他院で抜歯しないといけないと言われたが抜かないといけない?抜かなくても良い選択肢は?【大阪市北区 Serendipity Dentistry かわさと歯科・矯正歯科】歯周病専門医/指導医
現在、日本人が歯を失う原因の第1位となっている歯周病。罹患している割合は実に成人の8割に上り、今や国民病ともいわれている。全身疾患との密接な関係も判明している中、早期発見・早期治療こそがまさに必須。ところが、歯茎の腫れや痛みなど歯周病が進行してからの受診が未だ後を絶たないのが現実だ。歯周病治療の大切さについて、大阪市北区曽根崎新地にある「かわさと歯科・矯正歯科」の日本歯周病学会認定 歯周病指導医・川里邦夫先生に詳しいお話を伺った。
川里 邦夫
かわさと歯科・矯正歯科 院長
愛媛県出身。徳島大学歯学部卒業後、2007年「Serendipity Dentistry かわさと歯科・矯正歯科」を開院。2015年日本歯周病学会 歯周病専門医取得。2022年日本歯周病学会 指導医取得。さまざまな歯科医療のスタイルがあふれる中、「適切で良心的で誠実な歯科治療」をポリシーに、患者さんが大切にしている価値観や美的感覚に対して、一番合った診療を提供する「Serendipity(セレンディピティ)」歯科医院を目指している。
口内ばかりでなく、歯周病治療は全身の健康維持にも不可欠
今や国民病ともいわれている歯周病ですが、国内で治療が遅れがちな背景には何があるのでしょうか?
歯を磨くことは、もちろんほとんどの方が取り組まれているでしょう。しかし、「磨いている」と「磨けている」は別問題です。
ご自身で行うセルフケアには限界があり、どうしても磨き残しが出てきてしまいます。ですから、お口の健康を維持するためには定期的に通院していただき、プロフェッショナルによる予防措置が欠かせません。ところが、やっかいなことに歯周病はかなり進行しないと自覚症状が出てきません。ここでいう自覚症状とは、歯の痛みや歯茎が腫れたりすることです。歯医者は痛みが出てから治しに行く場所というイメージが、わが国ではまだまだ根強いのも大きいですね。
まず歯周病を治療しないと、ほかの歯科治療も上手くいかないのでしょうか?
歯周病が感染症だということは、一般的にあまり理解されていないかもしれません
歯周病菌は、歯肉と歯の隙間に入り込んで、歯の周囲に白く粘ついた歯垢(プラーク)をつくり出します。ならば、こうした汚れを取り除けば大丈夫なのではないかと考えがちですが、それだけでなく、モノを嚙むときに入れる力や歯ぎしりなども、歯周病を誘発する要因のひとつです。職業やストレスの影響も大きいんですよ。
また、歯周病菌が唾液などを通じて体内に回ることで、さまざまな臓器に悪影響を与えている状況も、多くの方に知っていただきたいですね。
臓器に悪影響を与えているということは、歯周病はもはやお口の中の問題だけではなくなっていると?
歯周病の合併症は、比較的知られている糖尿病や高血圧だけではありません。たとえば、脳梗塞の手術の際に血液を調べたら、歯周病菌が発見されたケースがあります。心筋梗塞でも同様の報告があるなど、歯周病菌が関わっていると思われることは枚挙にいとまがないんです。
最近は心臓の手術を行う前に、まず歯科に行って口腔内をきれいにするのが常識となっていることは、ぜひ覚えておいてほしいですね。当院がすべての歯科治療の基本は「歯周病治療」にあると位置づけているのは、お口に関する健康はもちろん、全身の健康を維持するためにも不可欠だからです。
口内環境の改善を目指す、自分自身の意識の継続が必要
歯周組織が健康であることの大切さがよくわかりました。貴院で受けられる歯周病治療の流れについて教えてください
まず初診時にお口の状態を視診して、痛みや見た目の不具合などがある場合、応急処置を行います。
その後、目では確認できない虫歯や歯の根の状態を見るレントゲン撮影や、歯周組織検査などを行います。ただし、検査は自費ですので保険がききません。患者さんに検査の必要性について説明し、ご納得いただけない場合は応急処置のみで終了となります。
そうした手順を踏んでいるのは、どういう理由からでしょうか?
多くの方は、「歯石を取って歯磨き指導を受ける」ことが、歯周病治療とお考えかもしれません。それも治療のひとつではありますが、患者さんによってお口の状態はもちろん、体の状態は千差万別です。
また、お口や体の健康の捉え方も異なります。画一的な方法では、適切な治療を行うことはできません。そのため、当院では歯や歯肉の状態を事細かに把握するための資料取り、治療に関するカウンセリングに時間をかけています。
なるほど、貴院には日本歯周病学会歯周病指導医ならではのこだわりを感じます。「総合診断治療」を掲げている意義を教えてください。
人間の歯は全部で28本あるんですが、そのうち悪い歯を1本治すだけではお口全体のバランスを整えることはできません。特に重度の歯周病の場合、歯や歯茎に対する精密な治療と同時に、口の中全体の長期的な治療計画、そして何よりも患者さん自身の治そうという意識の継続が求められます。
当院が「総合診断治療」を掲げているのは、歯周病だけでなく噛み合わせや審美面なども含め、根本的な原因や状況の改善による治療品質の向上、ひいては患者さんのQOL向上を意識しているからです。
天然歯に勝るものなし。1本も歯を失いたくないと本気で考えよう!
先生が目指している「セレンディピティ(Serendipity)歯科治療」とは、どういうものでしょうか?
セレンディピティとは、「求められている幸運を、何気ない日常の中にも発見できる能力」を意味します。
これは2000年代にノーベル化学賞を受賞した日本の学者の方たちがよく使っていた言葉なのですが、歯科医療が細分化される中、自分の価値観とピッタリなものに出会うのは容易ではありません。しかし、その出会いを偶然ではなく、必然にできる歯科医院でありたいという思いを込めて院名にも用いています。
理想の歯科治療を求めて、貴院には近隣はもちろん、遠方からも患者さんが訪れているそうですね
当院はJR東西線・北新地駅から徒歩1分ですし、複数の駅が集中する場所なので、立ち寄りやすいと思います。なかには、海外に在住する日本人の方が来院されることもあるんですよ。日本で治療を受けたほうが、費用が安くて済むことも多いですからね。
初診はいつでも受け入れられるように予約時間を調整していますし、診療時間も長く取って時間に余裕を持たせるように工夫しています。
歯周病に関して、私たちが日頃から注意しておくポイントは何でしょうか?
歯周病は、ある日突然起こる病気ではありません。知らず知らずのうちに進行し、症状が現れた頃には完治させるのが難しくなっている、いわば生活習慣病のひとつといえるでしょう。
したがって、まず大切なことは、自分の歯に対する意識をしっかり持ち、口の中で歯周病菌が繁殖できない状況をつくることです。日頃のセルフケアに加え、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けていれば、歯を失うようなことにはならないと思います。
それでは最後に、Medical DOCのサイトを訪れる読者の方にメッセージをお願いします
「8020運動」という言葉はご存じだと思います。80歳になっても20本の歯を残そうという運動ですが、裏を返せば、80歳ですでに8本の歯はなくなってしまっているということです。
どんな高度な治療を施しても、天然の歯に勝るものはありません。人間の歯は全部で28本あると先ほど申し上げましたが、「8020」で満足するのではなく「8028」、つまり80歳になっても1本も歯を失いたくないと、本気で考えることが大切なのではないでしょうか。
当院は、誠実で適正な治療の提供に努めています。あなたにとって必要な治療を始めてみませんか? すべての歯科治療の基本は歯周病治療です。歯のことでお悩みの際は、お気軽に当院にご相談ください。
編集部まとめ
歯周病を治療することは、口腔内の問題だけでなく、全身疾患の予防につながるようです。まさに「健康寿命」は「健口寿命」であり、その関連性は今後さらに解明されていくことでしょう。
医学の進歩はとても早く、さまざまな情報が巷にあふれていますが、肝心なのは知識を蓄えることではなく、日常生活の中で実践することといえるでしょう。歯周病治療は誰にでもできるものではありません。症状が現れないうちに、日本歯周病学会指導医が在籍する歯科医院を一度受診してみてはいかがでしょうか。
医院名
かわさと歯科・矯正歯科
診療内容
歯周病治療 予防治療・定期検診 インプラント など
所在地
大阪府大阪市北区曽根崎新地1-4-20
桜橋IMビル4F
アクセス
JR東西線「北新地」駅11-21出口より徒歩1分
大阪メトロ四つ橋線「西梅田」駅より徒歩2分