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“食後に胃が張る”のは病気が原因? 「機能性ディスペプシア」を改善する食べ方のコツを医師が解説

 公開日:2026/03/23
機能性ディスペプシアを悪化させないために

機能性ディスペプシアの症状は、食べるものや調理法によって大きく左右されることがあります。脂質の多い食品や刺激の強いもの、硬い食物繊維を含む食材などは、胃の運動を遅らせたり、不快感を強めたりする可能性があります。ここでは、避けたほうがよい食品の具体例や、胃に優しい調理法について紹介します。日々の食事選びに役立つヒントが見つかるでしょう。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

機能性ディスペプシアに適した食事の工夫

機能性ディスペプシアの症状を軽減するためには、食事内容の見直しだけでなく、食べ方や食事環境にも配慮することが大切です。日常生活で取り入れやすい工夫をいくつか紹介します。

胃に優しい食材の選び方

胃に負担をかけにくい食材を選ぶことは、症状管理の基本です。炭水化物では、白米やお粥、うどん、そうめん、食パンなどが消化しやすい選択肢です。玄米や全粒粉パンは食物繊維が多く、消化に時間がかかるため、症状が強い時期には避けたほうがよいでしょう。
タンパク質源としては、脂肪分の少ない白身魚、鶏のささみや胸肉、卵、豆腐などが適しています。赤身の肉や青魚も栄養価が高いですが、脂質が多い部位は避け、調理法を工夫することで摂取できます。
野菜は、柔らかく煮たり蒸したりして、食物繊維を細かくすることで消化しやすくなります。大根やかぶ、にんじん、かぼちゃ、じゃがいもなどの根菜類は、加熱すると甘みが増し、胃にも優しくなります。葉物野菜も、細かく刻んで調理すれば摂取しやすくなります。
果物は、バナナやりんご、桃など、柔らかく甘みのあるものが適しています。柑橘類やパイナップルなど、酸味や酵素が強いものは、胃を刺激することがあるため、症状が落ち着いている時期に少量から試すとよいでしょう。

食事の際の具体的な工夫

食事の摂り方にも工夫が必要です。まず、よく噛んで食べることが重要です。咀嚼によって食べ物が細かくなり、唾液と混ざることで消化が促進されます。一口ごとに20〜30回噛むことを意識すると、胃への負担が軽減されます。
食事の速度も大切です。早食いは胃に急激な負担をかけ、空気を一緒に飲み込むことで膨満感を引き起こします。ゆっくりと時間をかけて食べることで、満腹中枢が刺激され、適量で満足感を得られるようになります。
食事の温度も考慮すべき点です。熱すぎるものや冷たすぎるものは、胃を刺激することがあります。適度な温度、つまり人肌程度の温かさが理想的です。温かいスープや温野菜、常温に戻した飲み物などを選ぶとよいでしょう。

ストレスが機能性ディスペプシアに与える影響

機能性ディスペプシアの発症や症状の悪化には、ストレスや心理社会的要因が関与することが少なくありません。心理的な負担が胃の機能に影響を与えるメカニズムを理解することで、適切な対処法を見つけることができます。

ストレスによる自律神経の乱れ

自律神経は、意識的にコントロールできない身体機能を調整する神経系です。交感神経は「戦うか逃げるか」の反応を引き起こし、心拍数を上げたり筋肉に血液を送ったりします。一方、副交感神経は「休息と消化」の反応を促し、胃腸の働きを活発にします。
ストレスが続くと、交感神経が優位な状態が長く続き、胃の運動が抑制されます。これにより、食べ物が胃に長く留まり、胃もたれや膨満感が生じやすくなります。また、血流が減少することで、胃の粘膜が傷つきやすくなることもあります。
自律神経の乱れは、睡眠障害や疲労感、頭痛、肩こりなど、他の身体症状も引き起こします。これらの症状がさらにストレスを増やし、悪循環に陥ることも少なくありません。
自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活リズムを保つことが重要です。毎日同じ時間に起床し、食事を摂り、就寝することで、身体の内部時計が整い、自律神経の働きも安定します。

心理的要因と胃の知覚過敏

機能性ディスペプシアの方では、胃の知覚過敏が症状の一因となっていることがあります。知覚過敏とは、通常であれば気にならない程度の胃の動きや刺激に対して、過度に敏感に反応してしまう状態です。
心理的なストレスや不安は、この知覚過敏を悪化させることが知られています。脳が不安や緊張を感じると、痛みや不快感を感じやすくなる信号が胃に伝わり、わずかな刺激でも強い症状として認識されるのです。
また、過去に強い胃の痛みや不快感を経験した方は、「また同じ症状が起こるのではないか」という予期不安を抱えることがあります。この不安自体がストレスとなり、実際に症状を引き起こすことがあります。これは心身相関の典型的な例といえます。
心理的要因に対処するためには、認知行動療法やリラクゼーション法などが有効です。専門の医療機関では、心理士やカウンセラーによる支援を受けることができます。また、日常生活で簡単に実践できるストレス対処法を身につけることも重要です。

まとめ

機能性ディスペプシアは、胃の機能的な問題により起こる症状であり、食事内容や食べ方、ストレスの管理が症状の改善に大きく関わります。脂質の多い食品や刺激物を避け、消化しやすい食材を選ぶこと、少量頻回食を心がけること、ストレスを適切に管理することが重要です。また、規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠を確保することで、自律神経のバランスが整い、症状の軽減につながります。症状が長引く場合や日常生活に支障をきたす場合には、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

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