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食後の胃もたれが続く場合どうすればいい? 「機能性ディスペプシア」の対策を医師が解説

 公開日:2026/03/22
機能性ディスペプシア食事とストレス

胃の痛みや胃もたれがあるのに、検査では異常が見つからない――そんな症状に悩まされている方は少なくありません。この「機能性ディスペプシア」は、食事の内容や摂り方、ストレスが深く関わっているといわれています。ここでは、症状の特徴や食事との関係、胃の機能に影響を与える要因について解説します。適切な知識を持つことで、日常生活での改善の糸口が見つかるかもしれません。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

機能性ディスペプシアと食事の基本的な関係

機能性ディスペプシアの症状は、食事と密接に関連しています。食後に胃もたれや膨満感が強くなる方、少量しか食べていないのにすぐに満腹感を感じる方など、食事のタイミングや内容によって症状の現れ方はさまざまです。
食事が症状に影響を与える理由は、胃の運動機能や感覚機能の変化にあります。通常、食べ物が胃に入ると胃は適度に拡張し、内容物を十二指腸へ送り出すために規則的な運動を行います。しかし、機能性ディスペプシアの方では、この胃の拡張や運動がうまく働かないことがあります。その結果、食べ物が胃に長く留まり、不快な症状が生じるのです。
また、胃の知覚過敏も重要な要因です。健康な方であれば気にならない程度の胃の刺激でも、機能性ディスペプシアの方は強い不快感を感じることがあります。このため、食事の量や質、食べるタイミングが症状に大きく影響します。特に脂質の多い食事や刺激物は、胃の運動を遅らせたり知覚を敏感にしたりするため、症状を悪化させる可能性があります。

食事内容が胃の機能に与える影響

食事の内容によって、胃の運動機能や消化のスピードは大きく変わります。脂質の多い食べ物は消化に時間がかかり、胃の排出を遅らせることが知られています。揚げ物やクリームソースを使った料理、脂身の多い肉類などは、胃に負担をかけやすい食品の代表例です。
炭水化物やタンパク質に比べて、脂質は胃での滞留時間が長くなります。これは脂質が十二指腸に到達すると、消化を助けるホルモンが分泌され、胃の運動が抑制されるためです。機能性ディスペプシアの方では、もともと胃の運動機能が低下していることが多いため、脂質の多い食事で症状が悪化する方も多く、控えることで改善が期待できる場合があります。
また、香辛料やカフェイン、アルコールなどの刺激物も、胃の粘膜を刺激し知覚過敏を引き起こすことがあります。特にカフェインは胃酸の分泌を促進するため、胃の不快感を強める可能性があります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどを日常的に摂取している方は、摂取量を見直すことが症状改善の第一歩となるでしょう。

食事のタイミングと回数の重要性

食事の内容だけでなく、食べるタイミングや回数も機能性ディスペプシアの症状管理において重要です。一度に大量の食事を摂ると、胃に大きな負担がかかり、膨満感や胃もたれが起こりやすくなります。
胃の容積には限界があり、一度に多くの食べ物が入ると、胃壁が過度に伸展します。機能性ディスペプシアの方では、この伸展に対する知覚が敏感になっているため、通常よりも少ない量でも不快感を感じることがあります。そのため、1回の食事量を減らし、食事回数を増やす「少量頻回食」が推奨されます。
例えば、1日3食を規則正しく摂る従来のスタイルではなく、1日4〜6回に分けて少しずつ食べる方法です。これにより、一度に胃に入る食べ物の量が減り、胃の負担が軽減されます。また、就寝前の食事は避けることも大切です。横になると胃の内容物が逆流しやすくなり、胃もたれや胸やけの原因となります。

機能性ディスペプシアを悪化させやすい食品と調理法

機能性ディスペプシアの症状を悪化させやすい食品や調理法を知ることは、日常生活での食事選びに役立ちます。

避けるべき食品の具体例

脂質の多い食品は、胃の運動を遅らせるため、機能性ディスペプシアの方には不向きです。揚げ物全般、バターやマーガリンを多く使った料理、脂身の多い肉類、生クリームやチーズをたっぷり使ったデザートなどが該当します。
また、刺激の強い食品も症状を悪化させることがあります。唐辛子やわさび、からしなどの香辛料、酸味の強い柑橘類、炭酸飲料、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶、アルコール類などです。これらは胃の粘膜を刺激し、知覚過敏を引き起こす可能性があります。
食物繊維が豊富な食品も、摂り方によっては注意が必要です。野菜や海藻、きのこ類は健康的な食品ですが、不溶性食物繊維が多いものは消化に時間がかかり、胃に負担をかけることがあります。特にごぼうやれんこん、たけのこなどの硬い野菜は、細かく刻んだり柔らかく煮たりする工夫が求められます。
甘いものや冷たいものも、胃の運動に影響を与えることがあります。糖分の多い食品は食後の不快感を強める方もいるため、摂りすぎには注意しましょう。また、アイスクリームや冷たい飲み物は胃を冷やし、運動機能を低下させることがあるため、適度な温度のものを選ぶことが大切です。

調理法による胃への負担の違い

同じ食材でも、調理法によって胃への負担は大きく変わります。揚げる、炒めるといった油を多く使う調理法は、脂質の摂取量が増えるため、胃もたれや膨満感を引き起こしやすくなります。
一方、蒸す、煮る、茹でるといった調理法は、油をほとんど使わないため、胃への負担が少なくなります。特に蒸し料理は、食材の栄養素を損なわず、柔らかく仕上げることができるため、機能性ディスペプシアの方に適しています。
焼く調理法も、油を控えめにすれば比較的胃に優しい選択肢です。ただし、焦げ目が強くつくまで焼くと、消化しにくくなることがあるため、適度な加熱にとどめることが望ましいでしょう。
食材を細かく刻んだり、ミキサーでペースト状にしたりすることも、消化を助ける工夫のひとつです。胃での消化にかかる時間が短縮され、胃の運動機能が低下している方でも負担が少なくなります。スープやポタージュ、おかゆなどの形態は、症状が強い時期には特に有効です。

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