深部静脈血栓症のリスクが高い人の特徴は?長時間の移動や手術後に注意すべき理由を解説

深部静脈血栓症は誰にでも起こりうる病態ですが、特定の状況や背景を持つ方ではリスクが高まることが知られています。自分がリスクを抱えているかを把握することで、予防意識を高め、早期発見につなげることができます。長時間の移動や手術後の安静、基礎疾患や体質的要因など、リスクが上昇する状況ごとに詳しくご説明します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
深部静脈血栓症のリスクが高まる状況
深部静脈血栓症は誰にでも起こりうる病態ですが、特定の状況や背景を持つ方ではリスクが高まることが知られています。自分がリスクを抱えているかを知ることで、予防意識を高め、早期発見につなげることができます。
長時間の移動や同一姿勢の保持
飛行機や長距離バス、列車などでの長時間移動は、足を動かす機会が限られるため血流が滞りやすくなります。座席が狭い場合や、窮屈な姿勢を強いられる場合は特にリスクが高まります。また、デスクワークや車の運転など、日常生活でも長時間同じ姿勢を続ける習慣がある方は注意が必要です。下肢の筋肉を動かさないと、筋肉のポンプ作用による静脈還流が働かず、血液が足に溜まって血栓ができやすくなります。こうした状況では、定期的に足首を動かしたり、立ち上がって歩いたりすることが予防に有効です。
手術後や外傷、長期安静の影響
手術や骨折などで入院し、長期間ベッドで安静を保つ必要がある場合、深部静脈血栓症の発症リスクが大幅に上昇します。特に整形外科手術や腹部手術、がんの手術後は、術後の安静期間が長くなりやすく、血液凝固能が亢進する傾向があります。また、ギプス固定や長期臥床によって足の動きが制限されることも、血流停滞の原因となります。医療機関では、こうしたリスクが高い患者さんに対して予防的に抗凝固薬を投与したり、弾性ストッキングを着用させたりする対策がとられています。
基礎疾患や体質的要因
がんや心不全、血液凝固異常症といった基礎疾患を持つ方は、血栓ができやすい体質であるため注意が必要です。また、肥満や喫煙、高齢、妊娠・出産、経口避妊薬の使用なども血栓形成のリスクを高める要因として知られています。特に複数のリスク要因を併せ持つ場合は、発症リスクが相乗的に高まるため、日常生活での予防対策や定期的な健康チェックが重要になります。家族歴として血栓症を発症した方がいる場合は、遺伝的な血液凝固異常の可能性もあるため、専門医に相談することが推奨されます。
まとめ
深部静脈血栓症は、ふくらはぎの痛みや片足だけが腫れるといった特徴的なサインを見逃さないことで、早期発見が可能です。こうした症状に気づいた際には、自己判断でマッサージをしたり放置したりせず、速やかに医療機関を受診することが重要です。適切な診断と治療により、肺塞栓症といった重篤な合併症を予防し、後遺症のリスクを減らすことができます。日常生活では長時間の同一姿勢を避ける、十分な水分を摂取する、リスク要因を把握しておくといった予防対策を心がけることで、血栓形成のリスクを下げることができます。気になる症状がある場合は、循環器内科や血管外科を受診し、専門的な評価を受けることをおすすめします。
参考文献