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【必見】血便の原因疾患まとめ。腹痛や発熱を伴う「危険な血便」と良性疾患の違い

 公開日:2026/02/10
血便の原因となる代表的な疾患

血便を引き起こす病気は多岐にわたり、軽度なものから重篤なものまでさまざまです。肛門周囲の疾患から腸管全体に及ぶ病態まで、それぞれ異なる特徴を持っています。ここでは代表的な疾患について、発症のメカニズムや特徴的な症状を詳しく解説します。

前田 孝文

監修医師
前田 孝文(南流山内視鏡おなかクリニック)

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【経歴】
2001年3月       京都府立医科大学 医学部医学科 卒業
2001年4月〜2003年3月 京都府立医科大学附属病院 外科研修医
2003年4月〜2005年3月 京都府立与謝の海病院外科
2005年4月〜2007年3月 自治医科大学附属さいたま医療センター外科
2007年4月〜2011年3月 自治医科大学大学院
2009年4月〜2009年9月 University of Southern California, Department Colorectal Surgery, research fellow
2011年4月〜2012年3月 自治医科大学附属さいたま医療センター外科 臨床助教
2012年4月〜2021年9月 辻仲病院柏の葉 臓器脱センター医長(2020年4月〜)
2015年〜 骨盤臓器脱外来担当
2017年〜 便秘専門外来担当
2021年10月 南流山内視鏡おなかクリニック(千葉県流山市) 開院
2024年6月  医療法人社団流輝会 設立

【専門・資格・所属】
医学博士
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(一般外科:大腸)
消化器癌外科治療認定医
身体障碍者福祉法指定医(ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害)

血便の原因となる代表的な疾患

血便を引き起こす病気は多岐にわたります。ここでは代表的な疾患について、発症のメカニズムや特徴を見ていきましょう。

痔核と裂肛

痔核は、肛門周囲の静脈がうっ血してこぶ状に腫れた状態を指し、排便時の強いいきみや慢性的な便秘、下痢の繰り返し、長時間の座位などが発症の要因とされています。肛門の内側にできる内痔核では、排便時に痛みをほとんど感じないまま鮮やかな赤色の出血が見られることが多く、便器が赤く染まることで気づくケースもあります。一方、肛門の外側にできる外痔核では、腫れや強い痛みを伴い、座ったときの違和感や日常生活への支障が出やすいのが特徴です。

裂肛は、硬い便の通過や、激しい下痢による刺激などで肛門の出口付近の皮膚が裂けてしまう状態で、「切れ痔」とも呼ばれます。排便時に鋭い痛みが生じ、排便後もしばらく痛みやヒリヒリ感が続くことがあります。出血量は比較的少ないものの、トイレットペーパーに少し鮮血が付着する程度から便器が真っ赤に染まるものまで程度はさまざまです。裂肛を繰り返すことで肛門括約筋が緊張し、慢性化すると治りにくくなる場合もあります。

痔核や裂肛はいずれも良性疾患で、便通の改善や軟膏・坐薬などの薬物療法で症状が軽減します。しかし、出血が長期間続く場合や、出血量が増えている場合、痛みが強く日常生活に支障が出ている場合は、ほかの疾患との鑑別が必要となるため、早めに専門医を受診することが望ましいでしょう。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患は、腸管に慢性的な炎症が起こる病気の総称で、代表的なものに潰瘍性大腸炎とクローン病があります。これらの疾患では、腸の粘膜が傷つくことで出血し、血便や下痢、腹痛といった症状が持続的に現れるのが特徴です。症状の程度には個人差があり、軽症から重症まで幅広く見られます。

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に連続した炎症が生じる疾患で、粘液と血液が混じった便(粘血便)が特徴的です。排便回数が増え、1日に何度もトイレに行くようになるほか、腹痛や発熱、倦怠感、体重減少を伴うこともあります。症状が落ち着く寛解期と、再び悪化する再燃期を繰り返すことが多く、継続して治療を行う必要があります。経過観察だと、何もしない、ただ見ているだけという印象を与えますが、潰瘍性大腸炎は治療が必要です。

クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部位に炎症が起こる可能性があり、腹痛や下痢、体重減少に加えて、肛門周囲に膿瘍や瘻孔を形成することがあります。腸管が狭くなる狭窄や穿孔といった合併症を引き起こすこともあり、症状が複雑化しやすい点が特徴です。

炎症性腸疾患の発症には、免疫異常や遺伝的要因、腸内環境の変化などが関与していると考えられています。現在のところ完治は難しいものの、薬物療法や生活指導により症状をコントロールし、日常生活を維持することが可能です。血便や下痢が長期間続く場合や、症状が徐々に悪化している場合は、早期に消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

まとめ

血便は、痔のような軽度なものから大腸がんのような重大な疾患まで、多様な原因によって引き起こされます。色や形状、伴う症状を注意深く観察することで、ある程度の原因を推測することができます。鮮血が見られる場合は下部消化管からの出血が、黒色便の場合は上部消化管からの出血が疑われます。

ストレスや生活習慣も腸の健康に大きく影響するため、心身のケアを忘れずに行いましょう。規則正しい生活リズム、バランスの取れた食事、適度な運動が、消化器の健康維持に役立ちます。血便が続く場合や、腹痛や体重減少を伴う場合は、早めに消化器内科を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。

定期的な検診を通じて、早期発見と予防に努めてください。特に50歳以上の方や、家族歴がある方は、便潜血検査や大腸内視鏡検査を定期的に受けることが推奨されます。自己判断で症状を放置せず、気になる症状があれば専門医に相談することが、健康を守るうえで重要です。

この記事の監修医師