「網膜剥離」の手術と入院。ステージ別治療法と「予後」を左右するポイントとは?

光視症や飛蚊症を伴って網膜剥離が診断された場合、速やかな治療介入が必要です。治療方法は剥離の範囲や位置、病期によって選択が異なります。網膜裂孔の段階で受けられる外来処置から、剥離が進行した場合に必要となる手術療法まで、それぞれの治療法と適応条件について詳しく解説します。

監修医師:
柿崎 寛子(医師)
光視症を伴う網膜剥離の治療選択肢
光視症や飛蚊症を伴って網膜剥離が診断された場合、速やかな治療介入が必要です。治療方法は、剥離の範囲や位置、病期によって選択されます。ここでは、網膜剥離に対する主な治療法と、それぞれの適応条件について解説します。
網膜裂孔へのレーザー治療と冷凍凝固術
網膜裂孔が発見され、まだ剥離が生じていない段階では、レーザー光凝固術が第一選択となります。レーザー治療は外来で行える処置で、裂孔の周囲を焼き固めることで、液体の侵入を防ぎ、剥離への進行を阻止します。治療は点眼麻酔下で行われ、通常15分から30分程度で完了します。
レーザー光凝固後、焼いた部分が癒着するまでに1週間から2週間程度かかります。この間、激しい運動や眼球への衝撃を避ける必要があります。治療の成功率は高く、適切なタイミングで処置を受ければ、多くの場合で剥離への進行を防げるとされています。裂孔が網膜の周辺部にある場合や、裂孔の周囲に硝子体の牽引がある場合には、冷凍凝固術が選択されることもあります。冷凍凝固術は眼球の外側から冷却装置を当てて網膜を凍らせる処置で、レーザーが届きにくい部位に有効です。
網膜剥離に対する手術療法の種類と選択
すでに網膜剥離が生じている場合は、手術が必要となります。主な手術法として、強膜バックリング手術と硝子体手術があります。強膜バックリング手術は、眼球の外側からシリコン製のバンドを縫い付けて、眼球を内側に押し込むことで網膜を元の位置に戻す方法です。比較的シンプルな剥離に適応されます。
硝子体手術は、眼球内部の硝子体を取り除き、網膜を内側から押さえつける方法です。複雑な剥離や増殖性変化を伴う場合に選択されます。手術では、眼球内にガスや油を注入して網膜を固定することがあり、術後一定期間うつ伏せの姿勢を保つ必要がある場合もあります。手術方法は、剥離の範囲、裂孔の位置と数、硝子体の状態、患者さんの全身状態などを考慮して決定されます。いずれの手術も、網膜を元の位置に戻し、裂孔を閉鎖することで視力の回復を目指します。手術によって網膜が元の位置に戻る確率は、剥離の状態にもよりますが80〜90%以上とされています。ただし、黄斑部の剥離の有無や剥離期間により視力予後は異なります。
まとめ
網膜剥離の初期症状である飛蚊症や光視症は、視力を守るための重要なサインです。これらの症状を正しく理解し、変化に気づいたときに速やかに眼科を受診することで、多くの場合で視力の低下を防ぐことができます。特に急激な飛蚊症の増加、光視症の出現、視野欠損といった症状が現れた場合は、緊急性が高く、当日中の受診が推奨されます。網膜剥離は早期発見・早期治療により良好な予後が期待できる疾患です。少しでも気になる症状があれば、自己判断せずに眼科専門医に相談することが、大切な視力を守る第一歩となります。
