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「HIV感染症」の治療で性交渉でもうつらない?薬の進歩とU=Uの定義を解説!

 公開日:2026/02/22
「HIV感染症」の治療で性交渉でもうつらない?薬の進歩とU=Uの定義を解説!

HIV感染症の治療は抗レトロウイルス療法を中心に行われ、複数の薬剤を組み合わせることでウイルスの増殖を強力に抑制します。適切な治療により血液中のウイルス量を検出限界以下に抑え、免疫機能を回復させることが可能です。治療薬は作用機序によっていくつかの種類に分類され、患者さんの状態に応じて選択されます。ここでは、多剤併用療法の原理と効果、主要な抗HIV薬の種類と特徴について詳しく解説します。

吉野 友祐

監修医師
吉野 友祐(医師)

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広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。

HIV感染症の抗レトロウイルス療法

HIV感染症の治療の中心となるのは抗レトロウイルス療法(ART)で、複数の薬剤を組み合わせて使用することでウイルスの増殖を抑え、免疫機能を回復させることができます。抗レトロウイルス療法の仕組みと使用される薬剤について理解しておくことが大切です。

多剤併用療法の原理と効果

抗レトロウイルス療法では、これまで作用機序の異なる3種類以上の薬剤を組み合わせて使用する治療が基本とされてきました。これは多剤併用療法と呼ばれ、単剤治療と比べてウイルスの増殖を強力に抑制し、薬剤耐性ウイルスの出現を防ぐ目的があります。HIVは増殖の過程で変異を起こしやすいため、複数の薬剤で異なる段階を同時に抑えることが重要と考えられてきました。
近年では治療薬の進歩により、条件を満たす場合には2剤による治療も可能となっており、患者さんの状態や治療歴に応じて治療法が選択されています。ただし、いずれの治療法においても、継続的に治療を行い、ウイルス増殖を抑制し続けることが重要です。
適切な抗レトロウイルス療法を継続することで、血液中のウイルス量は検出限界以下(一般的には1ミリリットルあたり20コピー未満)に抑えられます。この状態が維持されることで免疫機能の回復が期待でき、日和見感染症のリスクも低下します。さらに、ウイルス量が検出限界以下の状態が少なくとも6か月以上継続している場合、性交渉によって他人に感染させることはないとされており、これは「U=U(Undetectable=Untransmittable)」として医学的に証明されています。

主要な抗HIV薬の種類と特徴

抗HIV薬は、HIVの増殖過程における作用点の違いによっていくつかの種類に分類されます。現在の治療において中心的な役割を担っているのはインテグラーゼ阻害薬であり、ほかには逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤などがあります。
逆転写酵素阻害薬には、核酸系および非核酸系があり、HIVが持つRNAをDNAへと変換する「逆転写」の過程を抑制することでウイルスの増殖を防ぎます。インテグラーゼ阻害薬は、逆転写によってDNAとなったHIVの遺伝子が、感染細胞内の染色体DNAに組み込まれる過程を阻害する薬剤です。プロテアーゼ阻害薬は、感染細胞内で新たに作られたウイルスのタンパク質が成熟する過程を妨げることで、感染力を持つウイルス粒子の形成を防ぐ薬剤です。
また近年は、複数の抗HIV薬を1錠にまとめた配合剤が開発され、1日1回1錠の服用で治療が行えるケースも増えています。服薬の負担が軽減されたことで、治療の継続がしやすくなり、長期的なウイルス抑制につながっています。

まとめ

HIV感染症は、早期発見と適切な治療により、通常の生活を送ることが可能な疾患です。感染経路を理解し、コンドームの使用や定期的な検査といった予防策を講じることで、感染リスクを大きく低減できます。感染の可能性がある場合には、早期に検査を受け、必要に応じて速やかに治療を開始することが重要です。
現在の医療では、継続的な服薬によりウイルスを抑制し、免疫機能を維持することができます。正しい知識を持ち、不安がある場合には医療機関や保健所に相談することで、健康を守る第一歩を踏み出しましょう。HIV感染症に関する理解を深め、偏見や差別のない社会づくりに貢献していくことも大切です。

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