパ球が破壊されエイズに発展していきます。エイズになると日和見感染が増え、あらゆる病気にかかりやすくなってしまいます。

性病の検査方法

性病の検査方法

身近なものも多い性病ですが、日常生活に影響を及ぼすものから命を脅かす危険があるものまでさまざまな種類があることを理解していただけたでしょうか。ここからは性病に感染した際にいち早く気づき、早期に治療を開始するために大切な性病検査について紹介します。

通院による検査

性病検査を受ける場所として、まず思い出されるのが医療機関でしょう。医療機関を受診することで、医師のもとで正確な検査を受けることができ、万が一陽性であった場合もそのまま治療を続けることができるというメリットがあります。しかし、検査を受けるのがはずかしかったり、受診料がかさんだりという面から受診をためらう方が少なくないのが現状です。

検査キットの使用

医療機関の受診をためらっている方におすすめなのは、セルフ検査ができる検査キットの使用です。医療機関で受けるのと同じ項目の検査を自宅や出先で行うことができるので、周りに知られずに性病検査をできるという良さがあります。

性病の検査キットの選び方

性病の検査キットの選び方

検査キットを利用すると、手軽に性病検査ができます。ネット上にはたくさんの種類のものが売られていますので、検査キットの種類や特徴、選ぶときのポイントなどについてここで紹介します。

検査可能な項目数

検査キットを購入するときは、まずはどの性病について検査ができるのかを調べなくてはなりません。パートナーからの陽性報告を受けた際などの、ピンポイントで1つの性病について調べたいという場合を除いては、なるべくたくさんの種類を検査できるキットを選ぶと良いでしょう。検査項目が少ないキットを使用すると、どの性病に罹患しているのかを判別するのが難しく、一度で判別できなかったときに追加でキットを購入する必要が生じます。

検査期間

次に検査期間についてもチェックしておきましょう。キットによって、検査結果が出るまでの日数や、結果が出てから通知が届くまでの期間は異なります。キットの種類や費用との兼ね合いもありますが、早期に治療を行うためにはなるべく早く結果が届くキットを選ぶと良いでしょう。

費用

検査キットの使用では、医療機関を受診するよりは比較的費用を抑えることができます。ただし、検査キットは本体の価格のほか、配送料や再検査料がかかります本体価格が安くてもそのほかが高い、逆に検査キットは高いけれど配送料や再検査料は無料など違いがあるので、そうした部分も確認しながら選ぶと良いでしょう。

病院との提携

検査キットは手軽にセルフチェックができる一方、治療は行うことができません。そのため、陽性と検査結果が出た際は医療機関を受診して治療へ移行する必要があります。その場合は検査キットと医療機関での検査と重複して検査をする必要が出てきてしまうため、自覚症状がある場合は初めから医療機関での検査をするほうが良いでしょう。

キットの受け取り方法

検査キットは種類によって受け取り方法が異なります。自宅などの特定の住所にしか送れないものもあれば、コンビニや郵便局などで留めることができるものもあります。自宅に届くと自分以外の人にキットが見られてしまう可能性もあるので、周りに知られずに検査をしたいという方は、匿名配送や局留めを利用できる検査キットを選ぶようにしましょう

性病の検査キットの使い方

性病の検査キットの使い方

検査キットは調べたい性病の種類や、キットの種類によって使い方が異なりますが、多くの場合はイラストが一緒に同封されているので、それを見ながら検査を行いましょう。ここでは採血や尿検査など、手段ごとの検査方法を紹介します。

採血による検査

まずは採血による検査です。検体として血液を提出するときは、同封されている専用の機器を利用して、指先から少量の血液を採ります。採取した血液が少ないと、正しい検査結果が出ないことがあるので、採血前に体を温めるなどの準備をしてから行いましょう。

尿検査

次は尿検査です。尿検査をする場合は、前回の排尿から1時間程度の時間を空けてから行いましょう。尿を採取するときのポイントとしては、出始めの尿をしっかりと採取するということです。性病の原因菌は尿の出始めに多く含まれているので、覚えておきましょう。

うがいで採取する喉の検査

次はうがいによる検体採取の方法です。同封されているうがい薬を口に含み勢いよく喉の奥まで浸透させるようにうがいを行います。このとき痰が一緒に入ると検査ができない場合もあるので、説明書をよく読んで、必要があれば痰を入れないように気を付けながら吐き出しましょう

綿棒で採取する喉の検査

最後に、綿棒で喉の奥の検体を採取する方法です。同封されている綿棒を使って、喉の奥のほうをこすります。綿棒に付いたもので検査を行うので、検査したい喉以外の部分に綿棒の先が触れないように注意して取り扱いましょう。綿棒も喉の奥の検体を採取する方法では、思わぬ怪我につながる場合もありますので、こちらの検査は他の検査より十分に気を付けて行っていただく必要があります。特に、手で触ってしまう方が多いので気を付けてください。また、検査の精度をあげるために、検査前30分~1時間程度は飲食や歯磨き、うがいなどを控えるようにしましょう。

まとめ

まとめ

いかがでしたか。近年種類が増えている検査キットについて少し興味を持ってもらえたでしょうか。手軽に扱えるメリットがありますが、陽性の場合は医療機関での治療が必須となるため、自覚症状がある場合は検査キットを使わずに、早めの受診を検討してください。

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