若年性アルツハイマー型認知症で「何」ができなくなる?記憶障害以外に注意すべき症状を解説

認知機能の低下は記憶だけにとどまらず、判断力や言語能力など複数の領域に及びます。これまで問題なくできていた仕事や家事が困難になり、本人も周囲も戸惑いを感じる場面が増えていきます。認知機能がどのように変化していくのか、具体的な症状とその影響について説明します。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
若年性アルツハイマー型認知症で現れる認知機能の変化
認知機能の低下は、記憶だけでなく判断力や実行機能(物事の段取りをつけ、計画的に実行する力)、言語能力など多岐にわたります。これらの能力が徐々に低下し、複雑な作業や計画的な行動が困難になっていきます。
判断力と実行機能の低下
判断力の低下は、日常生活のさまざまな場面で問題となります。適切な服装を選べなくなったり、金銭管理が困難になったり、危険な状況を認識できなくなったりします。たとえば、真冬に薄着で外出しようとする、高額な商品を衝動的に購入する、交通ルールを守れなくなるといった行動が見られます。
実行機能の障害は、計画を立てて物事を順序立てて実行する能力の低下を意味します。料理を作る際に複数の作業を同時進行できない、旅行の準備ができない、段取りを考えて仕事を進められないなどの症状が現れます。これまで問題なくこなしていた複雑な作業が、あるときから急にできなくなることに本人も戸惑いを感じます。
さらに、問題解決能力も低下します。予期しない出来事に対応できなくなったり、簡単なトラブルでも解決策を見出せなくなったりします。これらの変化は職場での評価に直結するため、働き盛りの年代では特に深刻な問題となります。
言語能力と理解力の変化
言語能力の低下も若年性アルツハイマー型認知症の重要な症状です。会話中に適切な言葉が出てこなくなり、「あれ」「それ」といった代名詞を多用するようになります。文章を読んでも内容を理解できない、話の筋道を追えなくなる、複雑な指示を理解できないといった症状も見られます。
書く能力も影響を受けます。メールや書類の作成に時間がかかるようになったり、文章の構成が乱れたり、誤字脱字が増えたりします。会話では、同じ話を繰り返す、話題がまとまらない、相手の話を理解できずに的外れな返答をするなどの変化が現れます。
理解力の低下は、日常生活のコミュニケーションを困難にします。家族や同僚との会話がスムーズに進まなくなり、誤解やトラブルが増えることもあります。本人は言葉が思うように出ないことに強いストレスを感じ、会話を避けるようになることもあります。
まとめ
若年性アルツハイマー型認知症は、65歳未満で発症する進行性の神経変性疾患です。初期症状には記憶障害、見当識障害、判断力の低下などがあり、日常生活や仕事に支障をきたします。原因は脳内でのアミロイドβとタウタンパク質の蓄積であり、遺伝的要因や生活習慣病が危険因子となります。
診断には認知機能検査と画像検査を組み合わせた総合的評価が必要で、治療は薬物療法と非薬物療法を併用します。薬物療法では、コリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬により症状の進行を遅らせることが期待されます。非薬物療法では、認知リハビリテーションや運動療法、環境調整などにより生活の質の維持を目指します。
早期発見と適切な治療、社会資源の活用により、本人と家族の生活の質を維持することが可能です。介護保険サービス、障害者手帳、障害年金などの制度を活用し、若年性認知症支援コーディネーターや地域包括支援センターなどの相談窓口を利用することで、必要な支援を受けられます。気になる症状がある場合は、早めに専門の医療機関を受診することが大切です。