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フロスや歯間ブラシを併用し、歯磨きの質を高めよう【千葉県白井市 あまり歯科医院】

 公開日:2023/06/23

フロスや歯間ブラシを併用し、歯磨きの質を高めよう
フロスや歯間ブラシを併用し、歯磨きの質を高めよう

一昔前と比べれば、歯の健康に対する日本人の意識はずいぶん向上してきているようだ。それでも、歯周病や虫歯などのトラブルに悩む人はいまだに後を絶たない。また、トラブルが起こる前に来院することをためらう人も多いという。しかし、早期発見・早期治療によって治療の期間や治療にかかる料金などは格段に変わってくる。歯の疾患と全身の健康との関係も明らかになってきている昨今、口内の健康維持をするためには何がポイントなのだろうか。長年歯のトラブル予防に尽力している「あまり歯科医院」の甘利英三院長にお話を伺った。

Doctor’s Profile
甘利 英三(あまり えいぞう)
あまり歯科医院 院長

祖父の「人に感謝されるような仕事に就きなさい」という言葉で歯科医を目指す。1991年日本大学松戸歯学部卒業。その後、日本橋、横浜などでの勤務を経て1996年9月に「あまり歯科医院」を千葉県白井市に開院。以来27年間地域住民の健康のために尽力。なるべく痛くない治療、怖くない治療を心がけている。

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歯の健康への意識は高まりつつあるが、実践できている人はまだ少ない

日本人は欧米に比べて歯の健康に対する意識が低いという話を聞くことがあります。実際はどうなのでしょうか?

いえ、そうでもありません。日本人でも近年は、歯の健康に対してしっかりとした意識を持っている人が増えてきていると思います。

歯の健康への意識は高まりつつあるが、実践できている人はまだ少ない

治療に訪れる方の傾向としては、だいぶ悪化してから来院されるとか、比較的早めに来院されるとか、近年はどんな状況ですか?

個人差はあると思います。なかには、歯や口の中に違和感があっても長いこと放置していて、それでいよいよトラブルに耐えられなくなって来院される方もいらっしゃいます。でも、どちらかというと、そこまで悪くなる前に早めに来院される方が増えている印象です。

日本人は歯周病に罹っている人の割合が相当多いという話はよく聞きます

先ほど申し上げたように、歯の健康に対する意識は高まっているのですが、だからといって、きちんとした歯磨きなど日常の手入れがちゃんとできているかというと、それはまた別の問題です。歯周病になって進行させてしまう理由はいろいろですが、日常的にきちんとした手入れができていないというのも要因のひとつです。
歯周病や虫歯など、トラブルを抱えている方から話を聞くと、本人としては真面目に磨いているつもりだけれど、磨き残しがあったりする。結局、きちんとした歯磨きが実行できていないことが原因になっています。

歯の健康への意識は高まりつつあるが、実践できている人はまだ少ない

ところで、歯並びが悪いと歯周病になりやすいのでしょうか?

そうですね、「なりやすい」と言っていいと思います。なぜならば、歯並びが悪いと歯を磨いたときに磨き残しが出やすいからです。磨ききれなかった箇所に汚れが溜まり、その汚れをエサとして菌が繁殖し、歯周病が進んでいきます。ですから、できれば歯並びをきちんと矯正しておいたほうがお口の健康は守りやすいといえます。

歯ブラシだけではなく、フロスや歯間ブラシも使って正しいメンテナンスを

歯ブラシだけではなく、フロスや歯間ブラシも使って正しいメンテナンスを

歯磨きをする場合、どのようなことに注意して磨いたらいいですか?

歯ブラシだけだとどうしても磨き残しが出てきてしまうので、フロスや歯間ブラシを使うことをおすすめします
それから、気をつけないといけないのは、歯磨き粉です。テレビCMなどでは歯ブラシのブラシ部分全体に歯磨き粉を載せている映像がありますが、あの量は多すぎです。さらに言うなら、歯磨き粉には清涼感を感じる成分が含まれているため、きちんと磨けていなくても口が爽やかになり、しっかり磨けたような錯覚を起こしてしまいます。
歯磨き粉をつけずに歯ブラシだけで歯磨きをし、その後でマウスウォッシュを使うというやり方も有効だと思います。

歯ブラシには、ブラシの硬さのバリエーションがいろいろありますが、どれがいいのですか?

歯ブラシの硬さは「ふつう」、もしくは「柔らかい」タイプを使ってください。ブラシが硬いタイプを使って磨き続けていると、歯茎を傷めてしまう可能性があります。

歯磨きは1日にどのくらいの頻度でやるのがいいのでしょうか?

基本は起床後と就寝前、それから食後ですね。食後というのは、朝・昼・晩のご飯だけでなく、間食などの後も含まれます。とにかく食べたら磨くことが理想です。そこまで徹底できなくても、なるべく頻繁に磨くようにしていただきたいと思います。

就寝前の歯磨きは特に重要と聞いたことがあります

そうですね。口の中にいる細菌は生育に酸素を必要としない嫌気性菌なので、就寝中に繁殖しやすいんです。ほかにも、寝たきりの方などは口を開くことが少ないので、やはり細菌が繁殖しやすい状況です。
また、高齢者が起床して細菌を含んだ唾液でむせて、それが肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こして重症化するというケースはありがちです。
あとは、お酒を飲んで酔っ払い、歯磨きせずにそのまま寝てしまうようなこともよくあると思いますが、それは絶対に避けてほしいですね。

電動歯ブラシって、よく磨けるのですか?

私は電動歯ブラシをそれほど推奨してはいません。「電動歯ブラシを使っているから大丈夫だろう」と安心してしまうようなことがあるからです。高性能な電動歯ブラシだからといっても、歯に適切に当てていないとちゃんと磨けません。でも、そこに気づかないケースがよく見受けられるんです。やはり、手できちんと磨くのが基本ですね。

子どもの場合、親が仕上げの歯磨きをすることになると思いますが、そのときもフロスや歯間ブラシは使ったほうがいいのでしょうか?

使ったほうがいいですね。親がきちんと歯の手入れをやっていると、成長してからも自分できちんと手入れをするようになります。

歯の健康のためによい食べ物、よくない食べ物などはあるのでしょうか。あるとすれば、どのようなものですか?

よく言われることですが、よい食べ物としては、繊維質のものがいいですね。よく噛むことになるからです。
よくない食べ物としては、歯に粘着する柔らかいもの、クッキーなどですね。クッキーを食べると口の中にカスが結構残ります。歯の健康という観点からはあまりよくないですが、おいしいですし「食べてはいけない」とも言えません。ただ、歯に粘着するタイプのものを食べたら、その後はしっかり歯磨きするようにしましょう。

糖尿病と歯周病の関係というのもよく話題になります。糖尿病の基礎疾患がある人は傾向として歯周病になりやすいのでしょうか?

「歯周病になりやすい」とははっきり言えませんが、「歯周病の治りが悪い」というのはあります。きちんと治療を進めていても、糖尿病を持っている人は、健康な人よりも治りのスピードが遅いのです。ほかにも、歯周病と心疾患や脳血管疾患との関係性も指摘されています。お口の健康を保つのは、全身の健康を保つことに繋がります。

歯磨き、歯間ブラシ、フロスなどできちんと手入れをしていても歯石は溜まると思うのですが、どれくらいの期間で溜まるものでしょうか?

ひとつの目安としては半年です。個人差はありますが、半年に1回は定期検診を受けて、歯石の除去をすることをおすすめします。
検診で「こういう状態なら次は1年後でいいですね」ということもあれば、もう少し短いスパンで「4カ月後に来てください」となることもあります。歯垢は歯周病菌の温床です。歯周病の予防という観点からも、定期的な検診を受けて歯垢・歯石を取り除いていただきたいですね。

歯ブラシだけではなく、フロスや歯間ブラシも使って正しいメンテナンスを

治療を受ける人に痛さや怖さを感じさせたくない!

治療を受ける人に痛さや怖さを感じさせたくない!

定期検診のメリットについて教えてください。

一番のメリットは、トラブルの早期発見、早期治療が可能になるという点でしょう。重症化してから来院されると治療も大変ですし、治るまでに時間もかかります。当然、お金だってかかります。
治療を終えるまでに半年から1年というケースはざらにあります。また治療期間が長くなってくると、患者さんも「この治療はいつになったら終わるのだろう?」と不安になってしまうでしょう。
もちろん、患者さんには治療前に「どういう治療をするのか」「治療にどれくらいの期間が必要なのか」などを説明しますが(インフォームド・コンセント)、それでもどうしても不安は残ります。定期検診をしていて、その結果早期治療で済ませることができれば、患者さんの不安も最小限になるはずです。

治療の際に、先生はどんなことを心がけていらっしゃいますか?

私はできるだけ歯を抜きたくないんです。自分の歯で噛むことができるのに越したことはありませんから、なるべく歯を残す。
もちろん、治療としてそれだけが正解というわけでもありません。なかには、「少しでも悪くなっている歯は抜いたほうがいい」と考える歯科医師もいます。それぞれの方針があるので、どちらが絶対的な正解ということはありませんが、私は抜くのは最終手段だと考えています。
それから、歯科に来院される方というのは、痛みがあるから来るわけですね。
「痛いのを何とかしてほしい」と言う人に、治療とはいえ、痛い思いをさせるのは矛盾してはいませんか? 私自身、自分が患者さんの立場になった場合、歯科での治療を受けるのは苦手なので、不安な気持ちはよくわかりますね。ですから、できるだけ患者さんに痛みや不安を与えないようにすることを心がけています。

治療を受ける人に痛さや怖さを感じさせたくない!

痛みはもちろんですが、歯を削る機械の音にもちょっと恐怖を感じます

確かにそうですね。機械の音が苦手という方もいらっしゃいますので、当院では音が抑えられる「5倍速コントラアングル」という治療器を使っています。これを使うと痛みも少なくなります。
また、どうしても不安が取り除けないという人には、笑気麻酔を使うこともあります。麻酔とはいえ、眠るわけではなく、心身がリラックスした状態になるものです。そういうものを活用しながら、患者さんの負担が少なくなる治療を実践しています。

最後に、このWEBサイトを見ている方にメッセージをお願いします

痛みがあったり詰め物が取れたりしないと、歯医者に行ってはいけないのではないか?
そんなふうに考えている人もいるようです。でも、歯医者は治すだけでなく、予防するところでもあるわけです。特にトラブルがなくても、歯の健康、ひいては全身の健康状態を保つために、歯科医院で定期的にお口のチェックを受けていただきたいと思います。
また、どんな些細なことでも構いませんので、何かありましたらどうぞお気軽にご相談ください。

編集部まとめ

歯を健康に保ちたいという意識はあっても、正しい手入れが実践できていない現状がある。だからこそ、何か違和感があったらすぐに相談してほしいと語る甘利先生。どのような道具を使って手入れをするかではなく、その道具を正しく使うことが重要だというお話には感銘を受けました。また、痛い思いや怖い思いをさせたくないという言葉からは、何よりも患者さんファーストの姿勢が感じられ、同院が地域で長く愛され続けている理由が納得できました。

あまり歯科医院

医院名

あまり歯科医院

診療内容

予防治療 歯科一般 小児歯科 歯周病治療 など

所在地

千葉県白井市掘込1-1-25

アクセス

北総鉄道北総線「白井」駅より徒歩5分

この記事の監修歯科医師