海外で「日本住血吸虫症」に感染しないためにできる予防対策とは?【医師監修】

海外の流行地域では、日常的な行動が感染リスクにつながることがあります。淡水との直接接触を避けることや適切な防護具の使用など、具体的な予防行動を実践することで感染リスクを大幅に減らすことができます。ここでは水との接触を避けるための行動指針と、帰国後の健康管理や受診のタイミングについて説明します。

監修医師:
小幡 史明(医師)
海外渡航時の具体的な予防対策
海外の流行地域では、日常的な行動が感染リスクにつながることがあります。適切な知識を持ち、具体的な予防行動を実践することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。現地での活動内容に応じて、必要な対策を事前に計画することが大切です。
水との接触を避けるための行動指針
流行地域では、淡水との直接接触を可能な限り避けることが最も重要です。川、湖、池、用水路などでの遊泳や水浴びは控えるべきです。観光地であっても、淡水域での水遊びは感染リスクがあります。現地の方が水浴びをしている光景を見ても、安全とは限りません。
農村部での滞在では、水田や灌漑施設に近づかないよう注意が必要です。農作業の体験や見学などで水田に入る機会がある場合は、長靴と手袋を着用し、皮膚の露出を最小限にします。用水路で洗濯や洗い物をすることも避けるべきです。生活用水は安全な水源から得るようにします。
飲料水については、水道水や井戸水を直接飲むことは避け、ボトル入りの水を利用することが推奨されます。日本住血吸虫は経口感染しないため、飲料水から直接感染することはありませんが、水との接触機会を減らすという観点から注意が必要です。シャワーや入浴についても、可能であれば処理された安全な水を使用する施設を選ぶことが望ましいです。
帰国後の健康管理と受診のタイミング
流行地域から帰国した後は、自身の健康状態に注意を払うことが大切です。特に水との接触があった方は、帰国後数週間から数ヶ月の間、体調の変化に気を配る必要があります。発熱、腹痛、下痢、倦怠感などの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診してください。
受診の際には、渡航歴と現地での活動内容を必ず医師に伝えることが重要です。いつ、どの国のどの地域を訪れたか、淡水との接触があったかなどの情報が、診断の重要な手がかりとなります。多くの医師は日本住血吸虫症の診療経験が少ないため、患者さん自身が積極的に情報を提供することが早期診断につながります。
症状がない場合でも、水との接触が明らかにあった方は、帰国後3ヶ月から6ヶ月程度経過した時点で検査を受けることが推奨されます。渡航外来や感染症専門医がいる医療機関で、検便や血液検査を実施し、感染の有無を確認できます。早期発見により、合併症が起こる前に治療を開始でき、良好な予後が期待できます。海外での貴重な体験を健康リスクにつなげないよう、帰国後の健康管理を怠らないことが大切です。帰国後3ヶ月から6ヶ月程度経過した時点で検査を受けることが推奨⇨明らかな淡水曝露があった場合は、帰国後に渡航外来や感染症専門医へ相談することが望まれます。感染症は長期にわたり無症状で経過する場合もあるため、曝露歴を医師に伝えることが重要です。
まとめ
日本住血吸虫症は、かつて日本国内で多くの方を苦しめた寄生虫感染症ですが、現在では官民一体の取り組みにより国内での撲滅に成功しました。しかし海外の流行地域では依然として感染リスクが存在します。症状や感染経路、治療法についての正確な知識を持ち、海外渡航時には適切な予防対策を実践することが重要です。流行地域を訪れる際は淡水との接触を避け、帰国後は健康状態に注意を払い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。