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「慢性骨髄性白血病」は遺伝と関係があるのか? 95%に見られる染色体異常の原因と特徴【医師解説】

 公開日:2026/03/23
慢性骨髄性白血病の発症原因と染色体異常

本疾患の発症には、染色体レベルでの特定の異常が深く関わっています。約95%の方に認められるフィラデルフィア染色体は、9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わることで形成されます。この異常により産生される融合タンパク質が、白血球の無秩序な増殖を引き起こします。遺伝性の病気ではないものの、染色体変化のメカニズムを知ることで、病気の本質的な理解につながるでしょう。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

慢性骨髄性白血病の発症原因と染色体異常

慢性骨髄性白血病の発症には、染色体の異常が深く関わっています。特定の染色体変化が病気を引き起こすメカニズムが明らかになっています。

フィラデルフィア染色体の形成

慢性骨髄性白血病の約95%の方に、フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な染色体が認められます。これは9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わる「転座」という現象によって生じます。この転座により、9番染色体上のABL遺伝子と22番染色体上のBCR遺伝子が融合し、BCR-ABL融合遺伝子が形成されます。

BCR-ABL融合遺伝子は、異常なタンパク質を産生します。このタンパク質はチロシンキナーゼという酵素の一種であり、細胞の増殖を促進する信号を常に送り続けます。通常であれば制御されている細胞増殖が止まらなくなり、白血球が無秩序に増え続けることになります。この染色体異常は後天的に生じるものであり、遺伝するものではありません。

遺伝的要因と環境要因の影響

慢性骨髄性白血病は遺伝性の病気ではなく、家族内で発症することは極めて稀です。染色体の異常は、生涯のどこかの時点で偶発的に起こるものと考えられています。ただし、なぜこの異常が起こるのか、具体的な原因は完全には解明されていません。

環境要因としては、高線量の放射線被曝が発症リスクを高める可能性が指摘されています。広島・長崎の原爆被爆者や、放射線治療を受けた方において、慢性骨髄性白血病の発症率がわずかに高いという報告があります。しかし、日常生活で受ける程度の放射線量では、発症リスクが高まることはほとんどありません。化学物質や特定の薬剤との関連性も研究されていますが、明確な因果関係は確立されていないのが現状です。

まとめ

慢性骨髄性白血病は、初期には症状が現れにくい病気ですが、定期的な健康診断や血液検査が、早期発見につながることがあります。染色体異常によって引き起こされるこの病気は、分子標的薬の登場により治療成績が大きく向上しました。現在では、慢性骨髄性白血病は適切な治療により長期にわたりコントロール可能な慢性疾患と位置づけられています。適切な治療を継続することで、多くの方が通常の日常生活を送りながら病気と向き合うことができます。症状や身体の変化に気づいたときは、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。治療法の選択肢も広がっており、個々の状況に応じた適切な治療を受けることで、長期にわたる安定した疾患コントロールが期待されています。

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