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eGFR値は上げられる? 専門医が教える、腎機能を守るための「3つの生活習慣」見直し術

 公開日:2026/05/16
eGFR値は上げられる? 専門医が教える、腎機能を守るための「3つの生活習慣」見直し術

eGFR値の改善には、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。運動・喫煙・飲酒といった習慣が腎機能に深く関わっていることは、見落とされがちです。また、血圧や血糖値のコントロールも、腎機能を守るうえで中心的な役割を果たします。本記事では、腎臓への負担を和らげるために今日から取り組める具体的な生活改善のポイントをご紹介します。

田中 茂

監修医師
田中 茂(医師)

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2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

eGFR値を上げるために必要な生活習慣の見直し

eGFR値の低下を食い止め、数値の改善を目指すには、日々の生活習慣の積み重ねが何よりも大切です。一度にすべてを変えるのは難しくても、一つずつ取り組むことで腎臓への負担は着実に軽減されます。医療機関での治療と並行して、今日から始められる具体的な習慣について確認しましょう。

適度な運動と身体活動の維持

かつて腎臓病患者には「安静第一」という考え方が主流でしたが、現在では適度な運動が腎機能保護に有益であることがわかっています。運動は血圧や血糖値のコントロール、体重管理に役立ち、腎臓への負担を総合的に軽減する効果が期待できます。特にウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が推奨されます。1回30分程度、週に3〜5日を目安に、無理のない範囲で習慣化することが理想です。ただし、過度に激しい運動は筋肉の分解を促し、クレアチニン値を一時的に上昇させることがあるため注意が必要です。運動の種類や強度については、必ず担当医や理学療法士に相談し、個々の状態に合ったプログラムを立てることが大切です。

禁煙・節酒と腎機能の関係

喫煙は腎臓にとって百害あって一利なしです。タバコに含まれる有害物質は血管を収縮させ、動脈硬化を促進することで腎臓の血流を著しく悪化させます。これは腎機能低下の直接的な原因となります。禁煙はCKDの進行を抑制する上で最も効果的な生活習慣改善の一つです。また、慢性的な過剰飲酒は高血圧や脂質異常症を引き起こし、間接的に腎機能に悪影響を及ぼします。節酒の目安は、1日のアルコール量を純アルコール換算で20g以下(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)とされています。これらの改善は数値にすぐに反映されるわけではありませんが、腎機能の長期的な予後を大きく左右する重要な取り組みです。

eGFR値を上げるための血圧・血糖コントロール

高血圧と糖尿病は、慢性腎臓病(CKD)を引き起こし、進行させる二大巨頭です。これらは互いに悪影響を及ぼし合い、腎機能低下を加速させる悪循環を生み出します。したがって、eGFR値を維持・改善するためには、血圧と血糖値の適切な管理が治療の絶対的な根幹となります。

高血圧と腎機能低下の連鎖を断ち切る

高血圧は腎臓内の細い血管に常に高い圧力をかけ、血管壁を傷つけ、糸球体のろ過機能を徐々に破壊します。腎機能が低下すると、体内の余分な塩分と水分が排出されにくくなり、体液量が増加して血圧がさらに上昇するという悪循環に陥ります。タンパク尿がある場合や糖尿病を合併している CKD患者さんでは、血圧を130/80mmHg未満に保つことが一般的な目標とされます(ただし、個々の年齢や合併症の有無によって目標値は異なるため、必ず担当医と相談して決定してください)。家庭での血圧測定を習慣づけ、日々の変動を記録することも重要です。治療には、ACE阻害薬やARBといった腎保護作用を持つ降圧薬が第一選択として用いられることが多いですが、これらは担当医の厳密な管理のもとで使用される必要があります。

糖尿病性腎症とeGFR値の関係

糖尿病による腎障害(糖尿病性腎症)は、現在、日本で新規に透析導入となる原因の第1位です。血糖値が高い状態が続くと、糸球体の毛細血管がダメージを受け、ろ過機能に異常が生じます。初期には尿中に微量のタンパク質が漏れ出し(微量アルブミン尿)、進行するとタンパク尿となり、eGFR値が低下していきます。血糖コントロールの目標は、合併症予防の観点からHbA1cを7.0%未満に維持することです。食事療法や運動療法、薬物療法を組み合わせ、良好な血糖管理を継続することが、腎機能の低下を緩やかにし、病状の進行を遅らせるために重要です。近年では、SGLT2阻害薬など腎保護効果が確認されている新しい糖尿病治療薬も登場しています。

まとめ

eGFR値の低下は、腎臓からの重要なサインです。しかし、早期に気づき、適切な対策を講じることで、その進行を大幅に遅らせることが可能です。血圧・血糖の厳格なコントロールを基本に、減塩、タンパク質・カリウム・リンの適切な管理、そして禁煙や適度な運動といった生活習慣の改善が、腎機能を守るための強力な武器となります。健康診断で数値を指摘されたり、少しでも気になることがあれば、決して放置せず、早めに腎臓内科などの専門医を受診してください。医師や管理栄養士と協力し、自分に合った治療とセルフケアを始めることが、未来の健康を守る第一歩です。

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