どうして「抗がん剤治療」を行うと「副作用」が起こるの?【医師監修】

抗がん剤はがん細胞だけでなく、活発に分裂する正常細胞にも影響を及ぼすため副作用が生じます。骨髄抑制による血球減少や消化器症状など、副作用の種類とそのメカニズムを理解することで、適切な予防と対処が可能になります。投与時期と副作用の関係についても詳しく見ていきましょう。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
抗がん剤の副作用が起こる理由
抗がん剤の副作用は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも薬剤が作用することで生じます。副作用は投与直後から現れる急性のものと、治療を重ねるうちに蓄積して現れる慢性のものがあります。治療計画を立てる際には、これらの副作用を予測し、適切な予防策や対処法を準備することが重要です。
骨髄抑制と血球減少
骨髄抑制は抗がん剤の代表的な副作用で、白血球、赤血球、血小板の産生が低下します。白血球の減少は感染症のリスクを高め、発熱や炎症を起こしやすくなります。赤血球の減少により貧血が生じると、倦怠感、息切れ、動悸などの症状が現れます。血小板の減少は出血しやすい状態を招き、皮下出血や鼻血、歯茎からの出血などが見られることがあります。
骨髄抑制の程度と時期は薬剤によって異なりますが、多くの場合、投与後1〜2週間で最も血球数が低下し(最下点)、その後徐々に回復します。この時期には定期的な血液検査で血球数をモニタリングし、必要に応じて感染予防や輸血などの対策が取られます。白血球を増やす薬剤(G-CSF製剤)が予防的に使用されることもあります。
消化器症状のメカニズム
吐き気や嘔吐は抗がん剤治療で最もつらい副作用の一つとして知られています。これは抗がん剤が脳の嘔吐中枢や消化管の神経を刺激することで起こります。また、消化管粘膜が障害されることで、口内炎、食道炎、下痢、便秘などが生じることもあります。
吐き気には投与直後から現れる急性のものと、数日後から持続する遅発性のものがあり、それぞれ異なる機序で発生します。現在では制吐剤が大きく進歩し、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、ステロイド薬などを組み合わせることで、吐き気を軽減できることが報告されています。口内炎は口腔内の粘膜細胞が障害されることで生じ、痛みや食事摂取困難を引き起こします。口腔ケアを丁寧に行うことで予防や軽減が期待できます。
まとめ
抗がん剤治療は、がんと向き合うための重要な選択肢です。治療には副作用が伴いますが、適切な知識と対処法を持つことで、多くの副作用は軽減できます。脱毛や食事の制限など生活に影響する面もありますが、これらは一時的なものであり、治療終了後には回復が期待できます。わからないことや不安なことがあれば、遠慮せずに医療スタッフに相談し、自分に合った治療とケアを受けることが大切です。定期的な受診と検査を通じて、安全に治療を進めていきましょう。