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『肺がん』治療の選び方。ステージごとの手術適応と個別化治療の進展について【医師監修】

 公開日:2026/02/09
肺がんの主な治療法と選択基準

肺がんの治療は、病期や組織型、患者さんの全身状態に応じて選択されます。治療法の種類と適応を理解することで、納得のいく治療選択が可能になります。外科手術による治療から、近年大きく進歩している薬物療法まで、さまざまな選択肢が存在します。それぞれの治療法の特徴や適応について詳しく解説し、個別化治療の進展についても触れていきます。

松本 学

監修医師
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

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兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

肺がんの主な治療法と選択基準

肺がんの治療は、病期や組織型、患者さんの全身状態に応じて選択されます。治療法の種類と適応を理解することで、納得のいく治療選択が可能になります。

外科手術による治療

早期の肺がんに対しては、外科手術が第一選択となることがあります。手術では、腫瘍を含む肺の一部または全体を切除します。切除範囲は、腫瘍の大きさや位置によって、部分切除、区域切除、肺葉切除、全摘出術などに分かれます。
近年では、胸腔鏡手術(VATS:ビデオ補助胸腔鏡下手術)やロボット支援手術が普及しており、従来の開胸手術と比較して傷が小さく、術後の回復が早いという利点があります。ただし、腫瘍の位置や大きさ、周囲組織への広がりによっては、開胸手術が選択されることもあります。
手術の適応は、I期からIII期の一部に限られます。遠隔転移がある場合や、腫瘍が大血管や心臓に浸潤している場合は、手術が困難とされます。また、患者さんの呼吸機能や心機能、年齢、合併症の有無なども総合的に判断され、手術が可能かどうかが決定されます。手術による完全切除が可能な場合、予後の改善が期待されますが、患者さんの身体への負担も考慮する必要があります。

薬物療法の進歩と個別化治療

肺がんの薬物療法は、近年大きく進歩しています。従来の抗がん剤(化学療法)に加えて、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が登場し、治療選択肢が広がりました。
分子標的薬は、がん細胞に特有の遺伝子変異やタンパク質を標的とする薬剤です。EGFR遺伝子変異陽性の肺がんに対しては、EGFR阻害薬が高い効果を示すことが報告されています。ALK遺伝子転座陽性の場合は、ALK阻害薬が用いられます。これらの薬剤は、従来の抗がん剤とは異なる特有の副作用(皮膚の荒れ、下痢、間質性肺炎など)が現れることがありますが、点滴ではなく飲み薬として自宅で治療を継続できるものも多いのが特徴です。
免疫チェックポイント阻害薬は、患者さん自身の免疫機能を活性化させてがん細胞を攻撃する治療法です。PD-1やPD-L1といった分子を標的とし、免疫細胞のブレーキを外すことで抗腫瘍効果を発揮します。非小細胞肺がんの一部や、小細胞肺がんに対して使用されることがあります。
治療効果を予測するために、PD-L1発現率や腫瘍遺伝子変異量(TMB)などのバイオマーカーが測定されます。これにより、どの患者さんにどの治療が適しているかを、より正確に判断できるようになってきています。個別化治療の進展により、患者さん一人ひとりに合わせた治療が実現しつつあります。

まとめ

肺がんは、早期発見と適切な治療により、予後が改善する可能性のある疾患です。症状や前兆を見逃さず、気になる変化があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。また、喫煙をはじめとするリスク因子を避け、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の機会を増やすことができます。治療法は日々進歩しており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別化医療が実現しつつあります。専門の医療機関と連携しながら適切な治療を選択し、生活の質を保ちながら病気と向き合うことが大切です。

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