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治療ではなく「予防」に特化。子どもが自ら喜んで通いたくなる歯科医院【埼玉県所沢市 eデンタル所沢】

 更新日:2023/03/31

治療ではなく「予防」に特化。子どもが自ら喜んで通いたくなる歯科医院
治療ではなく「予防」に特化。子どもが自ら喜んで通いたくなる歯科医院

2021年5月、所沢駅直結のビルにオープンした〈eデンタル所沢〉。一見、小児歯科に力を入れている歯科クリニック風だが、ここで行っている「キッズデンタルスイッチ」というプログラムは、実は予防に特化したもの。まるで塾に通うような感覚で、子どもがハミガキ習慣などを楽しく身に付けることができるという。きれいな歯並びと、むし歯のないお口は生涯の宝物。このプログラムについて大谷院長に話を伺った。

Doctor’s Profile
大谷健人(おおたに けんと)
eデンタル所沢院長

2012年鹿児島大学歯学部卒業後、2013年小室歯科近鉄あべのハルカス診療所勤務を経て、2018年えんどう歯科医院(入間市)に勤務。遠藤学理事長のもとで、歯科医としての貴重な経験を積む。2012年eデンタル所沢開業に際し、院長に就任。その意欲的な姿勢が、親子の患者さんたちの信頼を得ている。日本口腔インプラント学会所属。

コロナ禍での開業でしたが、経過はいかがでしょうか?

コロナ禍での開業ということもあり、感染対策については万全の態勢を整えてまいりました。院内は手術用のエアクリーナーが3台入っており、飛沫感染対策。カードキャッシュレス、遊具も非接触となっており、安心して通っていただけるよう準備してまいりました。
現在、コロナの感染者が減ってきたら、問い合わせが急激に増えています。
今は、お子さんのお口のケアについて前向きに対処したいという意識の高い親御さんが増えてきています。何より予防が大切という当院のコンセプトに賛同し、何か対策を講じたいとお考えになるなら、ぜひ通っていただきたいと思います。 

子どものお口を守る、テーマパークのような予防歯科医院

むし歯の治療についてはどうされていますか?

当院は、予防のブースと治療のブースを完全に分けており、予防スペースでは一切治療を行っておりません。
まず予防は楽しい場所と思ってもらえるように、内装にもこだわり、治療に関わる音や空間を完全に遮断してます。
それで、もしお子さんにむし歯があって治療が必要な場合、それをいつどのように行うかは担当の歯科医の判断によります。予防塾のプログラムの後に治療ということもあります。今後のことを考えると、ハミガキが自分でちゃんとできるようになる習慣化を優先したほうがよいというケースもあるからです。

むし歯予防には、いろいろな要素があるようですね?

むし歯になる原因は「唾液」「食生活」「食いしばり」など様々あり、むし歯は感染症なので、生活する中でどこかで感染してしまいます。その中の一つとして幼児期に家族(親御さん)から感染するケースです。お子さんが誕生したら、菌が入ってこない環境を作るためにも、まずは親御さんのお口の健康を維持することが不可欠です。それ以外では、予防においては唾液が非常に重要なポイントになります。唾液には酸性のむし歯菌を弱める働きがあるため、唾液を多く分泌することは、ハミガキするのと同じくらいむし歯予防に効果を発揮します。

子どものお口を守る、テーマパークのような予防歯科医院

唾液を多く分泌させるにはどうすればよいでしょうか?

食べ物をよく噛むことですね。そこで、このプログラムではおやつに薬効のあるキシリトール配合のグミを処方して支給するなど、唾液問題にはとくに配慮しています。
また、柔らかいものを食べる傾向にある最近の家庭のために、栄養士による食生活の指導も行います。同じ肉料理でも、ハンバーグよりも安いステーキ肉をシンプルな味付けで料理すれば、お子さんも喜んで食べながら噛むクセがつく、というような唾液増量の料理アイデアもお伝えしています。
もちろん、むし歯があったら治療しなければなりません。ですが、単に治療をすすめるのではなく、このプログラムでは歯科医がお子さんのお口の中の状態に加え、家庭での普段の食習慣などを把握し、総合的に判断して一人ひとりに合わせたオーダーメイドの指導することで、プログラムによる効果をさらに促していきます。

親御さんも自分のお口の健康を意識し、子どもと一緒にデンタルIQアップ

親御さんも自分のお口の健康を意識し、子どもと一緒にデンタルIQアップ

子どもの頃から予防を習慣付けるのはけっこう大変なのではないでしょうか?

そうですね。大人もそうですが、治療で痛い思いをすると、子どもは歯医者さん嫌いになってしまいます。その上、自宅でのセルフケアも大人のように簡単にはいきません。むし歯治療の際に、上手にハミガキができないことを悩んでいると相談される親御さんはけっこういらっしゃいます。
そこで、「キッズデンタルスイッチ」では、テーマパークにいるような楽しい雰囲気の院内で、むし歯の予防がレンジャーと悪役といったストーリー仕立てになっているなど、子どものモチベーションをあげる方法を駆使して歯科予防プログラムを提供しています。
当院にはデンタルケアを楽しみながら学び、習得できるようなシステムと環境づくり、指導スタッフが揃っています。下は0歳から上は小学6年生まで、学習塾やスポーツスクールに通うような感覚で、楽しみながらこの仕組みに馴染んでもらいます。すると、お子さんにはハミガキの習慣が、親御さんには食生活の改善などトータルでの予防知識が、ともに身に付いていきます。お子さんが「また歯医者さんに行きたい!」という、ヤル気スイッチを押す場所ともいえますね。

このプログラムは具体的にどのような流れで行われるのでしょうか?

初診では、親御さんとともにお子さんに問診を行った後、予防中心の当院のシステムの説明をします。その上で口腔内写真の撮影、お口の中の状態やむし歯の有無、汚れなどを診査します。その診査の結果をご説明するところまでが約1時間の初診です。
2回目では、「キャンブラ」という全米の大学で採用されているQ&Aスタイルのリスク評価を行い、事前に用意していただいた3日間の食事内容をチェックします。また、唾液からお口の中の細菌検査を行います。2回目のときには自分の通院用バッグなども支給されるので、子どもたちはウキウキになっています。
3回目にはリスク評価の結果や予防プランを説明し、お子さんはハミガキの練習も始めます。そして、4回目以降にお子さんのそれぞれの治療計画に基づき、むし歯がなければフッ素やシーラントだけでOK。むし歯があれば治療セクションで治療やシーラントを行った後にフッ素処置。以降は、それぞれに合った予防スタイルで定期メンテナンスを繰り返していくといったプロセスです。

やはり親御さんの責任が重いのはわかりますが、どうやって親御さんを説得するのですか?

親御さんへの説明には、口頭だけではなく、なるべく視覚に訴える方法を採用しています。細菌検査の結果はモニター上で撮影した画像を、またハミガキの方法などお口の健康に関する知識についてはYouTubeやリーフレットなどを、どちらも見せながら説得します。
また、親御さんやお子さんと接するプログラムスタッフは主に当院の歯科衛生士ですが、彼女らは難しい言葉を使わず、一人ひとりに時間をかけてきちんと説明するよう訓練を重ねています。
このプログラムでは、子どもの予防の徹底と、親御さんの意識のスイッチ=デンタルIQを高めることも目指しています。たとえば、親御さんへの指導で重要視しているのは、「子どもにウソをつかないこと」です。
治療の前に「今日は痛いことしないから」となだめて来院させても、実際に痛い思いをしてしまうと、その後お子さんは歯科医院が嫌いになったり、歯科医を信用してくれなくなったりします。むしろ「痛いかもしれないけど、がんばろうね」といった応援の姿勢で寄り添うことが大切で、私たちもそれを実践しています。

このプログラムの費用はどのくらいでしょうか?

最初の細菌検査は自費(小学生以下¥3,300、小学生~¥6,600)ですが、それ以外の「キッズデンタルスイッチ」のプログラムは保険適用なので、基本的に大して費用はかかりません。費用面では、お稽古事などよりずっと経済的です。だからこそ、時間だけ費やして通えば、お口の健康を手に入れやすい子ども時代にプログラムを実行する価値があると思います。

親御さんも自分のお口の健康を意識し、子どもと一緒にデンタルIQアップ

きれいな歯並びとむし歯のないお口は、親御さんからの最高のプレゼント

きれいな歯並びとむし歯のないお口は、親御さんからの最高のプレゼント

キッズデンタルスイッチをオープンした基本の考え方はなんでしょうか?

「本気の予防、始めませんか?」「むし歯にならないために来る歯科医院」は、本院(えんどう歯科院)の遠藤院長によるキャッチフレーズですが、それが「キッズデンタルスイッチ」のコンセプトをよく表しています。今後の歯科医療は、治療よりも予防の時代です。
大人になったときのお口の健康を保つために、子どものときから予防を始めることが大切で、それが歯科医療においてより良い方法なのです。きれいな歯並びとむし歯のないお口というのは一生の宝物であり、親御さんが子どもに与えられる最高のプレゼントであるといえます。
ただし、治療と異なり、予防は子どもが自分から率先してやろうと思うことではないでしょうし、それを親御さんがやるように仕向けてくれたからといって、大人になって必ずしも親御さんに感謝するかどうかはわかりませんよね(笑)。しかし、大人になって歯科医院に通わなくても済むような健やかな口腔状態とハミガキ習慣が自分に備わっていたら、それは親御さんに感謝すべき宝物なんだと知っていてほしいですね。
そのためにも、治療とは別に、子どものための予防専門の施設が必要と思って準備しているうちに、たまたま「キッズデンタルスイッチ」というプログラムの1号店として開業に至ったわけです。

きれいな歯並びとむし歯のないお口は、親御さんからの最高のプレゼント

先生としては、このプログラムの最大のメリットはどこにあるとお考えですか?

親御さんが努力してもなかなか身に付けてもらえないハミガキ習慣などを、ここに通うことで楽しみながら習得し、むし歯予防ができる点ですね。そうやって、ハミガキが得意なことのひとつとして自覚できると、お子さん本人の自信にもつながります。このプログラムでは、自立心や人格形成といった人間的成長が見込める点、しかも予防への親御さんの啓発も適切に行える点がすごいなと思っています。
歯科医個人としても、従来の治療の分野でのアプローチとは異なる方法を改めて学び直したりして勉強になります。

最後に、子どもの歯医者さん選びで悩みを抱える親御さんや、このサイトを見ている読者の方へのメッセージをお願いします。

「キッズデンタルスイッチ」には、予防を徹底実践したいという当院の願いが込められていると同時に、それを精力的に実践することを目指しています。
「お口は万物の入口」といわれますが、例えば入れ歯での食事は楽しい時間ではなく苦しい時間になってしまうこともあります。健やかな歯が揃った自分の口でおいしくご飯を食べて健康に過ごすことが人生の中で大事です。これからの長寿高齢化社会を生きていく、現在の子どもたちには、ますますその考え方が求められています。だから、現時点では、親御さんに代わって、プロフェッショナルである私たちドクターと衛生士が一丸となって成長のお手伝いをします。
「キッズデンタルスイッチ」を経験すると、自分から率先してハミガキをするようになるなど、意志の強さなど子どもの成長が得られる点でもおすすめです。これからは、むし歯治療ではなく、予防のために行くのが歯科医院だと認識していただけると幸いです。

編集部まとめ

〈eデンタル所沢〉のウェブサイトを見て驚きました。「こんな歯医者さん、あるの?」と。
こちらで採用している「キッズデンタルスイッチ」というプログラムでは、遊び感覚でハミガキ習慣が身に付き、子どものときからむし歯などお口のトラブル予防ができるようになるのだそう。しかも、費用は保険適用。子どもがあまり乗り気でないお稽古事に通わせるよりも、ハミガキ習慣が身に付くほうが、よほど価値があるのかもしれません。それに親御さんも一緒に成長できるなら、こんなに値打ちのある医療はないと思います。大人になって歯科医院に通うたびに、「子どもの頃からもっとちゃんと予防しておけばよかった」と反省しても後の祭りの取材ライターなのでした。

eデンタル所沢

医院名

eデンタル所沢

診療内容

小児歯科 小児予防治療 成人歯科 成人予防治療 など

所在地

埼玉県所沢市東住吉11-1シティタワー所沢クラッシィ2F

アクセス

西武池袋線・西武新宿線「所沢駅」直結 シティタワー所沢クラッシィ2F

この記事の監修歯科医師