円形脱毛症の治る前兆とは?円形脱毛症の原因・症状・早く治す方法について解説
円形脱毛症は毛髪が突然抜ける自己免疫疾患であり、1000人に2人が発症するとされている病気です。
発症する割合でみてみると、30歳以下の発症率が81.8%と高く、若年層である15歳以下の発症率はそのうちの4分の1を占めているといわれています。
また発症するのは男性よりも女性が多いとされており、思春期で発症してしまうと見た目に自信が持てないことで、不登校や引きこもりなどの社会的な問題を抱える原因であるといえるでしょう。
そのため、「円形脱毛症をなるべく早く治したい」と思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、円形脱毛症の治る前兆・発症する原因・早く治す方法について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
円形脱毛症の治る前兆とは?
思春期とは周囲の影響を受けながら心と体だけでなく、取り巻く環境が大きく変化するいわゆる1人の大人として確立するための大切な時期です。
そのため、見た目の大きなトラブルとして挙げられる円形脱毛症を目まぐるしく変化していく思春期に経験することは、心の発達に重大な影響を及ぼすといえるでしょう。
自然治癒する可能性が高い病気ではありますが、少しでも心が安心できるように円形脱毛症が治る3つの前兆を紹介していきます。さっそくみていきましょう。
細い産毛が生えてくる
人間の頭皮は生える・伸びる・落ちるの3つの段階を繰り返すヘアサイクル(毛周期)を持っています。
正常であれば 2~6年ほどかけて髪が伸びる成長期から、2週間ほどで退化して髪が抜け落ちる移行期に突入します。髪が抜け落ちた後は、3~4か月の休止期を経て新たな成長期に移っていくというサイクルです。
円形脱毛症は1年以内に80%の確率で治るとされており、早い人では何らかの原因で髪が抜け落ちた後も6か月ほどで産毛が生えてくるとされています。
産毛の量が増える
産毛が生えてくる状態を発毛といいます。この発毛が始まると、頭皮に髪が触れてかゆみを感じることもありますが、症状が改善している証拠でもありますので安心してください。
かゆみは治りかけている全ての人に感じるものではありませんが、産毛の量が増えてきているなら改善に向かっている可能性が高いといえます。
しかし、一時的なかゆみではない場合には注意が必要です。
- 長期間かゆみが続く
- 頭皮に赤みがある
- 炎症が出る
上記の症状がみられる場合には、医師に相談するようにしましょう。
太い髪の毛が生えてくる
産毛の状態から後期成長期に入ると、太い髪の毛が生えてきて円形脱毛症も少しずつ目立ちにくくなってきます。太い毛の本数も増えてくれば精神的にも安定してくるため、円形脱毛症が治るのも時間の問題といえるでしょう。
髪が伸びるのには個人差があることを認識しておいてください。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症が治る前兆には、毛周期の成長期障害・退行期・休止期・成長期の過程を経て、回復する傾向にあることを先述しました。
ここからは、「なぜ若年層で円形脱毛症の発症リスクが高まってしまうのか」その原因についても詳しく解説していきます。
円形脱毛症を発症しやすくなる人の特徴でもありますので、ぜひ参考にしてください。
自己免疫疾患
円形脱毛症の原因はいまだ解明されていません。しかし、近年の研究により円形脱毛症を発症する原因として有力視されているのが、自己免疫疾患があることです。
もともと人間の体には外部の異物から体を守るために働く免疫機能が備わっています。この免疫機能に何らかの原因で異常が生じると、毛根を異物として誤って認識するため排除してしまうのです。
その結果、頭皮から毛根が抜け落ちてしまい円形脱毛症を発症してしまうとされています。
ストレス
さまざまな病気に深く関係するといわれているストレスは、円形脱毛症を発症するきっかけにも影響を与えてしまいます。
若年層で円形脱毛症の発症リスクが高まってしまう原因も、思春期という目まぐるしく変わる生活環境や人間関係から発生するストレスが影響しているといっても過言ではありません。
強い精神的ストレスを長く受け続けると、運動時などの興奮した時に活発となる交感神経に異常が生じるのです。交感神経に異常が生じると血管が収縮し、全身の血流を悪化させてしまいます。
血流の悪化は頭皮や毛根にも影響し、髪の毛の成長に必要な栄養素が効率よく行きわたらなくなると、結果的に髪の毛が抜け落ちる現象を引き起こします。
さらに、強い精神的ストレスは自己免疫にも大きな影響を与えると考えられているため、ストレスを軽減させることが大切です。
アトピー素因
実は、アトピーと円形脱毛症には深い関係性があると考えられています。円形脱毛症を発症した人のうち約40%がアトピー素因を持っているという研究データが発表されました。
アトピー素因とは、以下4つの疾患です。
- アトピー性皮膚炎
- 気管支ぜんそく
- アレルギー性鼻炎
- 結膜炎
上記の4つの疾患を持っていない人が円形脱毛症を発症している場合には、アトピー素因を持っている家族がいるケースも多いとされています。
アトピー素因と円形脱毛症には深い関係があると考えられるため、ご自身がアトピー素因を持っていなくても視野に入れておいてください。
遺伝
親や祖父母に円形脱毛症を発症した人がいる場合には、約2割が遺伝によって円形脱毛症を発生するという結果があります。基本的にそのまま遺伝するのではなく、あくまでも遺伝する可能性があるという話です。
発症する原因が明確ではありませんが、円形脱毛症は遺伝的な要素にも深い関係のある可能性が高いといえるでしょう。
円形脱毛症の症状について
ここまでは円形脱毛症を発症したと仮定して、円形脱毛症の治る前兆や発症する原因についてお伝えしてきました。
そもそも、円形脱毛症の症状とは一体どのようなものなのでしょうか。それでは、円形脱毛症の症状について詳しく解説していきましょう。
円形脱毛症はその名の通り、円形に毛が抜け落ちてしまう後天性脱毛症です。1箇所だけではなく、複数箇所で円形脱毛症が発生する場合もあります。
円形に毛が抜け落ちてしまう症状は脱毛斑(だつもうはん)といわれ、脱毛斑の数や範囲から単発型・多発型・全頭型・蛇行型に分類されています。
一般的に自覚症状はありませんが、急激に髪の抜ける量が増えることで気づく人が多いのです。ほかにも、以下のような症状がみられる場合もあります。
- 軽いかゆみやかきむしった痕跡がある
- 頭部に違和感を覚える
- 浮腫性の淡い紅斑がある
- 円形脱毛症になるところがわずかにへこみやくぼみがある
円形脱毛症は、繰り返す疾患であるとされています。そのため、円形脱毛症の診断では脱毛症状の経過・治療歴・家族歴・既往歴・合併症などを注意深く問診することが重要です。
円形脱毛症とAGAの違いとは?
円形脱毛症とAGAの違いについてもふれてみましょう。まずAGA(男性型脱毛症)とは、薄毛や抜け毛など頭部の毛髪が少なくなる疾患のことを指します。
薄毛や抜け毛で悩む男性のほとんどが、このAGAに該当するとされています。同じ抜け毛が関係する疾患ではありますが、円形脱毛症とAGAにはどのような違いがあるのかみていきましょう。
発症対象が異なる
AGAは主に遺伝的な原因が大きいと考えられている疾患です。さらに、男性ホルモンが原因で発症する疾患であることも判明しています。
しかし、男性ホルモン以外にもストレスや生活習慣などさまざまな要因が関わっていると考えられているため、体質による差異があるとされています。
AGAは主に早くて20代から年齢を重ねるごとに症状は進行していきますが、円形脱毛症は思春期の時期であり、さらに女性に多くみられることが異なる特徴です。
進行方法が異なる
一般的に、額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こりはじめて、ゆっくりと時間をかけて少しずつ薄毛が進んでいく、進行性の脱毛症であるのがAGAの特徴です。
ゆっくり進行していく背景には、周期的な毛の再生現象であるヘアサイクルが短くなり、再生する毛包のサイズがミニチュア化することによって、毛髪が短く細くなっていきます。
そのため、一部分だけの毛髪が急速に抜け落ちる円形脱毛症とは、発生する時間も発生箇所も異なります。
円形脱毛症を早く治す方法とは?
それでは多くの人が知りたいであろう「円形脱毛症を早く治す方法」についても解説していきましょう。結論からお伝えすると、円形脱毛症を早く治す方法は4つです。
- 医療機関で治療を受ける
- 生活習慣を見直す
- ストレス対策をする
- 頭皮の清潔を保つ
それぞれの方法を詳しくみていきましょう。
医療機関で治療を受ける
思春期に円形脱毛症を発症してしまうと、大きく見た目に影響することから「恥ずかしい」と隠してしまう人が多くみられます。
しかし放置してしまうと、円形脱毛症が重症化する場合もあるため注意が必要です。
早期発見と早期治療を受けることで早く治す方法にもつながります。まずは医療機関に受診して、専門の医師に相談しましょう。
生活習慣を見直す
アトピー素因が影響している可能性のある円形脱毛症を早く治すためには、生活習慣を改善する必要があります。
特にアトピー性皮膚炎を発症しやすい人は生活習慣を見直しましょう。アトピーの主な原因としては以下のことが挙げられます。
- 肌の乾燥
- ストレス
- 睡眠不足
- 過度の飲酒
- アレルギー(ハウスダスト・ダニ・花粉など)
上記の原因を防ぐためには、清潔な環境を保つ必要があります。定期的な清掃を心がけることでアレルギーから発症するリスクを軽減できるでしょう。
さらに十分な睡眠を取り、適度な運動とバランスの整った食事をとることで体の免疫力を上げていくこともおすすめです。
お風呂上がりや乾燥しやすい冬場には、頻繫に体を保湿するなどの対策と工夫を行うことが大切です。
ストレス対策をする
ストレスは交感神経に異常を生じさせるだけでなく、さまざまな病気を引き起こす原因にもなります。周囲にサポートしてもらうなど、社会的環境を整えることも重要です。
さらに、ご自身でもストレスに対処する能力アップとなる方法を生活に取り入れていきましょう。 ストレスに対処する能力を高める具体的な方法は、以下の通りです。
- ストレスの正しい知識を知る
- 規則的な睡眠・運動・食生活によって健康を維持する
- ストレス状態を正確に把握する
- リラックスできるものを知る
- 時間にゆとりをもつ
- 趣味や旅行などの気分転換になることをする
- アロマなどストレス緩和アイテムを取り入れる
- 心理カウンセリングを受ける
ストレスを感じるポイントや許容応力は個人差があります。まずはご自身のストレス対応力を知ることからはじめましょう。
ストレスチェックは厚生労働省のストレスチェック実施プログラムからも受診することが可能です。ぜひ試してみてください。
頭皮の清潔を保つ
顔は保湿をしても頭皮を保湿しないという人が多くみられます。頭皮は顔とつながっている同じ皮膚であることには変わりないため、保湿をするよう心がけましょう。
特に円形脱毛症の原因と考えられている、アトピー素因のある人は保湿が重要になります。また頭皮を洗浄する際には、爪を立てないようにすることも大切です。
頭皮を傷つけてしまうと乾燥だけでなく、かゆみを引き起こす原因にもなりますので注意しましょう。
円形脱毛症は焦らずに経過を見ることが大切
毛髪がなくなっても命に別条はありませんが、精神的苦痛は想像以上に人生や性格へ大きな影響を及ぼします。
精神的な悩みや不安から、日常生活の質が低下したり体の変調を引き起こしたりすることも少なくありません。
精神的ストレスや環境からのさまざまなストレスが毛の成長を遅らせることも判明しています。さらに思春期の時期は、心に大きな影響を及ぼす可能性も高いといえるでしょう。
しかし、円形脱毛症は発症した人の約80%が自然治癒することも分かっています。焦ることがストレスとなり、症状を悪化してしまう原因になる可能性が高いためゆっくり経過を見ることが大切です。
編集部まとめ
発症率の4分の1が15歳以下の思春期の時期であり、かつ女性に多く発症がみられている円形脱毛症を早く治す方法について詳しくお伝えしてきました。
毛髪が突然抜ける自己免疫疾患であるとされており、1000人に2人が発症するとされていますが、まだまだ原因は解明されていない病気です。
女性や思春期を迎えている若年層にとっては死活問題ともいえる見た目に影響がでることから、見た目に自信が持てないと不登校や引きこもりなどの社会的な問題の原因であるといえます。
心も体も深刻化させないためにも、まずは生活習慣の見直しとストレス発散・解消する方法を身につけて、早期発見と早期治療に努めることが大切です。
なるべく早く円形脱毛症を治すためにも、「恥ずかしい」と内気にならずに皮膚科のある病院へ受診しましょう。
本記事を読んで、少しでも円形脱毛症に悩む人のお役に立てれば幸いです。
参考文献