透析は回避できる?糖尿病性腎症の進行を強力に抑える「4つの最新治療薬」と食事法

糖尿病性腎症の治療は、進行段階に応じてさまざまな選択肢があります。早期であればあるほど、より多くの治療法を選択できる可能性が高まります。食事療法や薬物療法など、基本となる治療アプローチについて詳しく解説していきます。近年の医療の進歩により、腎症の進行を強力に抑える新しい薬剤も登場しています。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
目次 -INDEX-
糖尿病性腎症の治療の基本
糖尿病性腎症の治療は、進行段階に応じて適切な方法が選択されます。早期であればあるほど、多くの選択肢が残されています。
食事療法と栄養管理
腎症の治療において、食事療法は重要な位置を占めます。腎機能の状態に応じて、タンパク質や塩分、カリウムなどの摂取量を調整する必要があります。早期の段階では、塩分を1日6g未満に制限することが推奨されます。腎機能が低下してくると、タンパク質の摂取量も制限する場合があります。ただし、極端な制限は栄養不足を招く恐れがあるため、管理栄養士の指導のもとで適切な食事内容を決めることが大切です。また、カリウムを多く含む果物や生野菜、カリウムの少ない調理法などについても専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
薬物療法の役割
近年の薬物療法の進歩は目覚ましく、腎症の進行を強力に抑制する選択肢が増えています。
・ACE阻害薬・ARB:血圧降下作用に加え、糸球体内圧を下げて腎臓を保護する作用があり、第一選択薬として広く用いられます。
・SGLT2阻害薬:尿中に糖を排出させることで血糖を下げますが、それに加えて糸球体内圧の正常化、抗炎症作用など多彩なメカニズムで強力な腎保護効果を発揮することが証明され、現在の腎症治療の主役となっています。
・GLP-1受容体作動薬:血糖改善効果に加え、食欲抑制による体重減少や、腎臓への直接的な保護作用が期待されています。
・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA):腎臓の炎症や線維化(硬くなること)を抑える新しいタイプの薬剤で、既存薬に上乗せして使用することで、さらなる進行抑制効果が示されています。
これらの薬剤を、患者さん一人ひとりの状態に合わせて組み合わせることで、透析導入を先延ばしにすることが可能になっています。
まとめ
糖尿病性腎症は、早期には症状が現れにくい一方で、進行すると透析が必要になる深刻な合併症です。しかし、血糖値や血圧の適切な管理、定期的な検査、そして生活習慣の改善によって、発症を予防したり進行を遅らせたりすることは十分に可能です。症状が出てからではなく、糖尿病と診断された時点から腎臓を守る取り組みを始めることが大切です。気になる症状がある方や、長期間糖尿病と付き合っている方は、ぜひ一度専門医に相談してみてください。
参考文献