歯科医師が解説!インプラントの寿命を長持ちさせる秘訣【横浜市都筑区 センター北駅前歯科】
インプラントは『第二の永久歯』とも呼ばれていますが、一度治療をしたら一生インプラントを使えるものなのでしょうか。実際には、治療の質や術後のメインテナンスによって寿命を短くしてしまうこともあるといいます。
そこで今回は、インプラントに詳しい歯科医師【医療法人社団陽太会 センター北駅前歯科 高井 雄太 先生】に次のテーマについて、わかりやすくご説明いただきました。
1.インプラントの寿命の基礎知識
2.長持ちするインプラント治療について
医療法人社団陽太会 センター北駅前歯科 院長
日本歯科大学を卒業後、後楽園デンタルオフィスと赤坂デンタルクリニックの2つのクリニックで勤務し、治療の実践から医学的根拠に基づいた医療技術や知見を習得。
インプラントをはじめ「痛みの少ない治療」「できる限り削らない歯科治療」「審美性の高い治療」を追求した歯科治療を提供したいという思いで、センター北駅前歯科を開院。歯科医院に対して恐怖心や、抵抗感がある患者様にも、安心して治療を受けていただけるような環境づくりを常に心がけながら日々医療技術を磨いている。
インプラントの寿命はどのくらい?
大きな差が出る?!インプラントの寿命を短くする3つの原因
1.歯周病
インプラント治療は骨とインプラントを結合する治療ですが、天然の歯と比べると多少粘膜との結合が弱く、歯周病などに感染しやすいというデメリットがあります。この点から、インプラントを長持ちさせる方法の1つには、丁寧な口内のセルフケアをして歯周病を防ぐことが挙げられるのです。
基本のポイントは、「歯ブラシに力を入れすぎず、歯茎をマッサージするように磨く」ということ。その後、ブラッシングで除去しきれなかった食べ残しを歯間ブラシや糸ようじで丁寧に除去します。仕上げには、マウスウォッシュで口内環境を清潔に保つなど、毎日の丁寧なケアを続ける必要があるでしょう。
2.内臓疾患
高血圧や心疾患、糖尿病など内臓に疾患がある場合、治療に必要な局所麻酔を行う際に合併症を引き起こしたり、手術の成功率が下がってしまうことが考えられます。そのため、インプラント治療を受ける前には必ず、担当医師に今の健康状態を伝え、治療ができる状態か相談することが重要です。
3.歯のくいしばり
インプラントの手術が成功しても、寝ているときや日常生活において歯を食いしばる癖がある場合、骨の結合が完了してもマウスピースをつけて生活する必要があります。
またこうしたトラブルによって、治療を長引かせてしまうことにもなるのです。さらに最悪の場合は、インプラント再手術が必要になります。
そのため、医師にマウスピースの装着を推奨された場合は違和感があっても装着することが重要なのです。
【高井先生の実体験】インプラントが抜けてしまった事例について
ここまで、インプラントの耐久性を高める方法についてご紹介しましたが、実例でもインプラントが抜けてしまうことはあるのでしょうか。高井先生に、これまでの経験でインプラントが抜けてしまった事例について、お話を伺いしました。
その患者様は、歯ぎしりや食いしばりがあるにも関わらず、手術後にマウスピースを装着するなど、インプラント埋入後に正しいメインテナンスケアを担当医師から指示をもらえなかったそうです。
このことから、インプラントを顎に埋める手術が成功したからといって安心するのではない、ということに改めて気づきました。そして治療完了までダウンタイムの最適な過ごし方のアドバイスを医師が適切に伝えられるか、またそのアドバイスを患者様が守れるか、ということがインプラント治療の成功において重要なことだと実感しました。
このように、メインテナンスケアの必要性は実例からもご理解いただけたのではないでしょうか。では次に、よりインプラントを長持ちさせるためにはどのような治療とセルフケアが必要になるのかをご紹介します。
治療におけるインプラントを長持ちさせる4つの重要ポイント
インプラントを長持ちさせるためには、医師の技量や経験だけではなく、以下4つのポイントが重要です。
1.インプラントの種類
インプラントを取り扱うメーカーは多数あります。その中でも、品質や様々なケースに対応ができる、種類の豊富な信頼できるメーカーのインプラントを選ぶことが重要です。
2.専用の医療機器
インプラントは医師の技術だけではなく、正しい位置にインプラントを埋める診断力が必要とされます。そのためにも歯科用CTやサージカルガイドなどの医療機器のデータによって、正確なインプラント埋入位置を把握することが大切となるのです。
3. 最適な咬み合わせ
歯の咬み合わせが悪い場合には、当然、改善が必要です。また、歯ぎしりや食いしばりにより咬み合わせがずれてしまっている場合は、マウスピースを装着したり、咬み合わせを戻すような治療が必要とされます。
4.必要なアフターケアの把握
インプラントを長く使用するために術後のメインテナンスは欠かせません。特にインプラント歯周炎に注意が必要です。冒頭に述べたように「多少粘膜との結合が弱く、歯周病などに感染しやすい」との特性があるため、必要な術後のケアを正しく把握し、実行する必要があります。
自分でもできるインプラントの寿命を長くする秘訣とは?
1.歯周病予防・セルフケア
インプラント治療において、歯周病は大敵です。基本的には、歯周病を治療してからインプラント治療を実施しますが、日頃のブラッシングを手抜きしてしまうと歯周病が再発する可能性があります。歯ブラシによるブラッシングだけでなく、歯間ブラシやマウスウォッシュを使った丁寧な日々のケアが重要です。
2.健康維持
インプラント治療は顎の骨にインプラントを埋め込み、骨とインプラントを結合させて歯の土台を作ります。そのため、骨粗しょう症や糖尿病予防にならないよう規則正しい生活を心がけることが大切です。
また、喫煙により、骨との結合期間が長引く恐れが考えられます。インプラント治療中は喫煙しないように心がけましょう。
3.医師の指示を遵守①【歯のクリーニング】
1つ目で上げたセルフケアだけでは、磨き残しなど健康な口内環境の維持が不十分の場合があります。医師の指示に従い、必要な時期に通院し、歯周病が発生しないよう歯のクリーニングで歯石の除去をしてもらうことが重要です。
4. 医師の指示を遵守②【歯の定期検査】
インプラント手術後は、インプラントと骨が結合するまで、食いしばりや歯ぎしりによりインプラントの位置がずれてしまうこともあります。また予定よりも結合に時間がかかるなど、治療前に立てた治療計画と変わる可能性も考えられるでしょう。そのため状況により常に正しい治療を行えるよう、医師に定められたタイミングで定期検査を行い、適正なダウンタイムを送ることが重要です。
では実際のところ、定期検査ではどのようなことを確認するのか、高井先生のお話を伺いしました。
また専用の医療器具を使った歯のクリーニング、規則正しい生活が送れているかの確認、正しいブラッシングの指導など様々な角度から患者様に適したケアをご提供しています。そのためにも、新しい医療器具があれば積極的に導入し、メインテナンスの質を上げるよう設備を整えることにも注力は欠かせません。
ここまでの内容で、インプラントを長持ちさせるには、患者によるセルフケアと歯科医院での定期メインテナンスのどちらも欠かせない重要なことを、ご理解いただけたのではないでしょうか。
まとめ|適切な治療とケアでインプラントの寿命は延ばせる!
インプラントは一度治療が完了したら、永久に持つというものではありません。ただし、正しいケアとメンテンスを医師と患者が二人三脚で続けることにより、第二の永久歯として長く快適に使うことができることでしょう。