「急性リンパ性白血病」と診断されたら。寛解を目指す治療の流れとは?

治療は化学療法を中心とした多剤併用療法が基本となり、寛解導入療法、地固め療法、維持療法という段階を経て進められます。各段階で異なる目的と方法があり、できるだけ多くの白血病細胞を死滅させ、正常な造血機能を回復させることを目指します。ここでは、標準的な治療の流れについて詳しく説明します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
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急性リンパ性白血病の治療法
急性リンパ性白血病の治療は、化学療法を中心とした多剤併用療法が基本となります。治療は寛解導入療法、地固め療法、維持療法という段階を経て進められ、各段階で異なる目的と方法があります。
寛解導入療法
寛解導入療法は治療の第一段階で、できるだけ多くの白血病細胞を死滅させ、正常な造血機能を回復させることを目的としています。通常、複数の抗がん剤を組み合わせて使用し、4~6週間程度の期間で実施されます。
使用される主な薬剤には、ビンクリスチン、ダウノルビシンやイダルビシンといったアントラサイクリン系薬剤、L-アスパラギナーゼ、プレドニゾロンやデキサメタゾンといったステロイド薬があります。治療成績は年齢や遺伝子異常、リスク分類によって異なりますが、多くの患者さんで完全寛解が得られるようになっています。完全寛解とは、骨髄中の芽球が5%未満に減少し、正常な血液細胞が回復した状態を指します。寛解導入療法中は、白血球や血小板が著しく減少するため、感染症や出血といった合併症のリスクが高く、入院での厳重な管理が必要となります。支持療法として、抗菌薬の予防投与、血小板や赤血球の輸血、感染症治療などが適宜行われます。
地固め療法と維持療法
完全寛解が得られた後も、目に見えないレベルで残存する白血病細胞を根絶するため、地固め療法と維持療法が続けられます。地固め療法では、寛解導入療法と同様またはより強力な化学療法を数回繰り返します。この段階では、中枢神経系への予防的治療として髄腔内化学療法も並行して実施されます。
維持療法は、より少量の抗がん剤を長期間にわたって継続する治療で、通常2~3年間行われます。主に経口薬である6-メルカプトプリンとメトトレキサートが使用され、定期的な外来通院で治療が継続されます。維持療法中も定期的に血液検査や骨髄検査を行い、再発の兆候がないかを注意深く監視します。また、患者さんの状態に応じて薬剤の量を調整し、過度な骨髄抑制を避けながら十分な治療効果を維持することが重要です。フィラデルフィア染色体陽性の場合には、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬を併用することで治療成績が大きく向上しています。治療期間全体を通じて、感染予防や栄養管理、心理的サポートといった包括的なケアが提供されます。
まとめ
急性リンパ性白血病は、早期発見と適切な治療開始が予後を左右する重要な疾患です。貧血症状、出血傾向、感染症にかかりやすくなるといった症状に加え、原因不明の発熱や倦怠感、骨の痛みなどが続く場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。診断には血液検査や骨髄検査が必須であり、染色体や遺伝子の異常を詳しく調べることで、適した治療方針を決定することができます。
治療は化学療法を中心に、寛解導入療法、地固め療法、維持療法という段階を経て進められ、高リスク群では造血幹細胞移植も検討されます。近年では分子標的薬や免疫療法といった新しい治療法も登場し、治療成績の向上が期待されています。ただし、治療効果や副作用には個人差があり、年齢、基礎疾患、遺伝子異常のタイプなどによって治療内容や予後は異なります。気になる症状がある場合には、専門の医療機関で相談されることをおすすめします。