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「認知症」の原因は“血糖値スパイク”? 糖尿病リスクを高める「症状」とは【医師監修】

 公開日:2026/05/07
「認知症」の原因は“血糖値スパイク”? 糖尿病リスクを高める「症状」とは【医師監修】

近年の研究により、血糖値スパイクと認知機能の低下との間に関連があることが徐々に明らかになってきています。脳への影響はアルツハイマー型認知症とも深く結びついており、日頃からの血糖値管理が脳の健康を守るうえでも重要な意味を持ちます。このセクションでは、血糖値スパイクが認知機能に及ぼす影響について解説します。

井筒 琢磨

監修医師
井筒 琢磨(医師)

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江戸川病院所属。専門領域分類は内科(糖尿病内科、腎臓内科)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会

血糖値スパイクと認知機能の低下

近年の研究により、血糖値スパイクと認知機能の低下との関連が明らかになってきています。脳の健康を守るうえでも、血糖値の安定化は重要な課題です。

脳への慢性的な影響

脳は身体の中で最もエネルギーを消費する臓器であり、安定したブドウ糖の供給を必要とします。血糖値スパイクによる血糖値の乱高下は、脳へのエネルギー供給を不安定にし、脳細胞の機能低下を招きます。特に、記憶を司る海馬という部分は血糖値の変動に敏感であり、繰り返される血糖値スパイクにより海馬の萎縮が進む可能性が指摘されています。

また、血糖値スパイクにより生じる酸化ストレス(活性酸素によって細胞がサビるようなダメージを受けること)は、脳内でも神経細胞にダメージを与えます。このダメージが蓄積すると、認知機能の低下や、将来的な認知症のリスク増加につながると考えられています。実際に、糖尿病患者さんは認知症の発症リスクが健常者の約2倍高いというデータもあります。

血糖値の変動が大きいほど、認知機能テストの成績が低下するという研究結果も報告されています。物忘れが増えた、集中力が続かない、判断力が鈍くなった、といった症状が長期的に続く場合は、血糖値スパイクが脳に影響を及ぼしている可能性があります。

アルツハイマー型認知症との関連

血糖値スパイクとアルツハイマー型認知症の関連性について、国内外で多くの研究が行われています。アルツハイマー型認知症の脳内では、アミロイドβというタンパク質が蓄積することが特徴ですが、高血糖状態がこのアミロイドβの蓄積を促進する可能性が示されています。

さらに、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が脳内で起こると、脳の神経細胞がエネルギーを利用しにくくなり、神経細胞の変性や死滅が進むことが指摘されています。このため、脳内でのインスリンの働きが悪くなることがアルツハイマー型認知症の一因とする説もあり、研究者の間では『3型糖尿病』という通称で議論されることもあるほど、両者の関連が注目されています。

血糖値スパイクを繰り返すことで、脳内の微小血管がダメージを受け、脳への血流が低下します。この脳血流の低下も、認知機能の低下に関与すると考えられています。血管性認知症とアルツハイマー型認知症が合併するケースも多く、血糖値のコントロールは認知症予防の重要な要素となっています。

まとめ

食後の眠気や倦怠感は日常的に多くの方が経験する症状ですが、その背景に血糖値スパイクという健康リスクが潜んでいる可能性があります。本記事で解説したように、食べる順序の工夫、食品選択の見直し、咀嚼回数の増加、食後の軽い運動といった日常生活での取り組みにより、血糖値スパイクは予防できます。これらの対策は決して難しいものではなく、今日から実践できる内容ばかりです。血糖値の安定化は、現在の生活の質を向上させるだけでなく、将来の糖尿病や心血管疾患、認知症のリスクを減らすことにもつながります。気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

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