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「貧血の原因」はご存知ですか?改善するための食事療法の基本も解説!【医師監修】

 公開日:2026/03/21
鉄欠乏性貧血の原因と発症メカニズム

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することで赤血球中のヘモグロビンが十分に作られなくなる状態です。その原因は多岐にわたり、年齢や性別によっても異なります。貧血の背景には、出血による鉄の喪失、食事からの摂取不足、吸収障害、需要の増大などが考えられます。本記事では、鉄欠乏性貧血を引き起こす具体的な原因と発症の仕組みについて解説します。原因を正確に特定することは、適切な治療方針を立てるうえで不可欠です。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

鉄欠乏性貧血の原因と発症メカニズム

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することで赤血球中のヘモグロビンが十分に作られなくなる状態です。その原因は多岐にわたり、年齢や性別によっても異なります。

鉄の喪失と摂取不足

鉄欠乏性貧血の原因として最も多いのは、出血による鉄の喪失です。女性では月経による出血が主な原因となります。特に月経量が多い方や月経期間が長い方は、毎月大量の鉄を失うため、貧血になりやすい傾向があります。
消化管からの出血も重要な原因です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、大腸がんなどによる慢性的な出血は、目に見えない形で進行することが多く、気づかないうちに鉄が失われていきます。痔による出血も、長期間続くと貧血の原因となります。
食事からの鉄摂取不足も見逃せない要因です。極端なダイエットや偏った食生活、菜食主義などにより、必要な鉄分が摂取できていない場合があります。特に成長期の子どもや妊娠中・授乳中の女性は、通常よりも多くの鉄を必要とするため、意識的な摂取が求められます。

鉄の吸収障害と需要増大

胃切除後や慢性胃炎、セリアック病などの消化器疾患がある場合、鉄の吸収が十分に行われないことがあります。胃酸は鉄の吸収を助ける働きがあるため、胃酸分泌が低下すると鉄欠乏を招きやすくなります。
妊娠中や授乳中は、胎児や乳児への鉄供給のために母体の鉄需要が増大します。この時期に十分な鉄を補給しないと、母体が鉄欠乏に陥ることがあります。また、成長期の子どもや思春期の女性も、急速な身体の発育に伴い鉄の需要が高まるため、注意が必要です。
稀ではありますが、遺伝性の鉄代謝異常症や慢性腎臓病に伴う貧血など、特殊な病態が原因となることもあります。これらの場合は専門的な治療が必要となります。
鉄欠乏性貧血の原因を正確に特定することは、適切な治療方針を立てるうえで不可欠です。単に鉄を補給するだけでなく、出血源の治療や食生活の改善など、根本的な対処が求められます。

鉄欠乏性貧血における食事療法の基本

鉄欠乏性貧血の改善には、食事からの鉄補給が基本となります。ただし、鉄の種類や吸収率を理解したうえで、効率的に摂取することが重要です。

鉄の種類と吸収率

食品中の鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は主に動物性食品に含まれ、吸収率は15〜25%と高いのが特徴です。一方、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれますが、吸収率は2〜5%と低く、胃酸や他の栄養素の影響を受けやすいという特徴があります。
ヘム鉄を多く含む食品としては、レバー、赤身の肉、まぐろやかつおなどの赤身の魚が挙げられます。これらは鉄の含有量が多いだけでなく、吸収されやすいため、貧血改善に効果的です。
非ヘム鉄を含む食品には、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、大豆製品、ひじきなどの海藻類があります。これらは吸収率が低いものの、日常的に取り入れやすい食材です。吸収を高める工夫をすることで、鉄補給に役立てることができます。

鉄の吸収を高める食べ方

非ヘム鉄の吸収を高めるには、ビタミンCを一緒に摂取することが有効です。ビタミンCは鉄をイオン化し、吸収されやすい形に変える働きがあります。食事の際に柑橘類や野菜ジュース、ピーマンやブロッコリーなどを組み合わせることで、鉄の吸収率を向上させることができます。
動物性タンパク質も鉄の吸収を促進します。肉や魚に含まれるタンパク質は、非ヘム鉄の吸収を助ける働きがあるため、野菜と一緒に肉や魚を食べることが推奨されます。
一方で、鉄の吸収を妨げる成分もあります。お茶やコーヒーに含まれるタンニン、穀物や豆類に含まれるフィチン酸、乳製品に含まれるカルシウムなどは、鉄と結合して吸収を阻害することが知られています。ただし、現代の一般的な食事量や通常のお茶の摂取量であれば、過度に神経質になる必要はないとされていますが、貧血が強い場合は食事中や食後すぐの濃いお茶・コーヒーは避ける工夫も有効です。
調理方法も工夫次第で鉄の摂取量を増やせます。鉄製の調理器具を使用することで、料理に微量の鉄が溶け出し、自然に鉄を補給できます。特に酸性の料理を作る際には、より多くの鉄が溶出するとされています。

まとめ

鉄欠乏性貧血は疲労感や息切れといった一般的な症状に加え、氷を食べたくなる氷食症という特徴的なサインを伴うことがあります。血液検査による数値の確認、食事による鉄補給、必要に応じた鉄剤の使用が治療の柱となります。しかし、背景に出血性疾患や吸収障害が隠れているケースもあるため、自己判断せず医療機関を受診し、原因を明らかにすることが大切です。適切な診断と治療により、症状は改善し氷食症も自然に消失することが期待されます。気になる症状があれば、早めに内科や血液内科を受診し、専門医に相談しましょう。

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