「貧血の治療」はどんなことを行うの?予防法についても解説!【医師監修】

食事療法だけでは改善が難しい場合や、貧血の程度が強い場合には、鉄剤による薬物療法が行われます。経口鉄剤には複数の種類があり、それぞれに特徴や服用方法、副作用があります。また、経口鉄剤が使用できない場合には注射による鉄補給も選択肢となります。本記事では、鉄剤の種類や使用方法、注意点について解説します。さらに、一度改善した貧血の再発を防ぐための予防策や生活習慣の見直しについても触れます。医師の指示を守り、継続的な取り組みを行うことが大切です。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
鉄欠乏性貧血の治療と鉄剤の使用
食事療法だけでは改善が難しい場合や、貧血の程度が強い場合には、鉄剤による薬物療法が行われます。鉄剤の種類や使用方法、注意点について理解しておくことが重要です。
経口鉄剤の種類と服用方法
経口鉄剤には、硫酸第一鉄、フマル酸第一鉄、クエン酸第一鉄などの種類があります。一般的には1日100〜200mgの鉄を補給する用量が処方されます。空腹時に服用することで吸収率が高まりますが、胃腸症状が強い場合は食後に服用することもあります。
ビタミンCと一緒に服用することで、鉄の吸収を促進できます。一部の鉄剤にはビタミンCが配合されているものもあります。
服用時には、お茶やコーヒー、牛乳などは避けるべきです。これらに含まれる成分が鉄の吸収を妨げるためです。水または白湯で服用することが推奨されます。
経口鉄剤の副作用としては、吐き気、便秘、下痢、腹痛などの消化器症状が挙げられます。これらの症状が強い場合は、服用量を減らしたり、服用のタイミングを変えたりすることで改善することがあります。どうしても副作用が改善しない場合は、鉄剤の種類を変更することも検討されます。
注射による鉄補給
経口鉄剤が使用できない場合や、吸収不良のある場合、急速な鉄補充が必要な場合には、注射による鉄補給が選択されます。静脈注射または筋肉注射によって鉄を直接投与することで、確実に体内に鉄を補充できます。
静脈注射による鉄補給は、効果が速やかに得られる利点があります。通常、数回の投与で必要な鉄量を補充できます。ただし、アレルギー反応や注射部位の痛み、まれに重篤なアナフィラキシー反応などのリスクがあるため、医療機関での慎重な管理が必要です。
注射による鉄補給は、主に慢性腎臓病による貧血、炎症性腸疾患、経口鉄剤が使用できない妊婦などに対して行われます。治療方針は医師が個々の状況を評価して決定します。
鉄剤による治療を受ける際は、医師の指示を守り、定期的な血液検査で効果と副作用を確認することが大切です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは避けるべきです。
鉄欠乏性貧血の予防と再発防止
一度改善した鉄欠乏性貧血でも、原因が解決されなければ再発するリスクがあります。予防と再発防止のための取り組みを継続することが重要です。
生活習慣の見直し
バランスの取れた食事を継続することが、貧血予防の基本です。鉄を豊富に含む食品を意識的に取り入れつつ、偏りのない食生活を心がけましょう。極端なダイエットや偏食は避け、1日3食を規則正しく摂ることが大切です。
月経量が多い方は、婦人科を受診し、適切な治療を受けることが推奨されます。低用量ピルやホルモン療法により月経量をコントロールすることで、鉄の喪失を減らすことができます。子宮筋腫などの器質的疾患が原因の場合は、その治療が必要となります。
消化管疾患がある方は、定期的な検査と適切な治療を継続することが重要です。胃潰瘍や大腸疾患の治療を怠ると、慢性的な出血により貧血が再発してしまいます。
妊娠を計画している方や妊娠中の方は、早期から鉄の補充を意識することが大切です。産婦人科医と相談しながら、適切な鉄補給を行いましょう。
定期的な健康チェック
貧血のリスクが高い方は、定期的に血液検査を受けることが推奨されます。年に1〜2回の健康診断を欠かさず受け、ヘモグロビン値や血清フェリチン値を確認しましょう。
自覚症状がなくても、血液検査で早期に異常を発見できれば、重症化する前に対処できます。特に疲れやすさや息切れなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
氷食症が再び現れた場合は、貧血の再発を疑うサインです。このような症状に気づいたら、早めに血液検査を受けるようにしましょう。
家族に貧血の既往がある方や、消化器疾患のリスクが高い方は、特に注意が必要です。自分の身体の状態を把握し、異常を感じたら早めに相談する習慣をつけることが、貧血の予防と早期発見につながります。
予防と再発防止には、継続的な取り組みと自己管理が欠かせません。医療機関と連携しながら、健康な生活を維持していきましょう。
まとめ
鉄欠乏性貧血は疲労感や息切れといった一般的な症状に加え、氷を食べたくなる氷食症という特徴的なサインを伴うことがあります。血液検査による数値の確認、食事による鉄補給、必要に応じた鉄剤の使用が治療の柱となります。しかし、背景に出血性疾患や吸収障害が隠れているケースもあるため、自己判断せず医療機関を受診し、原因を明らかにすることが大切です。適切な診断と治療により、症状は改善し氷食症も自然に消失することが期待されます。気になる症状があれば、早めに内科や血液内科を受診し、専門医に相談しましょう。