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「急性リンパ性白血病」を正しく知る。画像検査で把握する全身への浸潤と治療計画の立て方

 公開日:2026/03/10
「急性リンパ性白血病」を正しく知る。画像検査で把握する全身への浸潤と治療計画の立て方

異常細胞が骨髄以外の臓器に広がる可能性があるため、全身の評価が重要となります。胸部X線検査やCT検査により、リンパ節の腫れや臓器への浸潤を確認し、中枢神経系への浸潤の有無を髄液検査で評価します。これらの検査結果は治療計画の決定に不可欠な情報を提供します。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

画像検査と臓器浸潤の評価

急性リンパ性白血病では、異常細胞が骨髄以外の臓器に広がることがあるため、全身の評価が必要となります。画像検査によって病気の広がりを把握し、治療計画を立てることができます。

胸部X線検査とCT検査

胸部X線検査は、左右の肺の間(縦隔)にあるリンパ節の腫れや肺への浸潤、胸水の有無を評価するために実施されます。特にT細胞型の急性リンパ性白血病では縦隔腫瘤を形成しやすく、気道圧迫による呼吸困難を引き起こすことがあるため注意が必要です。
CT検査はより詳細な評価を可能にし、リンパ節腫大の程度や臓器浸潤の範囲を正確に把握できます。造影剤を用いることで血管や臓器の状態をより明瞭に観察することができます。腹部CT検査では肝臓や脾臓の腫大、腹腔内リンパ節の状態を評価します。また、腎臓への浸潤や腹水の有無も確認されます。画像検査の結果は、病期分類や治療効果判定の指標としても用いられます。症例によっては、PET-CT検査が補助的に用いられることもあります。これらの画像検査により、全身の病変分布を把握し、個々の患者さんに適した治療計画を立てることができます。

中枢神経系の評価

急性リンパ性白血病では、中枢神経系への浸潤が重要な問題となります。診断時には症状がなくても、髄液中に白血病細胞が存在する可能性があるため、腰椎穿刺による髄液検査が必須とされています。腰椎穿刺では、背中から細い針を挿入して髄液を採取します。
採取した髄液は細胞数、蛋白量、糖濃度を測定し、顕微鏡で白血病細胞の有無を確認します。中枢神経系浸潤が認められる場合には、追加の治療として髄腔内化学療法や頭部への放射線治療が検討されます。また、頭部MRI検査やCT検査により、脳実質への浸潤や頭蓋内圧亢進の兆候を評価することもあります。中枢神経系浸潤は予後に大きく影響するため、診断時の評価だけでなく、治療中も定期的に髄液検査を行い、早期発見と適切な対応を図ることが重要です。特に高リスク群では、予防的な髄腔内化学療法が標準的に行われており、中枢神経系再発のリスクを低減させることが示されています。

まとめ

急性リンパ性白血病は、早期発見と適切な治療開始が予後を左右する重要な疾患です。貧血症状、出血傾向、感染症にかかりやすくなるといった症状に加え、原因不明の発熱や倦怠感、骨の痛みなどが続く場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。診断には血液検査や骨髄検査が必須であり、染色体や遺伝子の異常を詳しく調べることで、適した治療方針を決定することができます。

治療は化学療法を中心に、寛解導入療法、地固め療法、維持療法という段階を経て進められ、高リスク群では造血幹細胞移植も検討されます。近年では分子標的薬や免疫療法といった新しい治療法も登場し、治療成績の向上が期待されています。ただし、治療効果や副作用には個人差があり、年齢、基礎疾患、遺伝子異常のタイプなどによって治療内容や予後は異なります。気になる症状がある場合には、専門の医療機関で相談されることをおすすめします。

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