「慢性リンパ性白血病」はどんな検査で治療方針を決めていく?【医師監修】

診断を確定し、病気の進行度や予後を評価するためには、血液検査以外にもさまざまな精密検査が行われます。骨髄検査や染色体検査、画像検査など、各検査の目的と方法について詳しく解説します。これらの検査結果を総合的に判断し、個々の患者さんに適した治療計画が立てられます。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
精密検査による病状の詳細な評価
診断を確定し、病気の進行度や予後を評価するためには、血液検査以外にもさまざまな精密検査が行われます。これらの検査結果を総合的に判断し、個々の患者さんに適した治療計画が立てられます。
骨髄検査と染色体検査の実施
慢性リンパ性白血病の診断は、血液検査とフローサイトメトリーで確定することが多く、骨髄検査は病状評価や治療方針決定のために行われる場合があります。
骨髄検査は、腰の骨(腸骨)から骨髄液を採取して行われます。骨髄内での異常なリンパ球の割合を評価し、骨髄機能の状態を詳しく調べることができます。慢性リンパ性白血病では、骨髄内に異常なリンパ球が30%以上存在することが一般的です。
骨髄検査では局所麻酔が使用されるため、痛みは最小限に抑えられます。検査は通常15分から30分程度で終了し、当日は安静にすることが推奨されますが、翌日からは通常の生活に戻ることができます。検査後は穿刺部位に圧迫を加え、出血を予防します。
染色体検査では、異常なリンパ球の遺伝子変異や染色体異常を調べます。特定の染色体異常は予後に影響を与えることが知られており、治療方針の決定に重要な情報となります。例えば、17番染色体の欠失(del17p)や11番染色体の欠失(del11q)などの異常は、予後不良因子として知られています。
一方、13番染色体の欠失(del13q)が単独で存在する場合は、比較的予後が良好であることが報告されています。これらの遺伝子情報は、治療薬の選択や治療開始のタイミングを決定する際の重要な参考情報となります。
画像検査とリンパ節の評価
CT検査やPET-CT検査などの画像検査により、体内のリンパ節の腫れや臓器への浸潤の程度を評価します。これらの検査は、病気の進行度(病期)を判定し、治療の必要性を判断する際に重要です。首、胸部、腹部、骨盤部など、全身のリンパ節の状態を詳しく観察することができます。
CT検査では、リンパ節の大きさや数、分布を正確に測定できます。リンパ節の腫大が広範囲に及んでいる場合や、腹部の深い部分にあるリンパ節が腫れている場合も検出できます。また、脾臓や肝臓の腫大、他の臓器への浸潤の有無も評価できます。
超音波検査は、腹部の臓器、特に脾臓や肝臓の腫大を評価する際に用いられます。検査は非侵襲的で繰り返し行うことができ、経過観察にも適しています。脾臓の大きさは治療効果の指標の一つとなります。超音波検査は放射線被曝がないため、頻回に行うことができる利点があります。
画像検査の結果は、病期分類システム(Rai分類やBinet分類)に基づいて病気の進行度を判定する際に活用されます。病期により治療方針が異なるため、正確な評価が重要です。これらの検査は治療開始前だけでなく、治療中や治療後の経過観察でも定期的に行われます。
まとめ
慢性リンパ性白血病は、緩やかに進行する血液のがんであり、初期には症状が現れにくいことが特徴です。リンパ節の腫れや疲労感、微熱などの症状に気づいた際は、早めに医療機関を受診することが大切です。これらの症状は他の疾患でも見られるため、自己判断せず専門家の評価を受けることが重要です。
治療法は近年大きく進歩しており、分子標的薬により副作用を抑えながら効果的な治療が可能になっています。治療中は副作用への対策や感染症予防が重要であり、医療チームと密に連携することが推奨されます。治療後も定期的な経過観察を継続し、再発の兆候を早期に捉えることが大切です。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、症状や治療方針には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関で医師にご相談ください。
参考文献