矯正歯科の手段は数々あり、その治療法も多岐にわたる。そのため、どの歯科医院を選んだらいいのか判断に悩むこともあるだろう。「荻窪おぐに
矯正歯科」は
矯正歯科専門の医院として、これまで数多くの研究と実績を積み上げてきた。
口の中を診るだけはなく、骨格、そして全身の状態までを時間をかけた検査データや問診から読み取り、患者さんのライフスタイルや言葉に出さない希望なども洞察しながら、一人ひとりに最適な診療を実践している。同院の小國院長に、
矯正歯科が目指すべき矯正の本質を語っていただいた。
Doctor’s Profile
小國 武士
荻窪おぐに
矯正歯科 院長
日本歯科大学歯学部を卒業。大学の医局にて技術習得に努め、矯正専門医の医院で実績を積む。2014年、荻窪おぐに矯正歯科を開業。日本矯正歯科学会、甲北信越矯正歯科学会、日本矯正歯科協会、バイオプログレッシブ・スタディクラブの会員である。院長は矯正歯科専門医だが、非常勤の歯科医による予防治療、小児歯科も充実。
矯正だけに集中する専門医。虫歯治療などは同院の専門医師と連携
一般的に、矯正歯科医院を訪れる人は、歯並びが悪いことを悩み、きれいにしてほしいという要望が多いのでしょうか。
そうですね。デコボコにはえている歯をきれいに並べたいという審美的な理由が一番でしょう。お子さんの場合は、主にお母様が「こんな歯並びではかわいそうだから」とお子さんを連れていらっしゃいます。
しかし、歯並びだけを治せばいいのではありません。歯は顎や頭蓋骨にもつながっています。かみ合わせが悪いと、かむたびに不具合が起き、さまざまな連鎖が起きて、頭痛や食欲不振の遠因になることもあります。ですから、
「歯並びをきれいにしたい」という主訴をかなえると同時に、かみ合わせをはじめとして、体全体を考えてよりよい歯列矯正を実現するのが当院の矯正の理念です。
小國先生は矯正歯科の専門医ですが、虫歯の治療などはしないのですか?
はい。私自身は、矯正だけに専念しています。ただ、同じ医院に予防治療や虫歯治療の歯科医がいますので、矯正をする前に見つかった虫歯、矯正をしている中で発見した虫歯は、当院でも治療することができます。小児歯科の担当医もいますので、お子さんの虫歯の治療も安心してお受けいただけます。
先生はなぜ矯正専門の歯科医師になったのですか?
虫歯は、できてしまったものを修復する治療です。よく「虫歯を治す」といいますが、一度できてしまった虫歯はもとどおりに治ることはありません。あくまで修復です。しかし、
矯正歯科は新しい歯列を作ることになります。
私は「作り出す」ことへの興味が深いのかもしれませんね。もちろん、患者さんの歯列を作るのですから、慎重に対応し、
長期にわたって満足のいく、「一生これで生きていける」というような矯正を目指しています。
患者さんは、どのような方が多いのですか?
当院は中央線荻窪駅から1分、ロータリーの一角にありますので、東京方面に通勤している方が通いやすいという地理的な特徴があります。ですから、20代、30代の若い会社員の方などが多いですね。また、永久歯が生えてくる頃のお子さんを持つ親御さんが、お子さんを連れて来るケースも多々あります。
たしかに、お子さんが来てもくつろげるようなキッズスペースがあり、キャラクターのフィギュアなども飾られてアットホームな雰囲気がありますね。
小さなお子さんでも、歯医者に行くことを構えないように、という配慮ですが、吹き抜けのある家庭のような空間は、大人の患者さんにとってもくつろげて、緊張がほぐれるという声を聞きます。
矯正に適した年齢はあるのでしょうか? 子どものうちにやるのがベストですか?
矯正に最適な年齢というのはありません。「矯正したい」という気持ちを強く持っているときこそが、最適な来院時期です。中年以降になっても、もちろん矯正はできます。お子さんもまたしかり、です。
ただ、お子さんについては、親御さんの思いだけで矯正を、となると、お子さんが納得していないために、うまく進んでいかないケースもあります。たとえ小さなお子さんだとしても、親御さんは来院する前に、なぜ矯正が必要なのか、続けていけるかなど、お子さんにわかりやすく伝え、話し合ってから来てくださるといいですね。
診断に時間をかけ、それぞれの「個別のベスト」を導き出す
おぐに矯正歯科では、特に初診での診断や検査に時間をかけると聞きました。
初診相談は30分~60分の時間をとります。問診票の記入後、患者さんのご希望や考えをよく聞くところから始まります。その後、お口の中やお顔の写真を撮影させていただいて、写真や資料を見ながら、現在の状態や治療の必要性の有無という大前提から考え、治療方針やその場合の費用などについて説明をします。また、矯正に関する診断とは別に、予防治療としてカリエスリスク検査も任意で行っています。
カリエスリスク検査とは何でしょうか?
カリエスとは虫歯のことで、虫歯のリスクを検査します。虫歯には、なりにくい人となりやすい人がいます。虫歯の原因は、虫歯菌の量、歯を守る力、食生活習慣の3つがあるため、この3つのどこに弱点があるかを調べるのです。
まず、普段の生活状況やブラッシング状況などを伺い、口腔内診査と写真撮影をします。その後、専用のガムをかんでいただき、たまってくる唾液の質や量、唾液中に含まれる虫歯の菌を調べます。歯垢も採取し、中の虫歯の菌の数も調べます。
検査には1週間ほどかかりますが、これにより、患者さん一人ひとりに合った対策を立てて、矯正中の虫歯の対策をしっかりと行っていきます。もちろん、ブラッシングの指導も、矯正前も矯正期間中もしっかりやりますよ。
「矯正専門の歯科医院なので虫歯の治療はしない」と言っても、虫歯対策は非常にきめ細かく行っているのですね。
よりよい矯正をするためには、虫歯の状態を知ることも非常に大切なことです。ほかにはかみ合わせをはじめ生活全般を確認し、一人ひとりの患者さんの状態をしっかり把握した上で「それぞれの個別のベスト」を探り、治療を実践していくのが当院の方針です。
「ずっとこの歯で生きていける」後悔のない矯正を提案
歯列矯正では、「マウスピースによる矯正」「抜歯をしないで行うワイヤーによる矯正」「表面から見えない裏側のワイヤーの矯正」など、最近ではさまざまな方法があります。
当院では、どれも手掛けています。しかし「抜歯なしの矯正」は、適している人と適していない人がいます。
もともと顎が細く、歯列の土台が小さいのに、抜歯をしないで重なり合う歯をきれいに整えるとなると、どうしても歯を前に出すことになります。そうなると、歯列の凸凹はきれいに整っても、出っ歯の印象になってしまいます。マウスピースによる矯正は、状態が軽度の方や中等度の方におすすめしています。
抜歯がいやだから、「抜かない矯正を」と考える患者さんは多いと思います。
もちろん、当院も不要な抜歯はしません。しかし、診断をした上で、抜歯をしない矯正より抜歯をして歯を前に出さずに歯列を整えたほうがいい、と診断がつけば、患者さんにそうお伝えします。
どうしても「抜かない矯正」にこだわり、当院でない医院で矯正を行う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当院を訪れる患者さんの中には、「以前に矯正をした」という方がかなり含まれているのも事実です。抜かずに矯正をしたけれど、やはり歯並びに不満があるということで、「再度の矯正をしたい」と訴える方は多いのです。
しかし、流布されている歯科情報に流されて、「抜かない矯正がいい」「マウスピースなら目立たないからこれでやりたい」などと決めつけないでいただきたいと思っています。そのためにも、十全な診断を行い、それぞれの個別のベストを理解しやすいようにていねいにご提案し、患者さんが納得して前向きに取り組んでくださるよう努力しています。
「裏側のワイヤー矯正」についてはどうお考えですか?
現在この分野は非常に進化しています。かつては「見た目優先」とされていましたが、今は成果の点でもかなり向上しています。歯の裏側に器具を装着するので舌ざわりなどの違和感はありますが、患者さんが望む場合は、相談の上でよい選択ができるよう、前向きに進めていくことが増えてきました。
やはりワイヤーが外から見えることを気にする患者さんは多いのでしょうか?
ただ、アメリカなどでは気にしない人が多いと感じませんか? アメリカでは、
歯列矯正は非常にポピュラーです。
「みんながやっている」のであれば、ワイヤーが見えていてもあまり気にしない、ということなのです。お子さんなどは「矯正をしていると目立つ」と気にすることもありますが、ほかに矯正をしているお子さんがいて、その子が明るくふるまっていれば抵抗がない、ということにもなります。
ワイヤーの矯正は「痛みがある」とよく言われます。
歯列を変えるためにワイヤーを入れるのですから、鈍痛を感じる方は一定数います。当院ではなるべく痛くない素材を選択し、お一人おひとりに合わせた調整をしています。痛みを訴える方には、薬剤を処方することもありますが、やがて慣れてきて、ワイヤーをしていることが生活の一部になる方がほとんどです。
「患者さんに対する洞察力」を養うため、日々自己研鑽を続ける
荻窪おぐに矯正歯科のホームページには、患者さんの「マイページ」がありますね。これにはどのような目的があるのでしょうか?
矯正をする場合には、最初の診断のときはもちろんのこと、途中の経過でも何度もお口の中の写真を撮影します。それらを患者さんがいつでも見られるよう、マイページに写真をアップしています。だんだん歯並びが変化していく様子を可視化し、患者さんの励みにしていただこうという狙いです。メールアドレスとパスワードの設定をしていただいていますので、ほかの方に見られる心配はありません。
最後に、矯正歯科のドクターに必要な資質は何だとお考えですか?
技術や経験はもちろんのこと、人間に対する洞察力があることが大切だと考えています。患者さんは、ご自身の希望や考え方を、すべて伝えるわけではありません。特に、初診の問診では、お互いが初対面ですから、患者さんがうまく真意を伝えられないこともままあります。そのような中で「個別のベスト」を定めていくのですから、患者さんのお話の言葉には含まれない思いをくみ取り、患者さんの納得につないでいく力が必要なのです。そのためには、医師自身も人間的な研鑽が不可欠です。診療をし、患者さんと接する毎日の中で、自分を磨き、高めていくことが重要ですね。
2006年に歯科大学を卒業して以来、深い探求心で、技術や経験を重ねてきた小國先生。しかし、そのような中で一番大切なのは「人間に対する洞察力」と答えていたのが印象的でした。矯正歯科とは、患者さんの悩みに寄り添い、解決に導き、歯の状態のみならず、生活そのものが楽しくなるような治療をすることだと考えているのです。
「よく、『クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)』の向上が大切などと言いますが、医師が専門分野で治療をして生活の質を向上させることなど、ごくあたりまえのこと。それを目指さず何をするのだ、と思いますよ」と、小國先生。その言葉の中に、医師としての誇りとともに、患者さんに対する大きな愛情や責任感を感じました。
医院情報
所在地 |
〒167-0043
東京都杉並区上荻1-8-10
みほしのビル8F
|
アクセス |
JR中央本線・JR総武線・東京メトロ東西線 荻窪駅 北口 徒歩1分 |
診療内容 |
成人矯正 小児矯正 予防治療 ホワイトニング |