脳出血の「保存的治療」手術をしない選択。薬だけで脳の出血はどうなるのか?

血腫が比較的小さく神経症状が軽度から中等度の場合は、保存的治療が選択されることがあります。急性期の血圧管理は極めて重要で、収縮期血圧を140mmHg未満に速やかに下げることが推奨されています。また脳浮腫の管理や合併症の予防など、全身状態の安定化を図る治療について解説します。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
目次 -INDEX-
脳出血の保存的治療と薬物療法
脳出血の治療は、出血の大きさ、部位、患者の全身状態などを総合的に判断して選択されます。血腫が比較的小さく、神経症状が軽度から中等度の場合は、保存的治療が選択されることがあります。
血圧管理と脳保護療法
急性期の血圧管理は極めて重要です。収縮期血圧を140mmHg未満に速やかに下げることが推奨されています。血圧が高すぎると出血が拡大するリスクがあり、逆に低すぎると脳灌流圧が低下して脳虚血を招く可能性があります。ニカルジピンなどの持続静注薬を用いて、厳密に血圧をコントロールします。
脳浮腫の管理も重要な治療目標です。出血の周囲には脳浮腫が生じ、頭蓋内圧を上昇させます。グリセオールやマンニトールなどの浸透圧利尿薬が投与され、脳浮腫の軽減が図られます。頭蓋内圧モニタリングを行い、圧が上昇している場合は積極的な治療が行われます。
抗凝固薬を服用していた場合は、その作用を中和する処置が必要です。ワルファリン服用中であればビタミンKやプロトロンビン複合体製剤が、NOACであれば特異的中和剤(イダルシズマブなど)が投与されます。凝固機能を正常化することで、出血の拡大を防ぎます。
合併症予防と全身管理
肺炎は脳出血患者の主要な合併症の一つです。嚥下障害により誤嚥性肺炎を起こしやすく、予防のために口腔ケアや誤嚥予防の体位管理が重要です。嚥下機能の評価を行い、必要に応じて経鼻胃管や胃瘻からの栄養投与が選択されます。
深部静脈血栓症や肺塞栓症の予防も重要です。麻痺により下肢の筋肉運動が低下すると、静脈内で血液が滞留し血栓が形成されやすくなります。弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置を使用し、出血のリスクが低下した後は抗凝固療法を開始します。
消化管出血の予防にも注意が必要です。ストレスや薬剤の影響で胃潰瘍が生じやすくなります。プロトンポンプ阻害薬などの胃薬が予防的に投与されます。また、血糖値の管理、電解質の補正、栄養管理なども適切に行われ、全身状態の安定化が図られます。
まとめ
脳出血は突然発症し、重篤な後遺症を残す可能性がある疾患ですが、早期発見と適切な治療により予後は改善します。前兆となるサインを見逃さず、危険因子を適切に管理することが予防の基本です。特に高血圧のある方は定期的な受診と血圧のコントロールが不可欠です。気になる症状がある場合は、速やかに脳神経外科や脳神経内科を受診することをおすすめします。


