毎日のことだから、小さな工夫で生活習慣病の治療に新しい楽しみを【大阪市鶴見区 医療法人川上医院】

医療法人川上医院
医療法人川上医院

近年は高齢化社会というだけでなく、食事や運動習慣の変化もあってか、若年層も含めた生活習慣病が年々増加しているといわれる。生活習慣病は、すぐに自覚症状が現れてくるわけではない。まさに、毎日の習慣の積み重ねで知らず知らずのうちに命に関わる悪影響が広がっていくのが恐ろしいところだ。その治療の実際について、大阪市鶴見区の「医療法人川上医院」の川上先生に話を伺った。

Doctor’s Profile
川上 剛
医療法人川上医院 院長

2001年、埼玉医科大学卒。同年医師国家試験に合格し、翌年関西医科大学第三講座に入局。その後、奈良社会保険病院、洛西ニュータウン病院で勤務の後、2016年9月より医療法人川上医院院長に就任。川上医院は現院長の高祖父が緒方洪庵の私塾で学んだ後に明治6年同地に開業しており、5代目と長く続く「かかりつけ医」として地域に貢献している。

わかっていても改善するのが難しいのが生活習慣病

生活習慣病といってもいろいろありますが、どのくらいの患者がいるのでしょうか?

生活習慣病は高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病などの総称です。血管を傷めてしまう高血圧を例にとると、国内の患者数は1,010万人を超えています(厚生労働省2016年調べ)。性別では男性が約445万人、女性が約567万人ですから、統計上は女性が多い印象ですね。

その数は今も増え続けているんでしょうか?

年々増えていますね。高齢化社会ということもありますが、0才から75才以上まですべてのカテゴリーで年間医療費なども増えていますし、死亡数も高血圧性疾患によるものだけで見ても、同じ調査で年間に7,000人近く亡くなっています。

先生の個人的印象ではいかがですか?

当院にお越しになる患者さんを見ていると、男性は中性脂肪、女性はコレステロールの値がそれぞれ高いなと感じますね。
それぞれお話を聞いていると、男性は油ものや炭水化物を女性よりたくさん摂っているように感じますし、女性は男性よりお菓子などの間食が多くて、それらの食事傾向の違いが出ているのかなと思います。

生活習慣病の兆候が見つかるのは、最初はやはり健康診断かと思います。血糖値などいろんな数値がありますが、それらは絶対的に生活習慣病を示すものと捉えていいのでしょうか?

生活習慣病を示す指針であることは間違いないでしょう。ただ、血糖値でいうならば、気になるのは「なぜ高くなっているのか」ですね。たとえばかなりの肥満で運動不足ということであれば、基準値より高いとしても「まずは食事と運動の管理をがんばりましょうね」となりますし、同じ値でも投薬開始した方がいいという場合もあります。

原因を追及するのも大事だと。

理論的にはこう治療したらいい、というのはありますが、患者さんによって現実的にその治療法を継続できるかどうかは別ですよね。
「私はこの食事を絶対にやめられない!」「運動なんて無理!」と断言される方はいますから(笑)。

わかっていても改善するのが難しいのが生活習慣病

そんな方は多いんですか?

案外多いですよ。長年積み重ねてきた生活習慣ですからね。なかなか改善は難しいようです。それでしたら、「ショッピングモールでじっくり歩いてウインドショッピングを楽しんで買い物をされては」とか、近場なら「自動車じゃなくて自転車で行ってみては」など、具体的にできる範囲で体を動かす工夫をしてもらいます。

みんな「好きな食事」はなかなかやめられない

食事制限についてはいかがですか。

よく食材の一覧や、いろんな栄養素の数値を出したりしますけど、毎日の献立でいちいちそんなものを見て考えていられない方は多いですよ。そんなときは「あなたの祖父母がどんな食事をしていたか、想像してみてください」と言います。

みんな「好きな食事」はなかなかやめられない

祖先が食べていた食事ということですか。

世界中どこでも、ヨーロッパの人、アジアの人、そして日本の人と、それぞれの特徴ある風土の中で必要な食事をしてきた歴史があります。いずれも積み重ねによって洗練され、「過剰なもの」がないですから、自然と体にいい食事内容になるんですよね。

日本人だったら和食が一番いいと。

そうだと思いますよ。飲み物はお茶か水。野菜は生で食べるのではなくお味噌汁に入れて煮れば、たくさん摂れます。そのように説明すると、ご納得いただけることが多いですね。

確かに、自分の祖父母や祖先の食べていたものと思えばイメージしやすいです。

データで伝えるよりも、具体的に何をすればいいかイメージしやすいことが大切なのかなと思っています。ですからほかにも、「あなたはこういう食事をするといいよ」とビジュアルでわかる料理本を貸し出したりもします。

そうすると、自分の好みとは合わなくてつらいといったことはありませんか。

いや、たとえば「お肉は一切食べるな」といったことではないんですよ。すごく好きだけど体に悪そうな食事であっても、たまに食べるのはかまいません。
「生きるための食事」と「楽しみのための食事」を分けて考えることが重要です。普段は生きるための食事を中心として、たまに楽しみの食事もすればいいわけです。

みんな「好きな食事」はなかなかやめられない

そこは臨機応変ということですね。

食べないでくださいと言われたからといって、もう二度と食べない、となる人ばかりじゃないですよね。生活習慣病はそう単純な話じゃないです。

若年層にも増えているから、根本からの改善を

生活習慣病は若いうちになる危険性はありますか?

昔は糖尿病も、ある程度の年齢になってからのイメージがありました。しかし最近は毎日ペットボトルでジュースを飲んだからか、若い年齢で糖尿病になってしまったり、毎日ファストフードで脂質異常症になってしまっている人などもいます。私が研修医だった20年前と比べて考えても、確実に増えている印象です。

若年層にも増えているから、根本からの改善を

生活習慣病はそもそも治るんでしょうか?

元来の体質によるものもありますし、加齢による身体器官の劣化は必ず起こりますので、投薬をずっと続けていただきたい場合もあります。
しかし、生活習慣の改善によって「もう通院しなくて大丈夫ですよ」となる場合ももちろんあります。

実際に川上医院で生活習慣病の治療を進める上で、注意されていることは。

検査をしていろいろ指導をさせてもらいますけど、数値によっては投薬するなどベーシックな部分はほかと変わりません。ただ「この薬はなんとなく怖い」「友人からしなくていいと聞いた」「テレビで違うことを言っていた」など、漠然と治療を嫌がる方は案外いらっしゃいます。そこはとことん話を聞いたり、合併症のリスクを説明したり、あの手この手で伝える努力をしています。

若年層にも増えているから、根本からの改善を

川上医院では漢方も取り入れていると聞きます。

生活習慣病でいえば、たとえばストレスからくる高血圧などがありますので、それを緩和する漢方薬を出したりします。肥満の方には老廃物の排泄促進と体内のバランス調整に効く漢方薬を出すなどしています。

生活習慣病にまつわる「不眠」と「骨粗鬆症」の問題

食事や運動以外に、生活習慣病防止のために改善するとよいものはありますか?

不眠や睡眠不足もそうですね。食事や運動の問題と切り離されているわけではなく、肥満で気道が圧迫され、酸素を求めて高血圧になるということもありえます。また不眠の方は糖尿病になるリスクが高いというデータもあるようです。

生活習慣病にまつわる「不眠」と「骨粗鬆症」の問題

ほかにはいかがでしょうか。

一見、直接の関係がないように思えるかもしれませんが、骨質の低下、いわゆる骨粗鬆症も重要な指標だと思います。高血圧、脂質異常症、糖尿病による酸化ストレスの増大が、骨に含まれるコラーゲンの質を悪くするんです。骨を鉄筋コンクリートにたとえるとしたら、コラーゲンは鉄筋部分に相当します。これが低品質だと全体がもろくなるというわけです。

一般に、生活習慣病の中に骨粗鬆症は挙げられていませんね。

その通りです。また一般的に骨粗鬆症はかなり高齢の女性がかかるというイメージが強いようですが、実際には女性なら50歳くらいから、男性では60歳くらいから骨粗鬆症が増加してくると言われております。なので、一般的に言われている生活習慣病だけでは無く、骨の健康も意識していかなければならないと考えております。

それでは生活習慣病に加えて骨粗鬆症もきちんと検査できるのでしょうか。

当院では、骨密度測定装置を導入しています。多くの開業医では骨密度検査というと設置スペースの問題もあって、腕だけを検査することが多いんです。当院の骨密度測定装置は、実際骨粗鬆症治療で骨折すると寝たきりなどの原因になりうる部位の腰椎(腰骨)と足の付け根の大腿骨を検査することが出来ます。実際腕の骨粗鬆症の検査で異常無かった方が後日相談に来られて大腿骨の骨粗鬆症の検査を行ったところ骨粗鬆症を認めた方もいらっしゃいました。

最後に読者にメッセージをお願いします。

生活習慣の改善は苦しいままでは続きません。大上段に「変えるぞ」というより、自分なりの楽しみをきちんと残しつつ、毎日の小さな工夫で改善そのものにも楽しみを見いだすことができれば一番いいですよね。そんなことを一緒に考えていければと思います。

編集部まとめ

「治してね、改善してねと言ったからといって、みんなができるとは限らない」と、にこやかに笑いながら、それなら実際にどうすれば生活習慣病の改善ができるのかを語る川上先生。その話の内容から、多くの患者さんに信頼されながら治療を進めていらっしゃる姿が容易に想像できました。すぐに改善・治療できるとは限らない生活習慣病ですが、親密にコミュニケーションをとりながら、個人の資質に合った治療のできる医院を選びたいものですね。

医院情報

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所在地 〒538-0034
大阪府大阪市鶴見区徳庵1-1-64
アクセス JR片町線・学研都市線 徳庵駅 徒歩約10分
診療内容 内科 消化器科 漢方治療