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1に運動、2に食事、3に薬 ホリスティック医学を生活習慣病に実践【広島市南区 兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック】

 公開日:2023/11/17

1に運動、2に食事、3に薬
ホリスティック医学を生活習慣病に実践
1に運動、2に食事、3に薬
ホリスティック医学を生活習慣病に実践

「生活習慣病」と聞いて何を一番にイメージするだろうか。肥満、それとも糖尿病? また、日本人の死因の上位を占める3大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)だが、これも元をたどれば生活習慣病であることは認識しているだろうか。わかっているようでなかなか直結しないというのが正直なところ。生活習慣病は、ある日突然やってくるのではなく、日々の生活において悪い要因が積み重なり発症するもの。それを踏まえて兵庫内科・肝臓糖尿病クリニックの兵庫秀幸院長にお話を伺うと、健康において何が大切なのかが見えてきた。

Doctor’s Profile
兵庫 秀幸
兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック 院長

広島大学医学部医学科卒業。長年、肝臓における代謝研究を行い、学術的実証に基づいた“心技体”三位一体のトータルケアを生活習慣病の治療で実践。2021年には兵庫内科・肝臓糖尿病クリニックを開院し、健康寿命の延伸に力を入れる。佐賀大学医学部臨床教授、AGE測定推進協会学術アドバイザーおよび認定講師、日本医療戦略研究センター理事など多岐に渡って活躍中。

はじめに、先生のご専門をお聞かせください

医師になって30年以上、コレステロール脂質代謝、糖質代謝、脂肪肝など、肝臓における代謝研究を行ってきました。その中で、脂肪肝から肝炎、肝硬変、肝がんへいたる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の基礎・臨床研究に重点をおき、肝臓を守るための、生活習慣病の統括管理の重要性と向き合ってきました。
統括管理といいましたが、海外では自然治癒力を含めた幅広い治療法の選択など、ホリスティック(全体的)な健康観を大切にした医学が発展しています。当クリニックでも、ただ薬を飲んで治すのではなく、1に運動、2に食事と、病気の原因や根本となる生活習慣を正していくことを第一に、患者さんのライフスタイルに基づいた多角的な治療を心がけています。

さまざまな疾患へとつながる生活習慣病の実情とは

改めて生活習慣病の認識と、傾向のようなものはありますか?

生活習慣病とは、運動習慣・食習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する病気のことを指します。カロリーの過剰摂取や偏りが糖尿病につながり、飲酒や運動不足は高血圧となる可能性があるといった、まさに日々の生活習慣が起因となる病気です。
そして現在、いわゆる生活習慣病として、人間ドッグなどにおいて最も多く指摘されているのが肝機能異常です。

肝機能異常とはどういうものですか?

肝機能が異常となる原因は、やはりお酒の飲みすぎによるアルコール性が最も多いです。ほかにもウイルス性や薬物性などありますが、近年特に注目されているのが、アルコールをほとんど摂取しないにも関わらず脂肪肝などを引き起こす非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で、これらは肥満と大きく関係があるといわれています。

自覚症状はありますか?

まず、肝臓は私たちの生命活動においてとても重要な役割を担っています。それは、胆汁の生成と解毒、そして代謝の中心臓器であるという点です。
ところが肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、異常が出現してもほとんどの方に自覚症状はありません。だからといって放っておくと慢性肝炎となり、徐々に肝硬変へと状態は悪化。いずれ命に危険を及ぼす肝がんを発症するリスクを持っています。

肝機能異常のほかに、注意すべき生活習慣病はありますか?

人間ドッグの指摘率でいうと、肝機能異常に次いで多いのは、糖代謝異常を含む糖尿病です。糖尿病には2種類あり、ひとつはインスリンを出す膵臓の細胞が壊されてしまう1型糖尿病ですが、生活習慣の乱れによって引き起こされる2型糖尿病がほとんどの割合を占めています。
ここで注意すべきなのは、2型糖尿病は体全体の病気とも関連しており、単独で存在しないことを認識しておく必要です。

さまざまな疾患へとつながる生活習慣病の実情とは

それらの病気が増えた背景にはどんなことが考えられますか?

ここ十数年で日本における肥満率は大きく増加しています。1990年代の人間ドッグで肥満や脂肪肝と指摘される方は1割以下でした。しかし2000年代に入り、脂肪肝率については女性で約2割、男性で約3~4割と大きく増加し、肥満率が上がっていることがわかります。
背景として考えられるのは、やはり食生活の変化と運動量の減少です。特に運動量に関しては、先進20か国の集計によると、1日で座っている時間が7.8時間と最も長いのが日本で、「デスクワークの多い日本人は座りすぎで命を落とす」と言われるほどです。

早期発見・早期治療で、治る確率は高くなる

早期発見・早期治療で、治る確率は高くなる

自覚症状がないといわれましたが、クリニックにはどういったきっかけで来られる方が多いですか?

大きく2パターンあります。ひとつ目は人間ドッグや職場検診でひっかかった方です。自覚症状はないけど数値が悪かったのでと来られる方は、薬によるサポートを始める前の、運動や食事療法で改善できる段階にあることが多いです。
ふたつ目は眼科からの依頼です。これも無症状の怖さが招くものですが、高血圧や糖尿病を放置した結果、合併症に伴うダメージが目におよぶことがあります。こうなると症状としてはかなり進行している状態なので治療に苦労することが多いです。

生活習慣病を疑うのは、なかなか自身では難しいということですか?

ひとつ確実にいえるのは、肥満は「万病のもと」ということです。そして、肥満になる原因は、まさに生活習慣の乱れといえます。また、太りすぎと同様に痩せすぎもよくないことがわかっています。
医学研究でわかっているのは、筋肉のある肥満は内科的な病気が少なく、筋肉のない肥満と、筋肉のない痩せすぎには病気が多く、寿命も短いということです。

生活習慣病は治りますか?

糖尿病の場合、2型については早期であれば治ります。ただし、インシュリンが出ない状態まで悪化していると薬が欠かせないため、できるだけ早期発見することでよい状態に持っていける可能性が高くなります。
肝機能異常については、肝硬変まで悪化してしまうと治すことはできません。しかし、肝硬変になるということは慢性的な炎症が続いた結果なので、検査で異常がみられた場合、お酒を飲む人なら控える、脂肪肝を招く肥満を解消するといったように、やはり生活習慣を見直していくことで数値をよくしていくことはできます。

生活習慣病は肝臓と糖尿病に注意していればいいのですか?

そうともいえます。残念なことに生活習慣病予防のために病院へ足を運ぶ人はなかなかいません。しかし、検診などで数値の異常が見られるとそうもいかなくなります。
先ほども言ったように人間ドッグでの指摘率が高い「肝臓と糖尿病」をクリニックの名前に付けた理由は、専門病院を受診する機会の増加に期待しているからです。検診結果はあくまで目安です。
大事なのは、それをきっかけに生活習慣病に意識を向けること。原因となる生活習慣をきちんと見直すことで、そこから併発されるさまざまな疾患の予防・改善につなげることです。

早期発見・早期治療で、治る確率は高くなる

意識を変えるためにも専門医のアドバイスを

意識を変えるためにも専門医のアドバイスを

治療をする上で大切なことは何ですか?

生活習慣病にとってよくないのは、ある時期がんばって数値を正常化しても、また元の生活に戻れば悪くなってしまう、その繰り返しです。定位置にいるよりも、改善と悪化を繰り返す方が病気の進行を早めてしまうのです。
治療するなら体の状態を常に一方向に向けること、そのためには無理のないところから、しかも継続可能な方法を選択することが大切です。

継続可能な方法とは?

一番は、自分の性格に合った方法を見つけることです。治療のやり方にはふたつあって、自己努力をもって数値をよくするパターンと、まずは薬の力を借りて数値をすべて正常域まで戻し、そこから自己努力を合わせて薬を減らしていこうというパターンです。臓器や血管にとっては後者の方が適している場合もあります。

自己努力は欠かせないのですね

意識の改善は本当に難しいことです。しかし、生活習慣病の治療でそこは欠かせません。でも、運動不足だからといって、いきなり歩き過ぎても関節を痛めてしまうだけです。だから、無理なく継続できるというのが大事で、そのために私はふだんの生活に少しだけ動きを取り入れてもらうようにしています。

意識を変えるためにも専門医のアドバイスを

ほかに注意すべき点はありますか?

食事なら5大栄養素をバランスよく摂る、特に日本人の9割に不足しているといわれるビタミンDの摂取を心がける、サラダ油ではなくオリーブオイルを使う、加工食品はなるべく食べないなど、いろいろあります。
当クリニックでは活性酸素の除去や免疫力の増加、がん細胞の増殖抑制などに効果のある水素療法を取り入れていますが、時には自由診療を含めた健康増進にフォーカスすることも大切だと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします

病気になれば、それを治そうとするのが医療です。しかし、生活習慣病と向き合ったとき、医療とは、原因となる生活習慣の見直しを含めた心と体のリンクが重要なことに気づきます。冒頭で統括管理についてふれましたが、当クリニックのモットーは、その人のライフスタイルあっての生活習慣病治療の構築です。
ストレスのある状態で制限だけを設け、結局体に悪影響を与えるのではなく、できることから少しずつ始め、継続可能なライフスタイルを見つけたとき、それがさまざまな疾患の予防につながっていれば、それが本当の意味での健康寿命の延伸につながるのではないでしょうか。

編集部まとめ

目指すは、自分に合ったバランスのよい生活
日本人は国民皆保険制度によって、最低限の診療・治療を受けることができます。しかし、大きく健康という枠で考えると、必要な栄養学、運動療法、予防医療などに、なかなか目が向けられていないことがわかります。すべてをバランスよく取り入れることは大変かもしれませんが、まずは体にいいものが何かを知り、自分のライフスタイルに合った生活習慣を身に付けることが大切です。また、健康寿命への意識を高めるには、兵庫内科・肝臓糖尿病クリニックのような専門医を訪ね、指導を仰ぐことが大切なのではないでしょうか。

兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック

医院名

兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック

診療内容

生活習慣病 糖尿病内科 肝臓内科 内科一般 など

所在地

広島県広島市南区猿猴橋町6-34-1
カープロードクリニックビル3階

アクセス

広島電鉄本線「猿猴橋町」駅より徒歩3分
JR各線「広島」駅より徒歩5分

この記事の監修医師