認知機能の急低下、実は肺炎のせい? 誤嚥性肺炎の典型的なパターンと非典型的な現れ方

誤嚥性肺炎の症状は、一般的な肺炎と似ているものの、高齢者では異なる現れ方をすることも少なくありません。発熱やせきだけでなく、元気の低下や食欲不振なども重要なサインです。本章では典型的な症状と非典型的な症状の違いを整理し、見逃しを防ぐ視点を解説します。

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)
誤嚥性肺炎を疑うべき症状―典型的なパターンと非典型的な現れ方
誤嚥性肺炎が実際に発症した際の症状を知っておくことで、早期の受診につなげることができます。典型的な症状と、高齢の方に多い非典型的な症状の両方を理解しておきましょう。
典型的な肺炎症状
一般的な肺炎と同様、発熱、せき、痰、呼吸困難といった症状が現れます。特に誤嚥性肺炎では、湿ったせきや、黄色や緑色の痰が特徴的です。食事中や食後にむせた後、数時間から数日以内にこれらの症状が現れた場合は、誤嚥性肺炎を疑う必要があります。
呼吸が浅く速くなったり、息苦しさを訴えたりする場合は、肺の炎症が進行しているサインです。胸の痛みや、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューといった音が聞こえることもあります。体温は38℃以上の高熱が出ることもあれば、37℃台の微熱が続くこともあり、個人差があります。
痰の量が増え、せき払いの回数が多くなることも典型的な症状です。横になるとせきが悪化し、座位や立位では楽になるという姿勢による変化も肺炎の特徴といえます。
高齢者に多い非典型的な症状
高齢の方では、発熱やせきといった典型的な症状が現れにくく、診断が遅れることがあります。元気がなくなる、食欲が低下する、ぼんやりとした様子が増えるといった漠然とした変化として現れることが少なくありません。
日中の傾眠傾向が強くなったり、会話が減ったりする場合も注意が必要です。認知機能が急に低下したように見える場合もあり、これは肺炎による酸素不足や全身状態の悪化が影響していると考えられます。歩行がふらつく、転倒しやすくなるといった身体機能の低下も、肺炎の間接的なサインとなることがあります。
尿の回数が減る、色が濃くなるといった脱水のサインも見逃せません。肺炎による発熱や食欲低下、水分摂取量の減少が重なると、脱水が進行しやすくなります。また、心拍数が速くなったり、普段よりも呼吸数が多くなったりすることもあります。これらの変化は測定しないと気づきにくいため、日頃から観察しておくことが大切です。
まとめ
誤嚥性肺炎は、早期発見と適切な対処により予防できる疾患です。日常生活での小さな変化に気づき、専門家のサポートを受けながら嚥下機能を維持していくことが、健やかな生活を送るための鍵となります。食事は生活の楽しみの一つでもありますので、安全においしく食べられる工夫を続けていきましょう。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な評価と指導を受けることをおすすめします。