「家族の抗生物質」を飲むのは危険? 余った薬の使い回しが招く“深刻な副作用”

処方された抗生物質が余ってしまったとき、「次に似たような症状が出たときに使えばいい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残薬の自己使用には大きなリスクが伴います。本章では、抗生物質の適切な保管方法と残薬を再使用してはいけない理由について、患者さんの視点でわかりやすくご説明します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
抗生物質の保管と残薬の扱い
抗生物質を適切に保管し、処方された分を使い切ることは、自分自身と社会全体の健康を守るために重要です。残った薬を後で使用することには大きなリスクがあります。
適切な保管方法
抗生物質は直射日光や高温多湿を避けて保管する必要があります。多くの薬は室温(15〜25度程度)での保管が推奨されており、冷蔵庫での保管が必要なものもあります。処方された際の説明をよく確認し、指示に従って保管しましょう。子どもやペットの手の届かない場所に保管することも重要です。薬の容器は開封後も密閉し、湿気や汚染から守ります。シロップ剤などの液体の抗生物質には使用期限が設定されていることが多く、調剤日から2週間程度で使い切る必要があるものもあります。使用期限を過ぎた抗生物質は効果が低下したり、品質が変化したりする可能性があるため、使用してはいけません。
残薬を再使用してはいけない理由
症状が似ているからといって、以前処方された抗生物質を自己判断で使用することは非常に危険です。同じような症状でも、原因となる細菌が異なれば必要な抗生物質も異なります。不適切な抗生物質を使用すると、症状が改善しないばかりか、薬剤耐性菌を生み出すリスクがあります。また、抗生物質には使用期限があり、期限を過ぎたものは効果が減弱したり、分解産物により有害な作用が生じたりする可能性があります。家族や知人に抗生物質を譲渡することも、同様の理由から避けるべきです。抗生物質は医師が個々の患者さんの状態を診察したうえで処方するものであり、他の方が使用すると予期しない副作用や薬物相互作用を引き起こす危険があります。残った抗生物質は、家庭で自治体のルールに従って破棄するか、薬局や医療機関で適切に廃棄してもらいましょう。
まとめ
抗生物質は細菌感染症の治療に不可欠な医薬品ですが、風邪などのウイルス性疾患には効果がなく、不適切な使用は腸内細菌叢を乱し、薬剤耐性菌を生み出す原因となります。処方された抗生物質は指示通りに最後まで飲みきり、残薬を自己判断で使用しないことが重要です。症状や疑問があれば医師や薬剤師に相談し、抗生物質の適正使用を心がけることで、自分自身の健康と将来世代のために有効な治療手段を守ることができます。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診し、専門家の診断を受けることをおすすめします。