「HIV感染症」になると”カンジダ”になりやすい?初期症状を医師が解説!

治療を受けないままHIV感染が進行すると、免疫を担うCD4細胞が徐々に破壊され、身体を守る力が低下していきます。免疫機能の低下により、通常であれば問題にならない病原体に対しても感染しやすくなり、さまざまな日和見感染症を発症するリスクが高まります。さらに進行するとエイズを発症し、生命に関わる状態となる可能性もあります。ここでは、CD4細胞の減少がもたらす免疫力の変化と、エイズ発症時に見られる特徴的な症状について解説します。

監修医師:
吉野 友祐(医師)
HIV感染症の進行と免疫機能の低下
治療を行わずにHIV感染が進行すると免疫機能が次第に低下し、体を守る力が弱まることで通常であれば問題にならない病原体に対しても感染しやすくなります。免疫機能の低下がもたらす影響と、エイズ発症時の状態について理解しておくことが重要です。
CD4細胞の減少と免疫力の変化
HIV感染症における免疫機能の低下は、主にCD4の数で評価されます。健康な方のCD4数は通常1立方ミリメートルあたり500個以上ですが、HIV感染が進行するとこの数値が徐々に減少していきます。CD4数が350個程度まで低下すると、免疫機能の低下が明らかになり、さまざまな感染症にかかりやすくなります。
免疫力の低下により、口腔内のカンジダ症(カビの一種による感染)、帯状疱疹などが起こりやすくなります。これらは日和見感染症と呼ばれ、通常の免疫機能では問題にならない病原体が原因となって発症する感染症です。また、体重減少、慢性的な下痢、発熱などの症状が続くこともあります。
エイズ発症時の特徴的な症状
エイズ(後天性免疫不全症候群)は、HIV感染症が進行し、免疫機能の低下に伴って特定の日和見疾患を発症した状態を指します。日本では、CD4数が低下し、23のエイズ指標疾患(エイズを示す特定の疾患)を発症した場合にエイズと診断されます。その際、CD4数は200個/µL未満まで低下していることが多いとされますが、エイズの診断は数値だけで決まるものではなく、指標疾患の有無が重要になります。
エイズ指標疾患には、ニューモシスチス肺炎、トキソプラズマ脳症、サイトメガロウイルス感染症などの日和見感染症が含まれます。また、指標疾患の中には悪性腫瘍もあり、カポジ肉腫や悪性リンパ腫などが知られています。これらの状態は生命に関わる可能性がありますが、現在の治療法では、たとえエイズを発症した後であっても、適切な治療によって免疫機能を回復させ、日常生活を取り戻すことが期待できます。早期発見と継続的な治療が、予後を大きく改善する鍵となります。
まとめ
HIV感染症は、早期発見と適切な治療により、通常の生活を送ることが可能な疾患です。感染経路を理解し、コンドームの使用や定期的な検査といった予防策を講じることで、感染リスクを大きく低減できます。感染の可能性がある場合には、早期に検査を受け、必要に応じて速やかに治療を開始することが重要です。
現在の医療では、継続的な服薬によりウイルスを抑制し、免疫機能を維持することができます。正しい知識を持ち、不安がある場合には医療機関や保健所に相談することで、健康を守る第一歩を踏み出しましょう。HIV感染症に関する理解を深め、偏見や差別のない社会づくりに貢献していくことも大切です。