「細菌性胃腸炎」の感染リスクを下げるには?「つけない・増やさない・倒す」の実践法

細菌性胃腸炎の多くは、食品の適切な取り扱いと衛生管理によって予防することが可能です。食中毒予防の三原則である「つけない」「増やさない」「やっつける」を日常生活で実践することで、感染リスクを大幅に低減できます。調理前の手洗いから食品の保管方法、加熱温度まで、具体的な予防策を理解し習慣化することが、ご自身と家族の健康を守ることにつながります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
食品衛生管理による予防の実践
細菌性胃腸炎の予防には、食品の適切な取り扱いと衛生管理が不可欠です。食中毒予防の三原則として「つけない」「増やさない」「やっつける」が知られており、これらを実践することで多くの細菌性胃腸炎を防ぐことができます。
細菌を食品につけない衛生習慣
調理前や食事前の手洗いは基本中の基本です。生肉や生魚を扱った後は、特に丁寧に手を洗い、使用したまな板や包丁もすぐに洗浄しましょう。生肉用と野菜用でまな板を使い分けると、より安全性が高まります。手洗いの際は、石けんを使って指の間、爪の間、手首まで30秒以上かけて洗い、流水でしっかりとすすぐことが推奨されます。タオルも清潔なものを使用し、できればペーパータオルを使うとより衛生的です。
調理器具の洗浄と消毒も重要です。まな板や包丁は使用後すぐに洗剤でよく洗い、熱湯をかけるか塩素系漂白剤で消毒します。特に生肉や生魚を扱った後は入念に行いましょう。ふきんやスポンジも定期的に煮沸消毒や漂白剤での消毒を行い、清潔に保ちます。これらの調理器具は細菌が増殖しやすい環境であるため、日々の管理が感染予防に直結します。
細菌を増殖させない温度管理
食品は購入後速やかに冷蔵庫や冷凍庫に保管し、常温での放置時間を最小限にします。冷蔵庫の温度は10度以下、冷凍庫はマイナス15度以下に保つことが推奨されます。調理後の食品は2時間以内に食べるか、速やかに冷蔵保存しましょう。特に気温が高くなる時期は、細菌が急速に増殖する環境となるため、より一層の注意が求められます。
生卵は新鮮なものを選び、賞味期限内に使用します。サルモネラ菌は卵の殻や内部に存在することがあるため、ひびの入った卵は避け、卵料理は速やかに食べることが望ましいです。生卵を使用する料理を作る際は、新鮮な卵を使い、作り置きは避けましょう。購入した食品は、帰宅後すぐに適切な温度で保管することが、細菌の増殖を防ぐ基本となります。
加熱による細菌の死滅方法
食品の中心部まで十分に加熱することが重要で、細菌は75℃・1分以上ですが、ノロウイルスは中心部が85〜90℃で90秒以上の加熱が必要です。腸管出血性大腸菌の場合も同様に、75度で1分間以上、またはこれと同等以上の効果を有する方法での加熱が推奨されます。特に肉類や魚介類は中心部までしっかりと火を通しましょう。加熱が不十分な状態では、表面の細菌は死滅しても内部に生き残る可能性があります。
調理の際は、食品の厚みや大きさに応じて加熱時間を調整する必要があります。ハンバーグや鶏肉の唐揚げなど、厚みのある料理では中心部まで熱が通るよう、弱火でじっくりと加熱するか、二度揚げするなどの工夫が有効です。電子レンジを使用する場合は、食品をムラなく加熱するため、途中でかき混ぜたり、向きを変えたりすることが推奨されます。
まとめ
胃腸炎は原因となる病原体によって潜伏期間や症状が異なり、適切な対処法も変わってきます。ウイルス性胃腸炎は感染力が強く集団感染を起こしやすい一方、細菌性胃腸炎は食品衛生管理で予防できることが多いです。症状が現れたら脱水予防を優先とし、無理な食事は避けて段階的に回復を図りましょう。仕事復帰は症状消失後も慎重に判断し、特に食品を扱う職種では十分な期間を置くことが重要です。症状が重い場合や改善しない場合は、早めに医療機関を受診し、専門的な診断と治療を受けることをおすすめします。職場復帰後も感染予防行動を継続し、組織全体で衛生管理体制を整えることが、安全な環境づくりにつながります。