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「日本住血吸虫症」の診断方法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2026/03/16
日本住血吸虫症の診断方法

日本住血吸虫症を正確に診断するには、臨床症状の評価に加えて複数の検査を組み合わせた総合的な判断が必要です。検便による虫卵の検出が確定診断となりますが、感染初期や低感染強度の場合には検出が困難なこともあります。ここでは検便による虫卵検出の方法と、血液検査や画像診断が果たす補助的な役割について解説します。

小幡 史明

監修医師
小幡 史明(医師)

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自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

日本住血吸虫症の診断方法

日本住血吸虫症の診断には、臨床症状の評価に加えて、複数の検査を組み合わせて総合的に判断することが必要です。

検便による虫卵の検出

日本住血吸虫症の確定診断には、糞便中に虫卵を検出することが最も確実な方法です。感染から数ヶ月が経過し、成虫が産卵を始めると、卵が腸管内に排出され、糞便中に混じります。検便では少量の糞便を採取し、顕微鏡下で虫卵の有無を確認します。
日本住血吸虫の卵は特徴的な形態を持っています。卵は長径が80マイクロメートルから100マイクロメートル程度の楕円形で、側面に小さな棘があります。この棘の位置や卵の形状から、他の住血吸虫種と区別することができます。経験豊富な検査技師であれば、顕微鏡観察で正確に同定できます。
ただし、検便で虫卵が検出されない場合もあります。排卵数が少ない場合や、感染初期でまだ産卵が始まっていない時期には、虫卵が見つからないことがあります。そのため、複数回の検便を実施したり、他の検査法を併用したりすることが推奨されます。直腸粘膜生検という方法では、大腸の粘膜組織を採取して虫卵を探すこともあり、検便よりも感度が高いとされています。検便で虫卵が検出されない場合でも感染を完全に否定することはできません。特に感染強度が低い場合には、複数回検査を行っても陰性となることがあります。

血液検査と画像診断の役割

血液検査では、好酸球の増多が特徴的な所見として現れます。急性期には好酸球が著しく増加し、全白血球の30〜50%を占めることもあります。これは寄生虫感染に対する身体の免疫反応を反映しています。また、血清中の免疫グロブリンE(IgE)も上昇します。全白血球の30〜50%を占める⇨急性期には好酸球が著明に増加することがあります。

血清学的検査では、抗体を検出する方法が用いられます。酵素免疫測定法(ELISA)や間接蛍光抗体法などにより、日本住血吸虫に対する特異的な抗体の有無を調べます。抗体検査は感染初期から陽性となることがあり、虫卵が検出できない時期の診断に有用です。ただし、過去の感染でも陽性となるため、現在の活動性感染を示すとは限りません。
画像診断では、腹部超音波検査やCT検査、MRI検査が肝臓や脾臓の状態を評価するために行われます。慢性期の肝線維化や門脈圧亢進症の程度を把握することができます。超音波検査では、肝臓内の線維化パターンや脾腫の有無を確認します。内視鏡検査では食道静脈瘤の有無や程度を直接観察でき、合併症のリスク評価に役立ちます。これらの検査を総合的に評価することで、正確な診断と適切な治療方針の決定が可能となります。

まとめ

日本住血吸虫症は、かつて日本国内で多くの方を苦しめた寄生虫感染症ですが、現在では官民一体の取り組みにより国内での撲滅に成功しました。しかし海外の流行地域では依然として感染リスクが存在します。症状や感染経路、治療法についての正確な知識を持ち、海外渡航時には適切な予防対策を実践することが重要です。流行地域を訪れる際は淡水との接触を避け、帰国後は健康状態に注意を払い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

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