“低血糖”で見逃せない5つの初期症状とは 動悸や集中力低下が起きる仕組みを医師が解説

糖尿病治療を行ううえで、低血糖は避けることのできないリスクの一つです。特にインスリン療法や特定の経口血糖降下薬を使用している場合、低血糖がどのように起こり身体にどのような影響を及ぼすのかを理解しておくことは、安全な治療継続のために不可欠です。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
目次 -INDEX-
低血糖症状の出現メカニズム
血糖値が正常範囲を下回ると、低血糖症状が現れます。糖尿病治療、特にインスリン療法や一部の経口血糖降下薬を使用している場合、低血糖は避けられないリスクの一つです。
低血糖が起こる原因
低血糖は血糖値がおおむね70mg/dL未満になると発生します。原因としては、食事の量や時間が不規則、薬剤の量が多すぎる、運動量が予想以上に多かった、アルコールを摂取したなどが挙げられます。
インスリンやスルホニル尿素薬(SU薬)、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)は、低血糖を起こしやすい薬剤です。これらを使用する際は、食事を抜かない、激しい運動前には補食を摂る、アルコールは空腹時に避けるといった対策が必要です。
低血糖時の身体反応
血糖値が低下すると、交感神経が活性化し、カテコールアミンなどのホルモンが分泌されます。これにより、動悸、冷や汗、手指の震え、顔面蒼白といった自律神経症状が現れます。さらに血糖値が下がると、脳へのブドウ糖供給が不足し、集中力の低下、眠気、頭痛、目のかすみなどの中枢神経症状が出現します。
重症化すると意識障害や痙攣、昏睡に至る場合もあります。特に高齢の方や長期間糖尿病を患っている方では、低血糖に対する感覚が鈍くなる「無自覚性低血糖」が問題となることがあります。周囲の方が異変に気づき、早期に対処することも重要です。
まとめ
糖尿病は一度発症すると、完全に治癒することは難しいとされています。しかし、適切な食事管理、定期的な検査、必要に応じたインスリン療法や薬物治療により、血糖値を良好に管理し、合併症の発症や進行を防ぐことは十分に可能です。三大疾病のリスクを低減し、低血糖症状への対処法を身につけることで、安全で質の高い日常生活を送ることができます。自己判断で治療を中断せず、定期的に医療機関を受診し、専門家の助言を受けながら管理を続けていくことが大切です。
参考文献